_ 「名倉談義」と「土佐源氏」は、『忘れられた日本人』の中でもとくに好きな文章。人と人の距離感について書かれたものなのだと思う。人付き合いが上手い方でないのだけど、こういう社会関係(というべきものなのだと思う)がどんなふうによいのかわかる気になるくらいだ。少しずつ積み重ねていくものなのであり、時には届かないこともあるのだと思えば、もう少し余裕ができるのかもしれないなと思う。思うだけで、できるのとはまた別なのであるが。
_ 読み終わるのが残念になる本がある。残りのページが少なくなるのがいやでゆっくりゆっくりと読み終えたいのに、面白すぎて次がどうなるかを知らずにはいられない。『雪の中の三人男』(エーリヒ・ケストナー)はそのような本であった。おもしろい!牛肉入りうどんとか、枢密顧問官という時代がかった翻訳がぴったりでもあった。今日みたいな寒い日に暖かい部屋で読むのに最適の小説。
で、これもやはり、人と人の距離感がテーマの本だった。ただ面白いだけでなく、なんども頷く。
人恋しいのか?