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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

21-01-2006 / Saturday [長年日記]

_ 大雨の暴風雨の中、深夜に地方から戻る。ただ畑と田んぼを見に行ったようなものだけど、ものすごくよい旅だった。ここで調査してみようかと真剣に考える。

私がいつも使っている言葉の、すさまじく乱暴かつ下品であることに、いまさらながら気づいたのは、こういう地方に行ったときの、村の人の私への接し方の丁寧さに心が洗われるような思いがするからだろうか。外国人だからとか、学校の先生だからとかそんなのではなく、よく知らない旅の人に会ったときの接し方なのだろう。試みに連れて行った同じ村の娘さんたちの、いい意味での下町加減が、目に付いて、これも驚いた。私は話している相手の方言にすぐにつられるので、すぐに言い回しを覚えられたのだけど、娘さんたちは、そんな私を見て、けたけた笑う。吉本新喜劇をみているおばちゃんのように、がはがはと笑う娘さんたち。ことばを作るのはいったい、どんな要素なのだろうか。私ももうちょっと、こちらの国営放送のアナウンサーの使うことばを意識したほうがよいかもしれない。

ところで。今回のドライバーは、いつもの人とは違った。いつものドライバーは「永遠の友だち」という名前の人で、正直に打ち明けると私はこの人がものすごく好きになっている。なにがよいかというと、何人外国人を乗せたとかいう自慢を一切しない、運転がうまい、歴史をよく知っている、話がおもしろい、機知に富んでいる、という私にとってのあらまほしき美徳を全部を備えている。そして、こういった情報を持っているのに、おしつけがましくない。そこがものすごくよいなあと思っている。そしてまた、人の心を読むのにも長けている。昨日のドライバーは、これまで何人外国人を乗せたかという一覧表を持っており、別荘地に土地があるからちょっと見に行こう、こういう事業は日本では受けないだろうか、今度くるときも必ず俺を使えとか、そんなのばかりで、歴史とかぜんぜん知らなかった。複数の地方語を使いこなしてはいたが、私が村の人に質問すると、その人が答える前にドライバー氏が先に応えるという、典型的に私に嫌われるタイプの人だった。「永遠の友だち」氏は、筋骨隆々で、落ち着いていてかつ挑戦者であり、今だけでなく、先のことが読める。小学校しか出ていない。それでもその歴史とか土地に関する理解力の深さには本当に毎回驚かされる。知識の量ならば、私のほうが上かもしれない。なにしろ本をよんでいるのだから。しかし、それらのばらばらの知識が、どういう関連性を持っているかについて、こちらの地元の人の理解力は、そういう本を書く人の理解力を完全に凌駕する構築力を持っている(変な日本語やねえ)。これがものすごくおもしろい。歴史的に間違っているような事実でも、こちらの人の言説で組みなおすと、とたんにわたしの目の前で、明確な輪郭をともなって再構成されてくるのである。こういうやりとりのできるドライバーならば、誰しも自分の助手にしたいと思うのは当然である。そういう薀蓄はさておき、人柄がものすごく気に入っている。

そして、私と恋に落ちるような野暮はしないだろう。だから私も遠慮なく、実らぬ恋を楽しんでいるのだろう。ま、場所が場所だし、土地柄、未婚の男女が仲良く手をつないだりしたら、双方、打ち首の国である。その危険を冒すほどには、私も「永遠の友だち」氏も愚かではないのだろう。そのものわかりの良さが、なんとも哀しいのではあるが。


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