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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

26-06-2004 / Saturday [長年日記]

_ 『風博士』(ブラウザじゃなくて、バンド)が届いたので聴いてみる。歌っている人の声に耳が慣れていないのでまだなんともいえないけど、音がとてもきれい。寝てしまいそうになるくらいに、さわやかな音。退屈なのではなくて、静かな音なところがよい。

_ どうもこの頃、紅茶がおいしく淹れられない。このところ、ずっと同じ銘柄のダージリンを飲んでいるのだけど、味と香りに慣れてしまったのか、まったくマスカット・フレーバーどころか、紅茶的おいしさすら感じられない。舌がおかしいのかなと思って、アール・グレイを淹れたところ、これは普通にベルガモット味。夏場だし、水が悪いということにしておこう。

_ ノックが気になって、手持ちのDVDを早回しで観察してみた(暇なのか)。で、わかったのは、そんなシーンが1回しかみつからなかったこと。といってもその1回は、ブリジット・ジョーンズがダニエル・クリーバーのオフィスに入って行くところ。もっとも、透明壁のオフィスなのだから、ノックなどせずとも、ブリジットが来たということはもうわかっている。しかもブリジットは召使いではない。ということで、なにも発見はありませんでした。

ノックについて、うんちゃらと思いついたことを書いてみたら、ムラサキさんがとても丁寧なコメントを寄せてくださいました。ツッコミ欄に入れておくのはもったいないので、こちらにおこうと思います。ムラサキさん、どうもありがとうございました。説明を受けてみると、なるほどいつのまにか執事が主人の背後にすっと立っているという場面は、見たことがあるような気がしてきました(映画とかDVDで。本物は見たことがない)。 職業柄(?)、ちょっとした所作とか言葉遣いとかがとても目につくようになっています。映画やDVDだと、当然ノックして然るべき(と私が思いこんでいる)場面でなんの前触れもなく女中さんが部屋に入ってきたりすると、なんとなしに、はてな?と思ったりしてしまいます。
基本的にバトラーは「個」を持たない存在なので、主人や客と同室に居て、空気のように主人たちの世話をしているのではないでしょうか。何がいいたいかと言うと、召使いたちは外にいるわけではないということ。常に扉の内側に何らかの召使いがいるのです。サーブされる側が完全にプライベートでいる(寝室などの)場合は、主人が呼び鈴等で召し使いたちを呼びつけるだけのこと。なのでノックの必要性がありません。主人達がパーラーなどで会話しているときに来客があった場合、客に顔をさらすことのできる立場の召使い(first footmanなど)が、いつでも主人の部屋に入れる立場の者(butlerなど)にネームカードを渡し、butlerはノックなどせずに何も言わずスッと部屋に入っていき、スッと主人の後ろに立ちます。すると主人が「何だ?」と聞き、butlerが用件を言う。そんな感じじゃないでしょうか。 少なくとも19世紀ものでノックの必要性があるシチュエーションが思いつきません。20世紀に入っても、たとえば寝袋さんがあげてらした、イシグロの「日の名残り」では、ホプキンスはノックなんてしていないような気がします。(単なる思い込みかもしれませんが。)P.G. Wodehouse の Jeeves and Wooster のテレビドラマシリーズ(スティーヴン・フライ&ヒュー・ローリー主演)には出てくるかもしれません。
その疑問を、解決していただきました。 考えてみれば、源氏物語なんかでも、お付きの人びとは、主人や女主人の逢い引きにいなくてはならない存在ですねえ。「お時間です」と声を掛ける必要も出てくるし、主人と従者の関係には「恥ずかしい」とかそういう感情があっては成り立たないものかもしれないなと思いました。突然、部屋に入ったら、主人が裸で逆立ちをしていたりしても、驚かず冷静に、「寝袋さんがお見えです」と言わないといけないわけなのだなあ。「個」の意識の誕生と階級社会の衰退(安易に「階級社会」と使っています)とか「羞恥心」の芽生えとか、関係がありそうな気がしてきました。 雪見さんとムラサキさんが教えてくださった『ゴスフォードパーク』、生協に注文しました。もう生産中止になっているらしいのですが、あわよくばみつかるかもしれないなー、と思って。どうもありがとうございました♪日記めいたことを書くようになって以来、こんなにアカデミックなことを書いたのは、初めてのことのような気がしています。ちょっとは格調高くなったかな(笑)。
本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
_ ムラサキ (26-06-2004 / Saturday 05:18)

僭越ながら、長々と失礼します。基本的にバトラーは「個」を持たない存在なので、主人や客と同室に居て、空気のように主人たちの世話をしているのではないでしょうか。何がいいたいかと言うと、召使いたちは外にいるわけではないということ。常に扉の内側に何らかの召使いがいるのです。サーブされる側が完全にプライベートでいる(寝室などの)場合は、主人が呼び鈴等で召し使いたちを呼びつけるだけのこと。なのでノックの必要性がありません。

主人達がパーラーなどで会話しているときに来客があった場合、客に顔をさらすことのできる立場の召使い(first footmanなど)が、いつでも主人の部屋に入れる立場の者(butlerなど)にネームカードを渡し、butlerはノックなどせずに何も言わずスッと部屋に入っていき、スッと主人の後ろに立ちます。すると主人が「何だ?」と聞き、butlerが用件を言う。そんな感じじゃないでしょうか。

少なくとも19世紀ものでノックの必要性があるシチュエーションが思いつきません。20世紀に入っても、たとえば寝袋さんがあげてらした、イシグロの「日の名残り」では、ホプキンスはノックなんてしていないような気がします。(単なる思い込みかもしれませんが。)P.G. Wodehouse の Jeeves and Wooster のテレビドラマシリーズ(スティーヴン・フライ&ヒュー・ローリー主演)には出てくるかもしれません。

_ (26-06-2004 / Saturday 06:24)

ムラサキさん、どうもありがとうございました。女中さんというのは、おしゃべりな人にはつとまらない仕事なのでしょうね。見たものをそのまま誰彼に話してしまうようでは、信頼関係が成り立たないし、そういう人選をする主人の評価にも繋がっていくのでしょうか。とても勉強になりました。ありがとうございます。

_ 雪見 (28-06-2004 / Monday 06:02)

召使はノックをしないという話を聞いて、わたしもやはりそれは
彼らが一人前の人間扱いじゃないからだなぁと思いました。
だから何を見られても聞かれても恥かしくないのだなぁと。
ところでヒッチコックの映画にもなった「レべッカ」では
主人公がはじめ「コンパニオン」と呼ばれる仕事をしています。
これが中途半端で変な仕事だなぁと昔、思ったものです。
召使でもあり、一緒にホテルのロビーでお茶なども飲んで話し相手もするんですが。

_ (28-06-2004 / Monday 08:14)

召使いさんたちは、一人前の人間ではないのですねえ。。
「コンパニオン」が出てくる小説をなんか読んだことがあるような気がするのですが、「レベッカ」だったのかしら。
ノックをするという間柄は両者が対等の関係にあるということを示すものなのですねえ。

人間扱いされないのはちょっとあれですけど、召使いさんって、ちょっと興味深い職業だなあ。
たぶん、私には向いてなさそうなのですが。。。


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