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  2. ラギ (09-20)
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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

15-09-2004 / Wednesday [長年日記]

_ なんでフランツ・カフカなのかは、われながら不明。

_ 帰り、『余白の愛』『ホテル・アイリス』『刺繍する少女』(全部、小川洋子)。

ようするに官能的なんだろうな。アダルト・ビデオにはなりえないけど、日活映画にはなるというひじょうに高度な官能なのではないかと思う。で問題は、何故今、私的小川洋子ブームが訪れているのか、である。何故に、官能などと口走ったりするのだろうか。それはひとえに、秋だから、ということにしておこう。そして、「薬指の標本」はフランスで映画化されたそうだ。日本でも公開されるだろうから、ぜひ観に行きたい。音楽で言えば、おとなしいケイト・ブッシュ、という感じだ。もう少し低音の。あるいは大貫妙子。

_ 子どもを持つ親が、他人の子どもを殺すということ。生き残った子どもたちにどのような影響を与えるのだろうか。たまらないなあ。

こんなに早く刑が執行されるとは思わなかった。思う壷としかいいようがないように思う。謝罪のことばを待っていた遺族にとっても、無念さが募る一方のような気がする。殺してしまえばそれで終わる、死んでしまえばそれで終わる、と考えているのかもしれないが、罰するということは、それでは終わらないということを教えるためのものでないといけないのではないか。

_ 自分の中では密かに小川洋子がブームになっている。立て続けに2冊。中でも、『薬指の標本』がとてもよかった。中編が2本、所収されているが、どちらも素晴らしかった。

思うに、この人は女・村上春樹ではなかろうかと。そんなむちゃくちゃな…という設定、話の流れが、この人の手にかかるとそれはそうとしかなりようのない事実として納得させられてしまうのである。村上春樹といっても、その初期の頃、である。せいぜい、ダンスまでの村上春樹。

医大病院で秘書をしていたことがあるという経験が、あちらこちらにちりばめられていて、ものすごく「ボディ・コンシャス」な小説が多いような気がする。肉体としての身体というよりも、物質としての身体、「精神的に存在する」身体、というかんじで。

小川洋子のあとにフランツ・カフカを読むといいのかもしれないなと思った。読書の秋は、残暑厳しい中で密かに進行中。ほかにやらんならんことがあるっちゅうことは、この際、適度にごまかす。


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