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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

30-05-2006 / Tuesday [長年日記]

_ 『砂の器』。武田百合子の「日日雑記」に、リバイバル映画館でこの映画を観たときの記述がある。中座して手洗いに立った武田百合子は、映画館の売店のおじさんに、「おねえさん、早く席に戻りなさい。もう丹波哲郎のセリフが始まるところだよ、いいところだよ云々」と言われたとのこと。これを読んで以来、ずっとこの映画をいつか観ようと思ってきて、ようやく夕方、観た。加藤剛がギリシア彫刻みたいにみえる。加藤嘉と子役の少年の映画だなあ。

_ 早速、あちらこちらで募金活動が始まっている。今回、わたしはむしろ、自分の体を持って行きたいなと思った。すでに募金はしたけれど、もしもっと他にできることがあるならば、実際に現場に関わる仕事をしたいと思った。夏まで非常勤があるから実際にはでられないが、おそらく、その頃になっても、復興に向けての活動は、まだまだ緒に就いたばかりのことと思う。いつになく、人を救うのは人しかいないという気持ちになっているからなのかもしれない。募金については、いろいろ思うところがある。赤十字やユニセフに渡してしまうと、人件費やロジスティックな支出にかなりが流れてしまうことになるという意見を見ることがある。おそらく正しいのだとは思う。でもかならずしも、それが悪いこととも思えないようにも思う。ボランティアや救援活動は、ある程度はプロフェッショナルの仕事の部分が大きいと思うから。そしておなじように、地元なりもっと小さなNGOもまた残りのかなりの部分を負う。そういう体制で、役割分担がうまく機能すればよいなと思うのだが。

_ 早めに寝て、真夜中に起きて仕上げ。講義が終わったら、もう一歩も歩けないくらいに、疲労していて、落ち込む。あほではなかろうか。

_ 全体的に食欲なし。むくんでいる。何を食べても塩味がすることと、なにか関係あるのかしらん。

_ 国鉄に乗っていると、ものすごく酔う。揺れすぎる。Critique de la raison pure を読んでいる仏語圏風の男性は、どんなに揺れても何もつかまずにページを繰っていた。哲学の人はものに動じないのか。それを見ていて、ますます、酔ってしまった。


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