_ 昼下がりの商店街をのんびり歩いた。「昭和」が色濃く感じられる街は、懐かしくもあり、むずがゆくもあった。急いでいる人はだれもいなくて、ソフトクリームが溶けるのもゆっくりだった。煤けた暖簾や色あせたビニールの庇も、たたき売りされている携帯電話も流行の眼鏡のフレームも、違和感なく隣り合う。のんびりと歩いているうちに、私の話し方もいつも以上にぼそぼそと小声になった。今、時間が止まればいいのに。
電車の窓から月を眺めながら、幻灯機が回っていたような昼下がりの街を思い出していた。