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  1. ぜぶら (05-27)
  2. ぜぶら (05-19)
  3. ぜぶら (05-13)
lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

04-05-2006 / Thursday [長年日記]

_ 連休中は、本部屋で読書三昧+αで過ごそうと思っていた。ここは電話も何もない。お茶しか沸かせない。疲れたら、ラジウム温泉に行ってのんびり…などと思っていたのだが、非常勤に出かけた月曜日、途中でめまいがして、一歩も動けなくなった。途中の駅でなんとかがんばって一旦、下車。しばらくベンチで横になる。通勤時間帯に恥ずかしいことだったけど、救急車を頼むほどではないと判断できたし、いざとなったらもう公衆電話を探さなくても携帯電話があるという安心感(このとき初めて、電話を買ってよかったと思った)で、10分ほどで、なんとか立ち上がれた。2コマ片付けてから、駅に戻ろうと頭は働くのだが、もうそのときはかなり発熱していたようで、激しい悪寒が襲ってきた。体中のリンパ節も痛む。よもや、またしてもややこしい病気が潜伏していたのかと不安になる。とりあえず、お茶を買って飲み、大学へ戻る。ややこしい病気だった場合、すぐに入院できる。前に入院した病院には転送してもらえばよい。まっすぐタクシーでとりあえず、百万遍に向かった。保険証もないし、とりあえずの応急処置をしてもらおうと思って(このときはてっきりマラリアが出たー、と確信していたのである)保健センターに駆け込んで、状況を説明。検温したら8度台前半。今度こそ、殉職か…などと思っているうちに、病院にたどり着けた安心感で、どんどんと楽になってきた。脈拍も正常。扁桃腺が腫れていたらしい。風邪とちゃいますか…という判断が下されたので、さらに元気になったような気がして、そのまま歩いて帰宅。本下宿は冷蔵庫もなにもないので、もしものときにはどうしようもない。あっさり連休の計画は白紙に戻されて、おうちで静養していました。次の日の非常勤は、ごく普通に元気にできた。昨日は、これまた熱が出て、一日中、寝て過ごす。今日は、元気。マラリアではないけれど、実にマラリア的に不規則に規則ただしく熱が出るところが怖い。実は、もう10年くらい前にも、貧血でホームから落ちかけたことがあった。このときは、辛うじてホームの端に体が残ったので、事なきをえたけれど、あのときの恐怖が蘇ってきて、もう無理はしないで置こうとおもった。無理というほどのむちゃもなにもしていないのだけど、いろいろ頭を使いすぎていたから、なんだか緊張しすぎていたのだろうなあ。あと寝不足だ。連休中は、うんと寝よう。そうしよう。


05-05-2006 / Friday [長年日記]

_ 病床で読んだ本:村田エフェンディ滞土録/梨木香歩。しみじみよいです。まさに病気の床で読むのにふさわしい異国の物語。ついでなので、家守奇譚も再読した。今年はトルコともいっかいハノイに行きたい。そういえば、ハノイを一緒に歩いた人の本が出た。懐かしいなあと思って、ぱらぱら。

保健センターでもらった薬を飲んだら、ほんとにびっくりするくらいすぐに回復した。今日は朝から起きあがれた。お昼前にいつものママチャリのほうで、ジャスコへ。簾を掛け替えるので、新しいのを物色に。ヒヨコ豆の料理を作ろうと思ったので白ごまペーストとナス。あとジャスコブランドの生ハムが、ばかにできないおいしさである。行くたびに、二パック買って帰る。帰宅して、簾を掛け替えて、のんびり「恋の門」。わたし、この映画が好きやなあ。よいです。ばかばかしくて、とってもよい。塚本晋也と「鉄男」もあった。個人的には小島聖の側転。そして、松尾スズキ。来年のバレンタインにはチョコをわたしたい人。

_ 明示的というのか暗示的というのか、このごろ、ストーリー性の高い夢ばかりを見る。起きて時間がたつにつれ、嘘のようにきれいに忘れていくのだけど、何を示唆しているのだろうか、あるいは何も示唆していないのかもしれないが。

_ 携帯電話以前、インターネット以前の世界の明確な記憶があるし、新幹線に初めて乗ってパンダ(当然、ランラン・カンカンだ)を見に行った時の記憶も鮮やかだ。初めてインターネットというものを触ったときのことも覚えている。最近、インターネットは、時刻表を調べたり、安いホテルを探したり、レシピを確認、本を注文するとかばかりで、人的交流部門の開拓については、今も昔も疎かだ。もともと、インターネット上のお友だちはものすごく少ないし、増やす努力もしてこないでいたのは、根っからの引っ込み思案だからというのもあるし、知らない人と仲良くするのが決してきらいなのではなくて、下手くそというところにつきる。無愛想になる気概もないくらい。それがこのごろ、走る用の自転車を買ったため、分解の仕方やら、メンテナンスの仕方などを調べていて、「よくぞこういう情報を載せてくれました!」というサイトに頻繁に助けられている。思わず、一言、掲示板に「ありがとうございました」とか残したり。こういうコミュニケーション、ものすごく久しぶりのことで、なんだかうきうきとしてしまった。ツッコミ、コメント型のサイトの良さとは別で、掲示板もまたよいねえ、と思った。自転車、ヘルメットも買った方がよいとは、どこのサイトでもかかれていることなのだが、そんなに気合いの入った格好で(や、実は東京まで乗っていこうと思っているのだけどさ!)、市中をうろうろするのはなんだかな。とかいいつつ、相当、気合いの入ったすごい自転車を買ってしまったので、最初のツーリングはどこに行こうかなとか。たぶん、ばあちゃんのお墓参りだ。大学から鞍馬街道目指して走って、帰りはラジウム温泉。ラジウム温泉でなくてもよいのだけど、最近の一つ覚え。これが誕生日ツーリングになる予定。毎年、河原でお弁当を食べて過ごしていたけど、今年はひとつ、さわやか系で過ごそうと思っている。6月には琵琶湖一周の予定で、今、そのルートマップ作成に余念がない。


06-05-2006 / Saturday [長年日記]

_ 萱野茂先生が亡くなられたとのこと。ご縁があって、何度かお話をしたことがあった。今、こんな仕事をしていることのきっかけは、間接的には萱野先生の影響があったのだと思っている。この数年間は、博論を書くなどというのを言い訳にお会いする機会を逸していた。先生のアイヌ語が懐かしい。今頃はカムイノミの神の国に戻られたころだろうか。萱野先生のご冥福をお祈りする。

_ 昨日まで続いていた微熱、引く。

実は家をかおうと思って、内見に行ってきた。山の手の中古の分譲公団住宅。70平米の2LDKで、わたしが買おうかと思うくらいだから、当然安い。築浅ではないけれど、風光明媚で、中世日本史好きの人だったら、絶対に住みたいと思う場所だ。場所の謂われ云々もあるけれど、私にとっては、部屋が広くて、間取りがとても使いやすそうだというのが重要。蔵書を一面書架にしてきちんと整理できる部屋だ。思い切って内見を申し込んでみたのである。

果たして、間取り的には、問題なし。古い公団なので、水回り関係が、多少ぼろいのは仕方がない。ところが、やっぱり、小さい子供さんがいた家だからか、障子という障子、ふすまというふすま(といっても和室はひとつだけ)が破れている。クロス貼りの壁も、手がぶつかるようなスイッチ周りとか、そういうところが、とにかく剥がれている。天井は、全室、なにかの吹き付けなのだけど、打ちっ放しコンクリートのほうがまだましのような、年代物で、何かの拍子に夜中に目が覚めて天井を眺めたら、人の顔が絶対に見えるだろうなと思ったほど。少なくとも、畳は長年、敷きっぱなしの絨毯に覆われてきたから、張り替える必要がある‥と思って、不動産やに戻ってから、いろいろそのあたりも勘案してもらって、そろばんをはじいてもらった。頭金を多く入れるので、月々の返済は3.7万円。しかし、リフォーム代は、ごく当たり障りのない(つまり色気のないもの)仕様で、大体80万円くらいだろうとのこと。。うーむ。果たしてそんなリフォームを施す意義があるかどうか。それだったらば、もう少し、狭くてもいいから、最低限のリフォームだけで住める家でいいんじゃないか。そもそも、自分でリフォームすればいいのでは?という気持ちになってきた。風光明媚な山の手である。スーパーが近くにないとか(そもそもコンビニもない)、いろいろあるけど、環境は抜群かもしれない。と考えているうちに、老後もここに住むとなったら、ちょっとたいへんかなという気がしてきた。もうたぶん、結婚しないだろうし(というかできないだろうな、もう相手探すのがめんどう‥)、こどもだけでも欲しいなと思っていたけど、そもそもそんな雰囲気になる出会いもないし、大体、仕事だってないんだから(!)、家を買おうなんて間違っているのかもなあ‥と、だんだんと現実的になってきてしまった。家も買わず、子も産まず、定職につかないままこのまま死ぬのかな。なにもかも中途半端のまま、冥土にいくにあたって、ひとつも自慢話がないと、あの世でもさびしい思いをするのかな。と、思考はいつものように、暗い方向へ流れ込みそうになったので、とりあえず、結婚していないけど独身団地妻になることを目指して、公団の部屋を探すことにします。

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_ ぜぶら [条件的にはいいですよね。(好みの場所+広さ+間取り) あ、でも友人に聞いたんですがマンションの場合、大規模修繕という..]


07-05-2006 / Sunday [長年日記]

_ レジュメにちょっと手を入れておこうと思ったのが運の尽きやったのね。もうワードは使わない!というか、こんなのいつまでも使っていてはだめだ。頼んでもいないのに勝手に変な記号を文頭につけたり、それを解除したら、レイアウトが全滅させられたり。イルカとかに聞いてもこういうことにはちっとも答えてくれない。作った書類をすぐに一太郎にコピーして、そちらで編集した。一太郎は全国の省庁御用達だからかどうかしらんが、素直だ。エクセルと一太郎とATOKさえあれば、もうそれで十分じゃ。パソコン関係にむっとさせられると、どこに怒りをぶつけてよいかわからなくなる。もっとも、そんなのにいちいち動揺させられるような、わたしの精神がだめなのかもしれない。

_ 実家住まいなんだから、ゆっくり家探しをすればと母。それもそうだなと、考え直す。母としては娘の行く末が不安なのだ。長々と学校に居座り続けて、未だ職も得ず、どうやら結婚しなさそうなので、孫の顔をみることもないだろう、かくなる上は、老夫婦の介護で一生を終わらせるよりかは、さっさと家を出て、一人暮らしをしたほうがよいと考えている模様だ。昨日の公団には住みたいと思うので、もう少しよい物件がでるのを待とうか。

_ パワーブックでビデオの編集をしようとあれこれ試みているのだけど、どうやら、あれですな、アナログ→デジタルの変換機器がいるみたいだな。探してみたら、なんか高い。わたしも贋MacUserになったのだけど、未だ、仕組みがわからない。なんか一冊本を読んだほうがいいと言われているのだけど、どれを読めばいいのかもはやわからないです。画面は断然、きれい。もうThinkPadさんに戻れない。ウィンドウズの画面と比べると、紀元前、紀元後くらいに違うような気がする。とはいえ、大部分のファイルはウィンドウズさんに入っているので、しばらくは両方使いながら、仕事を進める予定。仕事とは?投稿論文書きだ。


08-05-2006 / Monday [長年日記]

_ 淡々と毎日を過ごしているけれど、明日のことは誰にもなにもわからないからなあ。だからこそ、後悔しないように、全部自分の責任で行きたい。他人には絶対に迷惑をかけない覚悟で、淡々と過ごしたいと思う。四六時中、つるむ友だちはいないけれど、心底困ったときに、すがりつくことのできる友だちはいる。絶対に、受け入れてくれる友だちがいる。そういう人がいるという気持ちを支えに、淡々と行きたい/生きたい。

_ なぜそこで家を買うという選択肢がでてくるねんなー、と一喝されてしまった。もっと違う選択肢はないのか、たとえば結婚相談所に行くとかー、と。家に投資するほうが、絶対、後悔しないような気がするものな。あと、基本的におうち人間なので、のんびりできる家があったら、あとはなんでも我慢できるような気がしている。それに、仕事だってはかどりそう(嘘かもしれない)。


09-05-2006 / Tuesday [長年日記]

_ 自転車が来た。さっそく組み立てて、午後の日差しの中を走ってみた。吉田山に登るか、川沿いに上って行くか迷って、後者。なんといっても24段変速なので、一番走りやすいシフトを見つけたかったので、ぐんぐんと走る。ものすごいスピードが、楽に出る。このまま石に乗り上げたりして、滑ったりしたら、鴨川の藻屑となるのかというくらいに滑るように走った。もう河川敷に道がなくなるところまで走った。そこで橋を渡り、対岸に出る。また滑るように走る。前2、後6〜8というシフトが一番走っていて楽しかった。糺森も走る。きっと朝の空気の中で走るのがよいのだろうな。たっぷり3時間くらいは走った気分になっていたのだけど、実際には40分に過ぎなかった模様。それでも緑の空気を吸い込み、少し汗をかいて、頭の中も気持ちもなにもかも、とても軽くなったよ。これからはできるだけ毎日走ろう。30分でもよいから、無心に走って、もう一回、耕し直したい。こりこりに固まった部分を少しずつ、解していきたいと思った。

_ とりあえず非常勤、前期の三分の一が終わったところで、去年までに比べて、格段にストレス改善して、調子がよい。自転車操業には変わりないのだけど。どうしたのかというと、出席を取らなくした。何百人分も毎回、コメントペーパーを読んで点数をつけていたのをやめた。そのかわり、必読図書を数点挙げた。教科書ではない。どれか一冊、必ずきちんと読破して、試験に臨めという方式にして、出席点の比率をぐっと下げた。学生さんが減った理由がそれだったのか、裏シラバスの悪評ゆえなのかわからないけど、どっちにしても、今回は、お互いハッピーに過ごしている。わたしも落ちついて、どこをみて話せばよいか、今回はわかるようになった。だれがどこに座るか、ほぼ全員、毎回定位置に座るということもわかってきた。遅刻者、途中退室する人もいまのところ皆無。ぱんきょーなのに、です。そして、講義の位置づけはどないなるんですかー、という質問が当然くるのだけど、講義はみなさんに指定した必読図書をより深く理解するための手がかりを提供するためのもの、必読図書を読んでフィードバックがあれば、それをさらに質問するなり、他の文献を読むなりしてね、そのために毎回、いろいろな視点からというのにこだわって話していますー、などときちんと説明もできた。わたし自身の反省としては、詰め込みすぎで、しゃべりすぎ。もう少しゆっくりと、ほんとに必要なところだけ、話すようにしないと。もっとも、わたしにとっては実験的なやり方であるのには違いないので、破綻するかもしれないけど、今のところ、学生さんの感触はよい。私語がゼロ!というのが、ほんとにパラダイスです。しかも、男子大学では、最前列に陣取って、いつも熱心にノートを取る三人衆がいる。やー、かわいいなー、と思って、ノート屋ではないことを切に祈っています。女子大のほうは、ちょっと黄色い声の人が多いけど、おおむねよい感じ。ただ、留学生から「板書が下手」というコメントが出たので、気をつけないと。あとは、レジュメの進行と、話している内容がずれているとか(笑)。いつものことなので、許してでは済まないので、これも気をつけよう。


10-05-2006 / Wednesday [長年日記]

_ ケーニヒス・クローネのコブレンツ。

_ 午前中曇り、午後から雨で、ゆっくりとした一日を過ごした。夕方から「耳をすませば」「魔女の宅急便」、観る。おんなのこって、いいなあと思う。

そういうわけで、のんびりと今日一日だけは、なにも言い訳をつくらずに、穏やかに過ごした。また来年。


11-05-2006 / Thursday [長年日記]

_ お昼休みを利用して、自転車で走る。途中でお弁当を遣った。ベンチに腰掛けておにぎりを食べて温かい日差しを浴びているうちに、うとうととなりかけた。誘惑を振り切り、えいやと自転車にまたがり、思い切ってひた走る。北山通で川縁を離れて、東へ。ひさびさに北山のブティックなどを横目に府立大の前の道を疾走。ここはよい道!車は少ないし、道は広いし。思いっきりスピードを出しても、全然、足も何も疲れない。5速で名神を走っているときの無重力感に近い。これはあぶないなあ。一定の速度以上を出したら、警告音が鳴るような仕掛けはないものか。本下宿に寄る予定だったので、北大路に出たところで北白川へ。研究室に戻る前に、書籍部でトーマス・マン。今年一年は、新刊図書を読まないことに決めたのである。西洋および日本の古典文学イヤー。トーマス・マンは古典作家かいな?という疑問はとりあえず無視して、『ブッデンブローク家の人びと』。重厚長大名作文学路線の扉を開けました。

研究室に戻って、打ち合わせ。話は横道にそれて、インターネットで日記なんぞ書くやつの気が知れん云々、という話で盛り上がっている。適当に相づちを打つが、インターネット・リテラシーがなさ過ぎるのもまた困ることよな、などということも一言も言わないし、思ったりもしない。自転車を買うに当たり、インターネットも活用したが、自転車屋にも電話をかけたりして、いろいろと情報を収集もした。普通のリサーチとおなじだ。日記書いて、適当に憂さを晴らしたり、ささやかな交流を楽しんだりしているが、こんなことは別に特別でもなんでもないことである。携帯電話を持とうが持たないでいようが、わたしという人間が本質的に変化することもないわけだし、日記を書いているからといって、自己顕示欲が異様に強いわけでもないし、露出狂なわけでもない。そういうような角度から一言、意見を言ってもよかったのかも知れないが、他人に言われて納得するくらいであれば、そもそもそんな偏見的思いこみをどうどうと述べたりすることもないわけである。百聞は一見にしかずということは、経験によってこそ真に理解されるのだから、機が熟せば、今、インターネットに日記を書いている人のことを(まったく理解できんね、なんだありゃ)とか言う人だって、違う意見を持つかも知れないしね。そんなことよりも、なんで今、自転車なのですか?自転車はあなたにとってどんな意味があるのですか?と聞かれたことに対して、なんだか曖昧に適当なことしか答えられなかったわたしのことが心配だ。なんで自転車なのですか?答えはあるようでないようで。。


12-05-2006 / Friday [長年日記]

_ なんかとにかくいろいろだ。

不謹慎なのだけど、おもしろい。落語みたいな話。
【2006年5月12日 朝日新聞】冗舌に語りマッサージも、風変わりな強盗逮捕 警視庁 2006年05月12日12時09分 一人暮らしの女性宅に早朝押し入って現金を奪った後、「パソコンに詳しい」などと冗舌に語り、時には肩のマッサージをする風変わりな強盗が、警視庁に逮捕された。銀行が開店するまでの時間稼ぎで居座り、おしゃべりやマッサージは「恐怖感を和らげるためだった」と供述しているという。
実際、こんな人がきたら、絶対に怖いとは思うけど、なんかおもしろいですな。パソコンの画面をみて笑うなんて、ひさしぶり。

_ きのう、誕生日祝いと称して、大ボスと同僚とで晩ご飯を食べに行ったのだが、そのときに食べたカツオのたたきのニンニクがあまりに大量だったので、いまだにきもちわるい。思いっきり、自転車の自慢をした。誕生日祝いと称して買った自転車、名前は「次郎」にした。ジローラモさんと出身がおなじだから。


13-05-2006 / Saturday [長年日記]

_ 最近、好んで食べている野菜のグリル。普通のフライパンに、適当な野菜をざく切りに入れて、炒るだけ。油は使わない。焦げ目が付いたり、全体にしなっとしたら、少しだけ岩塩を振りかけ、コショウを挽いて、気分によってワインビネガーを回し入れる。そうでないときは、お皿に盛ってから、しそドレッシングなどをかける。案外ボリュームがあるし、野菜がたっぷりと食べられるので、気に入っている料理ともいえない料理。ジャガイモなんかも、よく洗って皮付きのまま半分に切って、放り込む。ほくほくとしておいしい。

_ 中島敦、山月記。折に触れて、繰り返し読んでいる。

_ 自転車琵琶湖旅行の準備中。予定では、来週の半ばあたり。5月から虎穴に戻っていることになっているが、諸般の事情で、正式な雇用は6月からなんだと言われたのが先週って、どうかと思うけど、そんなものだよね、ただのパートだからな。その間、ボランティアを暗に求められたので、旅に出るというわけだ。それまでに自転車の工具を調達しておかねば。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ ぜぶら [わ。偶然ですね。私も中島敦『李陵・山月記』読んでいます。『李陵』→山のクマにぴったり!なわけです。中島敦は大好きです..]


14-05-2006 / Sunday [長年日記]

_ 某大英帝国の人から、わたしのホームページ(大学の方)のプロフィールの英語がへんだから、直してやったよというメールが来る。一体、だれ?ありがたいけど、あとでなんか請求されたりしいひんかどうか、若干、心配。そもそも、あんまり格調高い英語にされても困るんだよ。

_ もう戻れないから、前に進む。

_ ATOKが全然機能しなくなったのと、Nortonのウィルス定義がダウンロードはできるけどインストールできなくなったので、一旦、全部削除して入れ替え。やっぱり最初にインストールしたときにきっちりと入っていなかったようだ…って、なんでパソコンのくせにそんな人間くさいことになるのだろうか。お料理とおなじで、手を抜いてはいかんのだな。お料理関連の箴言として、わたしがいつも思い浮かべるのは、吉本ばなな(当時)の「キッチン」の一節である。…野菜はきちん水切りをして、まな板や包丁もきちんとふきんで拭く云々、というくだり。みかげが大学をやめてお料理教室のアシスタントをしてからの話のほう。とんかつの出てくる話のほうである。小説の文脈とは関係ない部分だけど、よく覚えている。パソコンも、だめなときはスタートに戻り、削除・入れ替えなのかも。技術のある人は、いろいろ自分で試行錯誤できるのだろう。が、初心者は基本にかえるべきなのだろう。とりあえず、やっと本来のATOK2006の最新機能を享受できる運びとなった。自分のパソコンの使い方からして、一太郎とATOKとエクセルとAl-MailとFirefoxだけあれば、もうそれで十分かも。Al-Mailはもう開発は終わっているようだけど、このひとはそのままざっくりとファイルコピーして、新しいパソコンなんかにすっとこぴーできるところがえらい。今でも使っている人がいるのかどうかわからないけど、メールが届いたときに出てくる、郵便ポストくん(と勝手に呼んでいる)が素朴でかわいい。


15-05-2006 / Monday [長年日記]

_ Stay Gold.

スティービー・ワンダーの名曲だ。ベタなアレンジだけど、聞くたびに、Stay Goldじゃないとな、と思う。そんな気分にさせられる。しっかりしないと。

_ 某所に用事があったので、荒神さんのところのまんじぇびあん。相変わらず美味であるが、だんだんこの手の洋食を食べるのがしんどいというのか、息詰まりになってきた。なんでだろ。おいしいなと思って食べながらも、心は(なぜ「さらかも」に行かなかったのだ…)と、悶々としてしまった。でもおいしかったのだけどさ。某所経由で某所へ。ちょっと打合せしてから、国際電話数件。異常に通信事情が悪い回線で、ほとんどなにも聞かないままに、一方的に電話を切られてしまった。泣く。

_ ばっかじゃなかろうか。得意の話題で話す予定だったので、気合い入りすぎて、おおこけにこける。学生さんに申し訳ない。もっと基本に忠実路線でいかなくちゃなあ。

受講登録者名簿が来たが、なんと去年とおなじだけの人数が登録している。。今日はその10分の1しか来ていなかった、なので、ちょっと今さらながらに警告を発する。出席は取らないけれど、それは来んでもええー、ということではないのだよと。遅すぎたか、失敗した?まだまだ挽回できると思うので、来週からはもっと基本に忠実路線でいこう。


17-05-2006 / Wednesday [長年日記]

_ iTunes、危険やね、いろいろとついついダウンロードしてしまった。というか、音楽全盛期に育ったのだなーなどと、感慨深い。今、新しい音楽を聴いてもよくわからないし、好きになるのはやっぱり80〜90年代の香りがするものばかり。なんといっても小学校の20分休憩のとき、ピンク・フロイドがかかっていたものなー。もっともそれがピンク・フロイドだったということがわかったのは、高校生になってからのことである。いまでも20分休憩ってあるのだろうか。

_ 非常勤のあと銀行に回ったり所用。大学に着いてからずっと電話。メールを使わない人々が今でもいるということ、FAXがない世界があるということを、人はもう考えつかないらしく、電気もまともに通っていないところの人がどうやってメールを読む、あるいはFAXを使うことがあろうかなど、そんな説明をできるだけ婉曲に伝える。実際には、有線電話の普及はもう中断しており、衛星回線?を使った携帯電話の利用が一般的になっている。だからインターネットだって理論的にはできないはずはないのだが、如何せん、電気がない。電気がなけりゃ話にならない。そこのところ、文明国に長く住みすぎていると、もう思い及ばなくなるようで、苦心して説明。大学の事務はほんとに杓子定規だなと思う。

夕食、友達と二条のフレンチ。お店の雰囲気もよいし、ギャルソンの男の子はたいへんわたしの好みのムーミンタイプであったが、もう二度と行かないだろうな。さておき、食事しながら、宗教談義。わたしは研究者に一番求められる姿勢は、人の話を聞くということではないかなと思う。自分の話ばかりをするのではなく。もっとも研究者になるということは、わしはこんな立派なことをしてるのだよ!ということをアピールし続ける商売だから、控えめな人とか自信喪失気味の人にはつらい職業でもある。だからわたしは辛いんだというはなしはおいておいて、あと人の発言は最後まで聞くこと。それと研究者でない人がその話を聞いた場合、全部はわからなくてもよいから、なんらかの理解とそれにともなう質問が出てくるように話さないといけないのではないかな、と思っている。昨日の友達、年齢を経るごとに、なんかへんなふうな方向に曲がっているようなかんじ。。最後まで人の話をきけ!と、おもわず口から出かかったけど、言わないでいた。

あと、一人暮らしで一人の食事が長いと、食事の時のお行儀って、やっぱり気を遣わなくなるのだろうか。‥などと、偏見をおもわず引き出して来そうになるほど、昨日の夕食は、いろいろな意味で、人生ってたいへんだね感でおなかがいっぱいになるような思いがした。人のふり見て我がふり直せ、な機会。あと素直さって、大事だなとかさ。一緒にいる人を不愉快にさせないでおこうとか、そういう気持ちのもちようとか。わたしもたいがい、不愉快な人間であることは自覚しているのだけど、外で一番、気をつけるのは食事のときのお行儀かもしれない。それはマナーに忠実にとかいうことではなくて、おいしそうに食べることと一緒にいる人を不快な気分にさせないということ。あと背中は伸ばして前向いてきちんと噛むとか。一人だと下を向いてちゃっちゃっと食べてしまいがちだけど、一人だからこそ、余裕を持って堂々と食べようと思っている。なので、最近、積極的に、ひとりイタリアンとかひとりフレンチとかしているわけだ。もう十分に大人なのだから、どんな場面でも堂々としていたいと思うのだ。どうせこれからも一人なのだから、ひとりじゃ寂しいとぶーたれる一方で、一人でもちゃんと大人でいられることを目指したいなと思うのだ。最近、そんなことを考えるようになった。

あと、そうね、博論のことかな。わたしは博論を書いていた年の8月後半から提出の12月8日だったっけか、それまでの4ヶ月弱、ほとんど家から一歩もでなかった。たまに自分の食べたいものを買いにスーパーに買い出しに行くこともあったし、気分転換に自転車で散歩に行くこともあったけど、原則的にずっと閉じこもって、毎日、毎日、書いていた。自宅人間だったからそんなこともできたのかもしれないけど、基本的にものすごく集中したと思う。ときどきデートに出かけることもあったが、さっさと帰ってきた。そういうふうに自分を追い込んだように、今から思うといえる。そんな話を先輩風ふかしてするつもりは毛頭ないし、そもそも一緒にご飯を食べた人は、わたしよりも10歳近く、年上の人だ。年齢は関係ないけど、自分よりも長い人生経験で、そういうことはきっとわかっているはずだとも思う。そういう人が論文書けないー、と呻いても、もうかける言葉はみつからないよ。なんていっていいのか、わたしもわからなかった。社交行事を減らしたら?と口から出かかったけど、気分転換ということばの前に、出番を失ってしまった。社交も確かに大事だし。あー、何かいているのかわからなくなってきたけど、がんばるときは一所懸命がんばる、あんまりぶーぶー言わない、それだけこつこつ実践していかんとなー、と思いました。


18-05-2006 / Thursday [長年日記]

_ なんかもういろいろたいへんで、昨日と今日はほぼ機能停止状態。わたし、ほんとにもう復活できないかもしれない。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ ぜぶら [どうかしたんですか?]


26-05-2006 / Friday [長年日記]

_ なんというのか、人はあるポジションに一旦就いてしまうと、もう自分が下々の者であった時代の記憶を無くしてしまうものなのだろう。メアリー・ポピンズで、末っ子のアナベルが生まれたときの話と一緒だ。物心がついてしまった赤ん坊は、もうロンドンのスズメの言葉がわからなくなってしまう話。わたしはスズメ語しかまだわからない。大人語はほんとはわかっているのだけど、いかんせん、ポジショニング上、スズメ語しかわからないことになっている。仮に大人語がわかるようになっても、スズメ語を話していた時代のことは絶対に忘れないでいたい。

_ スポーツジムにでも通ってみようかなと考えている。もともとランニング・ハイになるの好きだし、自転車に乗るようになってから健康志向になりました。もともと乗り物にはなるべく乗らずに歩くようにしているから、あんまり苦痛とかでもない。ずっと本を読み続けていると、健康に悪いなあと最近、つくづく思うので、できるだけ走ったりしている。駅でもどこでも、当然、エスカレータなんぞには乗らない。

間違えて日傘を買ったりもした。隣にかかっていた日傘が8,000円。その隣にもっとすてきな日傘があったので、広げてから「よし、これに決めた」と、後ろで待ちかまえていたおねえさんに渡したら、なんと*2のお値段を請求された。でもかわいいからいいんだ。信じられないくらいにかわいい傘。わたしはかわいいものしか持ちたくないのだ。もう誰がなんといおうとsweetなのだ。ヘンゼルとグレーテルと互角だ。しかも晴雨兼用なんてものではなく、晴れた日にしか使えない本物の日傘。こんなものを買うのはまっとうな人間ではない。わたしはあほか、と一人つっこみを入れました。セールの季節になっても、日傘売り場を覗かないこと!


27-05-2006 / Saturday [長年日記]

_ やっとこさほんとに問題解決された。青臭い正義感を出してよかった。社会的に抹殺され、学問的にも緋文字を刻みつけられて当然かもしれないと最悪を予想したのだけど、意外な方面から支持があって、優等生的おばかな主張がちゃんと認められた。ようやくほっとする。友情は失ったかもしれないけれど、それは私の方で失ったと思わなければよいことだ。

人をスポイルしてしまうのも人、人を救うのも人やなあと思った。妙な達成感で、朝まで眠れなかった。なので、今から寝ます。仕事熱心な検事が、悪徳弁護士を相手の勝負に勝ったときって、こんな感じなのかなとか。なぜか、弁護士に対してよいイメージが持てない。官僚好きなのだろうか。とか馬鹿なことを一晩中考えていた。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ ぜぶら [よくわからないけど、とにかく良かったです。 地球はちゃんと回っているんだね。 淘汰されていく友情もあるでしょう。 ..]


28-05-2006 / Sunday [長年日記]

_ 会議のあと、同級生たちと某おでん屋。久々に女一人だったが、下ねた系でもりあがる。が、女子大で教えている友達は、立場もあってか「そんなこといっちゃだめだよ」と常に他者を制す。壁に耳あり状況を回避していたのか。下ねた系といっても、わたしがいるからだと思うけれど、男だけの時にしているような話題にさしかかると誰かがかならず意図的に話題をそらしていたのがおもしろかった。もうそんなことでお互い、動揺するような年でもないのだが。むしろ学問状況的に、もっと知っておきたかった。あとはまた宗教談義。宗教研究をしている人ほど、煩悩が多いとかそういう話になる。そのとおり。

おでん、昔はおいしいと思っていたのだけど、塩味がすごいことになっているな。世の中の味付けが、だんだんと減塩傾向になっていたと思っていたのは間違いなのか。このごろ、何を食べても「塩辛い」と思うことが多くなった。これなんだろ?

非常勤の準備をする気に全然なれない。教養科目の範囲で話すべきことだけ話すようにという、へんなお達しがあるのだ。基本的に無視しているのだが(ネガマジメナノデ)、中途半端に縛られているからだと自己分析。完全自転車操業中で、こんなことでは許されないと思うのだけど、昨日の友達からの話を聞いたことが、なんとなく自分の中では言い訳になりつつある。わたしは他の非常勤の先生たちとほとんど接点がないので知らなかったけれど、某大学における学生による過酷な授業評価の是非とか意義とか、結構、問題にされているそうだ。アメリカではすでに、学生による講義評価はほとんどしていないらしい。なぜならば、学生にとって単位を取りやすく、出席等を厳しく取らない講義ほど、評価点が高く、対極に位置する講義ほど評価点が低いことがはっきりとしたからなのだとか。考えたらしごく当然に聞こえる。もっとも、わたしの場合、内容的に改善すべき点が高いから、学生の評価が低くても当然とは思うのだが、それでも何パーセントかの人は、ものすごく好意的なコメントを書いてくれたりする。これがよくわかないのだが、励まされることであり、ありがたいなと思う。でも準備はいつもぎりぎり。だめ。

インドネシアでの地震。神戸の時や、スマトラ沖の時とおなじく、一刻ごとに、亡くなった方の人数が増えていく。火山も活動しているし、二次災害とか対応できているのか心配。BBCで見る限り、被害者数や世帯数などはまだまだ大きくなりそう。被害状況の見極めが早くできればよいのだが(被害の程度がこれ以上大きくなければよいのだが)、バリ島に次ぐ観光都市だけに、「復興」ということばには、災害に遭われた方々の生活再生と観光資源、観光環境の再整備が含まれてくる。タイのプーケットなどでも未だに相当にダメージが大きいとも聞く。テロ事件後、バリ島への観光客の減少が食い止められないばかりか、日本からの直行便まで廃線になるとも聞いている。本当の「復興」が実現するためにも、諸外国の関心が失われないためにはどうすればよいのか、スマトラ沖地震でどんな教訓が得られたのか、とても知りたい。復興というのは、お金とインフラ再整備が完了しただけでは、ほとんど意味がないこともあるのだから。観光が文化なのか、現象なのか、最近考えることがおおい。このことはそのまま、他人に対する関心の持ちようにつながるような気がするからかもしれない。


29-05-2006 / Monday [長年日記]

_ 米原万里さん、亡くなられたのか。。文春の書評で取り上げる本が、病気と戦っていることをきちんと告げているものばかりだったから、どこかで覚悟はしていたところがあったけど、あまりにも早すぎた。無念。すごく好きだった。テンポのある文章と、毒舌というのか、毒視線というのか、意地悪に見えるのだけど、いろいろなものごとの本質をかならず的確に射ながら、ありとあらゆる角度から分析しているところが好きだった。ご冥福をお祈りするなんて言いたくないのだけど、今頃、フルシチョフなんかに会ったりしている頃かな、チェホフとかドストエフスキとか、エカテリーナさんなんかにあったり、ほんとにニコライ2世一家はもうみんな亡くなっていたのかどうかとか、そんなことを調べていてくれたらいいなあと思う。

_ 例によって今日もしゃべりすぎた。いいたいことの3分の1程度をしゃべることを目指したほうがよさそう。


30-05-2006 / Tuesday [長年日記]

_ 『砂の器』。武田百合子の「日日雑記」に、リバイバル映画館でこの映画を観たときの記述がある。中座して手洗いに立った武田百合子は、映画館の売店のおじさんに、「おねえさん、早く席に戻りなさい。もう丹波哲郎のセリフが始まるところだよ、いいところだよ云々」と言われたとのこと。これを読んで以来、ずっとこの映画をいつか観ようと思ってきて、ようやく夕方、観た。加藤剛がギリシア彫刻みたいにみえる。加藤嘉と子役の少年の映画だなあ。

_ 早速、あちらこちらで募金活動が始まっている。今回、わたしはむしろ、自分の体を持って行きたいなと思った。すでに募金はしたけれど、もしもっと他にできることがあるならば、実際に現場に関わる仕事をしたいと思った。夏まで非常勤があるから実際にはでられないが、おそらく、その頃になっても、復興に向けての活動は、まだまだ緒に就いたばかりのことと思う。いつになく、人を救うのは人しかいないという気持ちになっているからなのかもしれない。募金については、いろいろ思うところがある。赤十字やユニセフに渡してしまうと、人件費やロジスティックな支出にかなりが流れてしまうことになるという意見を見ることがある。おそらく正しいのだとは思う。でもかならずしも、それが悪いこととも思えないようにも思う。ボランティアや救援活動は、ある程度はプロフェッショナルの仕事の部分が大きいと思うから。そしておなじように、地元なりもっと小さなNGOもまた残りのかなりの部分を負う。そういう体制で、役割分担がうまく機能すればよいなと思うのだが。

_ 早めに寝て、真夜中に起きて仕上げ。講義が終わったら、もう一歩も歩けないくらいに、疲労していて、落ち込む。あほではなかろうか。

_ 全体的に食欲なし。むくんでいる。何を食べても塩味がすることと、なにか関係あるのかしらん。

_ 国鉄に乗っていると、ものすごく酔う。揺れすぎる。Critique de la raison pure を読んでいる仏語圏風の男性は、どんなに揺れても何もつかまずにページを繰っていた。哲学の人はものに動じないのか。それを見ていて、ますます、酔ってしまった。


31-05-2006 / Wednesday [長年日記]

_ 紛争とか災害ということばが社会科学と自然科学を結ぶ領域で、注目されるようになってから久しい。情報ということばを足してもよいかもしれない。自分のもっとも苦手なことば群である。当然ながら、被害に遭っている人たちのことに関心を持てないとか、そんなのどうだってよいとか、そういう次元で感じているのではない。その周辺で蠢くもの全般に対して、違和感を覚えているのである。なぜそのような感覚を持つのか、うまく言語化できなくてもどかしい。某所の人から、地震関連のサイトを作ったからわたしの管理しているMLなどでも流して欲しいという連絡が来た。サイトに目を通してみて、その内容に対して、わたしにしてはめずらしく批判のコメントを書き送ってしまったところ。お金だけが人を救うと思っているのかとか、情報だけを収集して、一体どうするねん?という疑問を持たれかねないお粗末な内容だとか、ただの素人みたいな怒りを覚えてしまったのだった。なんでもかんでも情報という名の下に、かき集めて公開して、サイトを作って、それでいいのかいな。などと、違和感覚えまくりのサイトであった。こういう活動にどんな意味があるのか、さっぱりそれが見えなくて、いやだったのかなあ。紛争・災害・暴力・情報ということばを取り扱っている人ほど、これらについてなにも経験したことがないものだというのが、わたしの率直な感想(というか、包み隠さぬ偏見)。なんで、ボランティアを組織して引率します、くらいな発想が出てこないのか、不思議(いや、だからといって、ボランティア活動がすべてを救うとも思わないし。あー、なんというのか、もどかしい)。

_ おかげで昨日の夢は、カントさんと一緒に列車で旅する夢。といっても、「押し絵と旅する男」ふうに、カントさんは純粋理性批判を風呂敷に包んでいて、背中をまっすぐにして座っている。私は通路を挟んでこちら側に座っていて荷物もなく身軽なのだが、そんな本を持って旅する人の横に座らされたものだから、苦しくて仕方がないという内容。JRに乗りたくない理由のもうひとつは、複々線だからというのもある。追い越されるときとか、追い越していくときとか、ぶつからないかとものすごく不安になるのだ。そういうわけで、東京でも地下鉄に乗るのはたいへん怖いのだが、地上を走る電車に乗るのにも、いつも恐怖を覚えている。そんな状況で微動だにせず、本を読んでいたひとの存在が、畏怖すべきなにかのような気がしたのかなと、後付的に思っている。

そういうわけで、ものすごく調子が悪い。熱とかなにもないのに。


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