_ 昼食を食べはぐれてしまったので、隠れ家のような喫茶店へ。人の家の居間みたいな英国式紅茶専門店。一時間、誰も来ない。店主はNHKの料理番組に出ているあの穏やかな話し方をする男のアナウンサーの人にそっくり。ぼけーっとしながら、山田稔の自選集を読む。部屋は暖かく、ウサギ穴に潜ったみたいにしんとしている。山田先生にフランス語を教わってみたかったなと考えているうちに、少し寝てしまった。
_ ちょっと肌寒い。
今日は定例の集まりがあるので司会業をこなしにいく。まあいろいろと。去年の秋の最終面接は私と同期の二人が呼ばれていたと教えられる。同期の方が私よりもずっと前に学位を取っていた。その後、なかなかポストに恵まれず苦労してきたが、とても優秀な人だ。最後までもめてその人に決まったという話を主査先生がしてくださった。「気にしたらあかんで」と言われる。全然。気にするどころか、あの学科ならば同期のほうが断然、学生さんのためになると思う。おめでとうと言いに行きたいところだが、とても繊細な人柄である同期の気持ちを考えると、私がいうのもへんなのでとりあえず心の中だけでよかったね、という。大ボスはその結果に対しては「けしからん!」と憤慨してくださったとか。深海並みにお先真っ暗な日々の中で、ちょっとだけ明るい気持ちになる。
_ 昨日は快気祝いということで(全快にはほど遠いけど)、大ボスとトラ子女史とで食事。多忙の隙間を縫っていただいた。終始落ち込みモードではあったけど、久しぶりにしんみりと話せてよかった。決して元気になるような話をしたわけではないので、一緒にいた人びとがどう思ったかは知るのが恐ろしいところだが、病み上がりの落ち込みモードは全員経験済みだから、気楽ではあった。
昼間は仲のよい後輩さんが来てくれたり、留学生さんが御見舞いに来てくれたり。7キロ痩せて、すでに5キロは戻っているのに、みんなが「もっと太らなくては!」という。それだけは微妙な問題だ。