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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

07-07-2004 / Wednesday [長年日記]

_ 七夕。

なにかロマンチックなことが書けたらいいんだけど。七夕にお天気だなんて、覚えている限りではとてもめずらしいことのような気がする。今日、天の川、見えるかなあ。

_ 『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万里(角川文庫)、読了。

単行本の時から気になっていた本だったけど、文庫化されたので買ってみた。1960年から1964年に、プラハのソビエト学校で過ごした米原さんが、当時の仲良しだった3人のことを振り返りながら、30数年たった後に、彼女たちとの再会を果たすまでの話がテンポよくまとめられている。共産主義社会に生きる子どもたちが、とても生き生きと描かれている。と同時に、政治に密接した生活を生きる子どもたちの姿も見える。子ども時代の海外生活経験って、やっぱりその後の人生に大きな影響を与えるのだなあと、改めて思った。私自身は、はじめて外国旅行をしたのは、もう二十歳を過ぎた頃。それからは、それまでのブランクを埋めるがごとき速度で、外国で生活してきたようなところがある。それでも、小さい時に得たかもしれない経験というものを、埋めることは到底できないのだろうなあ。。。なんてことを思ったりした。

まず好奇心の持ち方が違うだろうし、いろいろな知識が先入観となってしまう。自分が過ごしてきた生活を振り返った上で、外国の生活を客観的に見てしまうようなところがある。もっと楽しめばよいのに、適度な距離感を置かないとという抑制力が働いてしまうのだと思う。

小さい頃の海外生活経験が、その後の人生にどんな影響を与えるのか、これはもちろんのこと、人によって、相当に異なることだと思う。その人がどんな社会環境におかれているかという条件もある。だから、絶対的にいいものだと思うわけでもないのだが。鼻持ちならない人と出会うこともないわけではないので、そのあたりはなんとも言えない。

_ 印象的だったのは、米原さんの父親が日本へ短期帰国し、母親はベルリンへこれも短期で出張している間、妹と米原さんがふたりきりで、プラハのアパートで留守番をしていたという記述。ある日、新しいブーツを買いに行く途中で、聡明で美人の転校生に街で会う。そのことがきっかけで、彼女の家に遊びに行き、深い親交が始まる。1960年代の共産圏で、子どもがふたりでお留守番をする。私の生活には絶対にあり得ないシチュエーションなので、うらやましいとかそういう気持ちを持つどころか、純粋に「おもしろそう!」と思った。


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