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  1. ぜぶら (06-07)
  2. ぜぶら (06-02)
lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

01-06-2006 / Thursday [長年日記]

_ 今できることと、もう少し先の時点を見据えてできることと、いろいろな次元で関わることができるのだから。そういう長期的視点とか展望のないところに、表面的な関心に過ぎないのではないかというようなものを感じたのかもしれないなあ。ボランティアでも出したほうがいいと思ったのは、今すぐ、現場へ乗り込むということではない。神戸、インド洋、イラン、トルコ。過去の経験をつなぐような情報収集の経路がないと、インターネットなど、ただの百科事典でおわっちゃうよなあ。「今」もだいじなのだけど、「今」が過去と未来の間にあるということは、大きなできごとが起こってしまうと、忘れられがちになる。つねづね思うことでもあるのだが、動詞に時制がないことばを話す人たちにとっての時間認識と、時制にしばられまくりの人々のそれとは、どういう点で共通項があって、どういう点で異なるのだろうか。こういう違いとかって、なにかを考えたり、具体的な行動を起こすときに、どれくらいその結果に違いを生じさせるのだろうか。もっとも、おなじ言語を使用する間柄であっても、日常生活の中での時間のとらえ方は個体間では異なるのだからなあ。先行研究はたくさんありそうで、ないかもしらん。もっともわたしが思うくらいなのだから、どうでもよいことだとも思う。

こういうとき、定点観測派と、Extensive情報収集派とで、ものごとのとらえ方が若干、ことなるような気もしている。こんな分類、まったく意味はないけれど、自分の半径5メートルの世界では、結構、如実。わたしは2004年のときに、たまたまインド洋にいたので、余計に自分がどう関わるかという問題に敏感になりすぎているのかもしれないね。ちょっとクールダウンする必要はありそう。

_ 6月1日、水曜日!3ヶ月の休暇が始まる! --dedicated to Louisa May Alcott.

正義先生@飛ぶ教室じゃあるまいに、もうやっぱりダメだしする。で、帰ってきた返信にさらにむかーっとしたので、もうそこで終わっておいた。いや、なんというのかもう、とりあえず絶句した。頭冷やしてもういっぺん明日、どうしたらおかしな点に気づいてもらえるように説明できるか、トライしてみよう。


02-06-2006 / Friday [長年日記]

_ 忘れていたけど、昨日、辞令もらった。はっきりいって、研究室ないわ、自分用の電話ないわ、コピーカードないわ、パソコンだって、あいているLANがないとかを言い訳にされた。なにもかもいい加減で、どうやって毎日仕事しに来い!って言えるのかその心がわからない。その程度の扱いだからか、ストーカー?みたいな人につきまとわれていることを誰に相談しても相手にしてくれない。結婚して子供のいる女性には支援策を打ち出した大学らしいが、独身でただの日雇い研究者の扱いは旧態依然以下。

大学関連のサイトで、かれこれ5ヶ月ほどへんな人につきまとわれている。これ、ストーカーなんだろうか?すごく怖い。どこに相談すればよいのかわからないし、そもそもかなり思い込みの深いタイプの人のようで、下手に動いて、たいへんなことになったら、どうしようと思って、今、動けない。怖い。どうしたらええんでしょうか。昨日きたメールからは、完全なため口になっていて、「いますぐ行くよ」ということが書かれていた。わたし自身思いつくいくつかの窓口に、相談してしまってよいものかどうか。上司とか同僚とかに話したが、取り合ってくれなかったため、とりあえず今、怖がっているだけしかできない。カウンセリングセンター?

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ ぜぶら [虎穴はなるほど、中も険しいですね・・・雑務及び非常勤の私でもコピーは使えたのに・・・ひどすぎ。 ところでそのストー..]


03-06-2006 / Saturday [長年日記]

_ 別部署の某先生に相談して、今までのメールのやりとりのログを整理して送る。あと問い合わせメールの受付は、別の人に事情を話して代わってもらった。

メールをくださり助言をくださった方に、すがるように長々とお返事を書いてしまいました。申し訳ありません。冷静に読み返して、あまりのおろおろ加減、恥ずかしさに目を瞑ってしまった。防犯ベルの代わりに、今やそういえば、携帯電話を持っていることもまた思い出した。


04-06-2006 / Sunday [長年日記]

_ 「女性の魅力を引き出すような男子学生を育てたい」のだそうな。

ちょっとまってくれ。女の魅力は男にしか引き出せないのか!と、言いたくもなるね。

_ 某所、日帰り。

_ 深い徒労感に襲われて、とぼとぼ歩いているところを、どうも学生さんらしき人に見られたようで、挨拶される。恥ずかしい。日曜日のこんな時間に暗い顔して一人で歩いてはったわー、と思われたかどうかは知らないが、勝手に落ち込む。


05-06-2006 / Monday [長年日記]

_ Happy ever after in the market place, というフレーズが好きなので、ついつい歌ってしまう。わたしの好きな中年:ジョン・レノン、ポール・ウェラー、蟹江敬三。中年予備軍:小泉今日子、及川光博、かばちゃん。こないだジョン・レノンの遠縁の人とお会いしたので、先週はビートルズ週間。やっぱりラバー・ソウル〜リボルバー〜Sgt.Pepper's Lonly Hearts Club Band〜マジカル・ミステリー・ツアー〜ホワイト・アルバム〜アビー・ロードが好き。ほぼ全部、歌える。歌って、気分転換。

_ ステレオって、死語かなあ。。

なんかいろいろ連絡とかあれこれ。ややこしい。

朝、控え室から教室に行こうとしたら、入ってきた人にGood,morning!と言われた。日本人の英語の先生だと思う。ずっと外国人に思われていたのだろうか。。服装が学生みたいだからだろうか。学生が着ている服よりかは、少し、高級なものを着用していると思っていたのだが、そんなのは端から見たらおなじなのかもしれない。先日、電車で乗り合わせたカントさんと、控え室で遭遇する。この方も、ものすごく学生風の服装だ。というか、外国人講師にすら見えない(外国人の先生たちは、みんなきれいなシャツをきて、ネクタイを締めていて、いかにもこざっぱりとしている:シャツの裾はズボン・イン+なんか高そうな革の鞄)アキハバラな服装(だと思う:ネルシャツの裾はズボン・アウト+outdoorのリュック!)。一瞬、目が合ったとき、(いやはやお互い、たいへんだね、まあでもこんなもんだよなー、われわれはゴーイング・マイ・ウェイ)という気持ちを無理矢理読み取って、直帰。おうちでひっそり過ごすために帰るはずが、諸々のことがあって、某所でスノッブ昼食を摂ってしまった。あとやっぱり防犯グッズを買ってしまった。それで落ちつくのであれば、トランキライザーとしてはええのではと考えて。

_ 身の回りのいろいろなものが壊れている。電磁波のせい?

Firefox/ステレオ/iPod/デジタルカメラその1/デジタルカメラその2/ThinkPadさん

ThinkPadさんは、買ったときから少々、具合が悪い人であったが、とくに問題もみつからないのに、立ち上がるのに平均7分かかる。壊れているに違いなし。と思ったのなら、修理に出せばよいのだが、これを機に、パソコン使わない生活を徐々に実行していこうかとか、奇人変人街道を進むのもよいかとか愚考する。LOHASには共感しないが、電気に頼らない生活は好きだ。


06-06-2006 / Tuesday [長年日記]

_ フェイ・ウォンが好き。歌もよいし、声もよい。声質って、コミュニケーション能力のひとつだなー、と思う。声のきれいな人というか、発声のきれいな人だと、つまらないことを話していても、なんだか神妙に受け止めてしまったりしてしまうものなあ。また昨日も今日も喋りすぎで、これではただの漫才師だ。沈黙をしっかりと受け止められるタフさとか、そういうのを身につけないといけないです。ひとりでしゃべって、ひとりで疲れている。小学生でも、最近は、そんな子、いなさそうだ。


07-06-2006 / Wednesday [長年日記]

_ はあー。まず、部屋が欲しい。泣きたいときに泣く場所として。

_ こんな悲惨な待遇を受けているのって、自分だけじゃないとわかっているけど、情けないなあ。今日、わたしが上司から言われたなさけない話。この言葉によって、わたしは一挙に鬱になったような気がした。鬱になったことないけど、今、このもうなんにもしたくないという気持ち。この人、ハラスメントに抵触しているとわかっていってたのだろうか。そりゃわかってないわな。ずっといろいろなことを粛々として受け止めてきたけど、もうこれ以上耐えられない。やっぱりもう辞めたい。研究も教えるのもうまくはないけど、好きだ。好きなうちに、今の大学をやめないと、ほんまに気が触れそう。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ ぜぶら [寝袋さん、 事情よくわかんないけどさ、 自分が壊れたら、研究も教えるのもできなくなるよ、 でも自分壊れても、大学は残..]


09-06-2006 / Friday [長年日記]

_ 本棚の整理をして、とりあえず、落ちつく。来週から「なんでわたしがそんなことをせなあかんのか、まったく理解できない」事業をしないといけない。くらーい気持ちになる。

_ 出家/家出したいような気がする。

_ ウクレレ。Nirvanaの。Smells like teen spirit。いいねえ。左端の長髪の人、ウクレレで炸裂している。カートさん好きっぽいなあ。右端の人、少々、mods系と見た。ウクレレでも買ってみようか。寺町三条の民族楽器屋にありそうですな。随分前に、某地中海の国に行ったことがあった。このとき、大量にご当地楽器によるご当地音楽のCDを買った。これがとてもよい。弦楽器のソロというのも自分好みだし、歌詞がないというのも、こういうときに聴くのにちょうどよいかんじ。粛々と書類書いて、淡々と連絡して会議に出て。でもときどきやっぱり腑に落ちなくなる。そこで腑に落ちてはだめなのだけど、ほんとひとつの会社とか機関とかには、確かに賞味期限があるよなと思った。

ロハスに対する気持ち悪さ、ずっと言語化できなかったけど、内田樹先生の今日の記事がなんとなく近いか。持続可能な自然資源利用というお題が、自然科学分野における一大叙事詩となって、久しい。このきもち悪さって、結局、「ヨーロッパの征服」を語っていなかったからなのかな。自然科学と社会科学は、こういうときにちゃんと一緒に仕事をしておかないといかんのに、学会とかいうものがあるから、文理融合とか発語するだけで満足しちゃうんだろうな。発語カタルシスシンドロームとでも名付けたい。ヨーロッパ以外のすべての土地が、ヨーロッパのフロンティアということなのだろうか。大体、持続可能という思想は、仏教的とは言い難いのではないか。刹那的な思想がない。欲深い。

ニルバーナ、昔、まだわたしがカラオケ屋に足を踏み入れていた頃、友達が歌っていた。カラオケの定番らしい。なんだかカラオケ屋で歌い狂いたい心境です。


10-06-2006 / Saturday [長年日記]

_ ひとりって、やっぱりさみしいです。さみしいけど、もう後戻りできないしな。

_ 借りっぱなしの「スナッチ」ようやく観る。いい映画。お色気姉ちゃんが出て来なくたって、映画は成立するというものだ。思うに、口の悪い人/悪口をちゃんといえる人が作る映画や小説のほうが断然おもしろい。どこで止めればよいかわかっているから、「馬鹿なロシア人」とかユダヤ人ネタとか、ヨーロッパの大国に住む有色人種の自虐ネタとか、全部、笑える範囲でさらっと笑っておいて、さあ映画の本筋ちゃんと押さえてね、と進むわけである。しかも出てくるイギリス人の英語も、社会的階級丸わかりのさまざまなものを取り入れているはず。あまりに面白かったので、すぐにまた見直した。

来週からの事業、始めるにあたって息巻いている某人にいいたいのは、せめてひとりで雨の日は、ひとりでお弁当を食べたり、本を読んだり、机にいろいろ文献を広げたり、辞書を置いたりできる部屋がまず欲しいということかな。今、だって、机も椅子もなくて、図書館住まいなんだもん。これで会議のたびによびだされて、荷物をまとめて、ご飯のたびに荷物まとめて、ちょっと一息のお茶のたびに荷物まとめてというのは、ソルジェニーツェンの小説の主人公みたいである。


11-06-2006 / Sunday [長年日記]

_ 最近、何かに対する文句とか愚痴しか書いていないですな。まずい。今日は、お月さんがきれいに見えます。簾越しに見る。去年は源氏物語年だったが、今年はとりあえず、西洋古典年にしようと思っていた(すでに過去形)。どさくさに紛れて、3冊ほど最新刊を読んでしまう。自分を律するということができないんだな、わたしは。

_ 迷惑千万な人に関わられてしまい、頭が痛い。

_ 低気圧だからなのか、ものすごくしんどい。これは年を取ったということなのだろうか。。眠い。

_ 今の本下宿を引き払って、もう少し大きな部屋を借りて、もうそこに住んでしまおうかと決めて、不動産屋を回っている。家はもう買わない。少しずつ本を整理しながら、身軽になっておいて、いつでもどこでも行けるようにしようかと思った。あとどれくらい長生きするのかわからないけど、この世の物欲はそろそろ整理する方向でいこうかなとか。借家だったら、よもやリフォームなんて考えないしなあ。本が置けて、お料理するモチベーションが下がらない程度にちゃんとした台所があったら、それでいいやと思って見ていますが、なかなか家探しもむずかしいものです。


12-06-2006 / Monday [長年日記]

_ 今日の講義は、なんというのか、持ちネタじゃないのだけど、すごくうまくいったような気分で、痛快でした。最前列の三若衆とアイコンタクトすると、頷いてくれたり!いい青年たちです。お姉さんの気分をよくしてくれたものなあー。

母の誕生日なので、ちょっとおいしいケーキを買いに四条へ。おー・ぐるにえどーる。堺町錦をちょっと上がったところ。が、そんなわけでうきうきしていて通り過ぎてしまい、気がついたらもうLiptonの前。戻るのも面倒になり、もう2時過ぎなのにまだご飯もたべていないというわけで、ぎりぎりLiptonでお昼。地鶏のなんとかなんとかというのを食べる。鶏の量がむちゃくちゃ多い。が、とてもおいしかった。高島屋でふと魔が差して、日傘をみてしまいました。。ことしの流行も把握する前に、衝動買いしてしまったことを激しく反省しつつ、そうだ、ローラで母に小物でもみよか、と思い直す。で、ありゃー、ひさびさに麻プリントに刺繍のラインが復活しているではありませんか。さんざ迷って、結局、別の青いカジュアル系ワンピを買いました。これなら非常勤にも着ていけると思ったので。で、本来の目的をまたしても忘れてしまい、慌てて地下に降りて、叶匠壽庵です。。水ようかん、水ようかんと思いながらもなぜか、結局、たまたまお店を出していた平野神社前のクリケットのグレープフルーツゼリーを買った。母の日に、たっぷりとよいものをお渡ししていたので、まあええかと。クリケット、まだ健在なんだな。クリケットのことを思い出したら、突如、ジャンボというお好み焼きやのこともまた思い出した。おいしいのは言うまでもないのですが、その量です、問題は。焼きそばが食べたくなりました。どこかで夜店とかでてないかしらん。

というわけで、なんかえらく気分がよくなりました。今日のよかった点をきちんと振り返って、次回にいかさないといけません!学生さんに書いてもらったものも、みんなえらいがんばってくれているなーとわかるものがとても多くて、これもまたうれしいことでありました。


13-06-2006 / Tuesday [長年日記]

_ 火曜日ってなんだか嫌い。気が抜けないからだろうか。

_ 人待ちの間、保健センター前の池に棲息するカメさんたちの数を数える。さすが、生態環境はよろしいということなのだろうか。なにかの化身かと思うくらいに、鯉が大きくて、ちょっとぞくっとしました。小亀が池の縁にはい上がろうとするのを必死に制止。井の中のほうが断然、住み心地はよいよ。などとつぶやきながら。

_ きのうの反動で、今日はむちゃくちゃ。ゆうべ、みんなサッカーを観ていなかったのかというくらいの出席率で、驚く。わたしは日本が点を取ったところで、観るのをやめた。これは、このあと負けても勝っても、点を取る瞬間は一応見たでー、と言うため。なんの必然性もないのだが。先週かそれよりか前の週の文春だかなんだかの連載記事に、実は感銘を受けていた。これは次のような内容:①ノルウェーだかフィンランドは、ドイツ大会には出場しないが、実は強いチームである、②なんとなれば、過去に三度、ブラジルと対戦して全勝しているのである、③これは彼の地が年中、フィヨルドに迫られた土地であり、真っ白で、単調な日々を、粛々と生活することに慣れている故の勝利である、④ブラジルのような強豪は、さまざまな技をかけてくるが、ノルウェーだかフィンランドは、それを淡々とせき止めることで、ひたすら頑なに自分のペースを維持する、⑤最後にはブラジルは、単調な防御の前に、攻撃することにつかれてしまったところを突かれてしまったのであった、⑥ところが、オーストラリアは、このフィヨルド魂チームに一度も負けたことがない(全勝中)…、という内容であった。まあ人の解釈なので、ほんとかどうかはさておき、「日本よ、油断するな!」というメッセージが込められていたように思った。そんなわけで、すぐに寝床に入った次第。で、朝起きたら、負けていた。


14-06-2006 / Wednesday [長年日記]

_ 自分の研究領域にちょっとかぶっているからというのもあるからなのだけど、某国のトランスジェンダーの人たちとよく話をする。とはいえ、そういう名前を与えることが適切なのかどうなのか、まだよくわからない。物心つく頃から、他の男の子たちとは違うということを意識し始める人が多いことはわかっている。が、では自分は女性なのかというと、そうではない。女性でもない、男性でもないと思う人もいれば、その両方だという人もいる。ただし対外的に表明する身体の置き所としては、圧倒的に女性を選ぶ人が多い。そして普段一緒に行動するのは、ヘテロの男性であることが多い。この人たちと話をするときに、二人称ないしは三人称をどのように使えばよいのか、最初は考えた。考えてもわからないので、正直に、どういうふうに接すればわからないということを伝えたら、わたしが一番いいと思う二人称なり三人称を使ってください、という答えが返ってきた。「どんなふうに呼びかけられたとしても、少なくともわたし自身は、わたしがわたしであるということを知っているから、いっこうに構わないのだ」と、説明してくれた。この説明を、わたしが本当のところ、どの程度まできちんと理解できたのかは実は、わからない。でも、なんとなく、わたしのことをなんでも聞きたがる外国人というのではなくて、もっと親密なところで受け入れてくれているのかなあと思ったりした。それで、へんにちゃかしたりしないで、答えてくれたのかと思った。

今日の電話でお話したAさんのことを、わたしは「おねえさん」と呼びかけてしまった。Aさんもわたしのことを「おねえさん」と呼んでくれた。某国のわたしの大事な友人たちも、わたしのことを「おねえさん」と呼んでくれる。わたしもこの友人たちのことを、「おねえさん」と呼んでいる。おなじカテゴリーに入れてもらってよいのかどうかわからないけれど、この第三の性の人たちが、辺境のちいさな社会の中で、ほとんど差別的な視線を浴びることなく、「おねえさん」として暮らしているという事実が、わたしの内ではとても大事なこととして記録されている。

_ 秘書さんとおしゃべりをして、笑いのツボにスイッチが入ってしまい、もう何を聞いてもおかしくてたまらないくなる。国際電話をしないといけなかったので、一旦、冷静になって電話したんだけど、もうおかしくておかしくて、相手が出た途端、いきなり笑ってしまった。携帯電話にかけているから、すぐにわたしとわかってくれたからいいものの、こんな電話がかかってきた日には、普通、怖いよなあ。その後、教えてもらった電話番号の人に電話する。男性なのであるが、おそらくはトランスジェンダーな方なのだろう。言葉遣いとか、間投詞とか、声の出し方とか、なにもかも女性のそれである。ゲイの某国人のともだちがたくさんいるので、男の人のこういう話し方は、むしろ耳に心地がよい。声の出し方とか、間の取り方が、とてもきれいだった。名前がまたすごくて、ジャイアンみたいな名前である。そして、声は北島三郎である。こういうとき、わたしは話している人の方言にかならず引きずられる。おかまさんのまねをしている男性が話しているふうに見えたらしい。語尾に、ヨ、ヨとか、ミ、ミとか、ナ、ナとかつけるのだが、自分で話していてなんじゃこりゃというくらい、女言葉のまねをしている人のように聞こえた。某国語を知らない秘書さんが聞いても、おかしいということはわかったようで、隣で爆笑をこらえているのが目の端に止まった。その途端、また笑いのスイッチが入ってしまい、死にそうな声になる。相手の方は幸い、それをおもしろがってくれる人だったので、なんか楽しそうですね、と言ってくれた。しかし、失礼千万である。ごめんなさい。へんな誤解をするような人ではなかったからよかったけど、気をつけないとだめだ。

_ 某所へ表敬訪問する途中、某所前の悪名高き交差点で、自転車の人が自動車に倒される場面を見てしまう。本当に幸いなことに流血の事態にはならなかった。またこれもひじょうに幸いなことに、どういうわけか、その交差点内に消防車が停車していた。自転車が倒れると同時に、その様子を目撃していたらしい隊員の人々がすぐに体育の時に使うマットみたいなものを運び出してきて、自転車の人の様子を伺ってからすぐにそのマットに誘導し、木陰で横たわらせた。車は速やかに歩道際に誘導。さすが救急の措置に慣れていることよなー、と一挙手一投足に見入ってしまった。そんなわけで、わたしは別に目撃証言をする必要もなかった。思えば、この交差点で事故を見たのは二度目。最初の時は、ひき逃げ。わたしとたまたま信号待ちで居合わせた医学部の人が車をちゃんと見ていたので、あとはきちんと証言した。ひき逃げされた人もやはり自転車の人であった。自転車だと、歩行者信号が点滅ないしは赤になっても、車用信号を見ながら走り抜けようとしてしまうものなあ。

わたしはこういう時、走らないことにしている。バス停では、よほどそのバスに乗らないと生死の境目を迎えるという状況でなければ、走ったりもしない。というのは、昔、タイの留学生の人と話していたとき、タイの女の子はそんなとき、バスなり電車なりを待たせるぐらいに悠々とした態度でエレガントさを保たないといけないと考えるのだ、という話を聞かされたからである。女は男を待たせる権利がある、ということを言われたのである。どういう文脈で、そんな話になったのかはもう覚えていない。それで、これまたどういうわけか、わたしはこの話にひじょうに影響されたのであった。駆け込み乗車は危険なだけでなく、確かに見苦しい(と、勝手に一日駅長風発言)。あと、そんなにいそがなければならないようなことも実は世の中にはあんまりないのである、ということをだんだんとわかってきたからなのかもしれない。車に乗っていても黄色になったら、一旦後ろを確認して、後続車がなければ大抵、停車してしまう。車に乗っていた頃は、わたしはホンダのすんごい車に乗っていた(厳密には弟の車)。この車は日産のシルビアのようなヤンキー御用達ではないのだが、走って当たり前というタイプの車である。それが黄色で停車するものだから、一回、御堂筋を間違って走ったときは、ものすごくブーブーと鳴らされて、ほんとに怖かったです。ミラー越しに見える後続車の人が、本気で火を噴いていたものなあ。とか、いろいろ思い出したりしました。

帰り、久しぶりにさらさかもがわ。今日のランチは、ほんとにおいしかった!そういえば、去年、バンコクに行ったとき、わたしがもっとも注意を払って観察したのは、ほんとにバンコクの女子は、小走りになったりしないのかどうか、であった。正確には、小走りの人もたくさんみた。だけど、そういう目でみるからなのか、みんなとてもしながあって、悠々としていて、なんとなく蠱惑的な感じがしました。そういう雰囲気は、わたしには縁がないのですが、これもまたよしと思って、所作の観察に努めた。


15-06-2006 / Thursday [長年日記]

_ メーリングリストのメールは、あまり読む人はいないみたい。みんなメールには儀礼的無関心を払っているような気がする。たぶん、伝書鳩が一番いいような気がする。鳩はうるさいから、みんな耳を傾けるだろう。ふくろうでもいいな。われわれはなんといってもギリシア人とおなじくらい知的なはずなんだからなっ。

_ うはっ、という連絡が来る。理解不可能。科学者なんだから、ちゃんと科学的に説明してほしい。もし科学者であったならば、といういことでもあるが。

_ 被害妄想なメールが来る。こちらのミスとはいえ、あー、地雷を踏んでしまいました。ごめんなさい(昨日の日記のこととは、まったく関係なし。部署のサイトの記述漏れ。まったくのわたしの不注意から、たいへん失礼なことをしてしまった。これについては本当に申し訳ないことをしたと思うので、すぐに謝罪した。でもそこまで卑下されたら、こちらもやりきれなくなる。)


17-06-2006 / Saturday [長年日記]

_ そんなわけで、最後の書類を送信したので、明日から出張です。

旅行保険、掛けられなかったので、明日、空港でかける。実はお金も間に合わなかったので、空港でこれもピックアップ。急に決められたことだから、プランもへちまもない。

再見。

_ わかってもらえる人がただのひとりもいない。つらい。

今回のことを考えると、ほんとにもう泣けてくる。百万遍全体がおかしいとはおもわないけど、うちの部署はもうシーラカンス並に化石化している。ここだけ進化論はなかったのだと思う。もちろん天動説だ。端っこにはイグアスの滝があるはずだ。市民も存在しない。もうこれ以上我慢したくない。滝から落っこちて構わないから。

_ 干ししいたけベースで作った根菜類と絹揚げの煮物、とてもおいしくできた。が、失敗はタマネギをいれてしまったこと。お肉のない肉じゃがになってしまった。母に注意される。

お肉といえば、関西地域ではこれすなわち牛肉である。が、関東地方では、豚肉なのだとか。また肉まんといえば、関東地方では、豚まんのことらしい。関西地方では、肉まんとはいわないような気がする。ことばの正確な意味をめぐる解釈について学生さんから質問があったのだが、わたし、こんなしょぼい例しか教えられないです。ところで、日本だと酒の肴(さかな)という言い回しがある。厳密には魚類でなくてもよいわけだが、某国語でもちょっと似ているか。「さかな」を意味する***ということばは、「おかず」を意味することもある。おかずには、「△■※」ということばが別にある。ここにはサカナもお肉も野菜も汁物もなにもかも含まれる。海辺の町で、「今日は***はないよ」といわれると、それは字義どおりに広義の魚介類がないということになる。内陸の町でおなじことをいわれると、それは白いご飯以外になにもないという状況をさすことがある。この話をしたところで、学生さんの質問に答えたことにはならぬ。考えることがようさんありますなあ。

_ 発言権がないから黙っていると、もっと部署の人間として自覚してくださいといわれる。で、発言すると、それは部署の方針にそぐわないといわれる。所信声明を書きなさいと言われたので、書いてみたら、まるで過激派の活動家だといわれる。チラシを作れと言われたので、作ったら、アジビラを作れといった覚えはないといわれる。もう、なにをしても文句をいいたいだけということはよくわかっているんだから、フルメンバーだけでやって欲しい。わざわざ外部の人間の意見を聞きたいと思うのだったら、頭ごなしに否定するようでは困る。自分たちの正当性を主張するためだけのスケープゴートを作りたいだけなのだなと思われないよう、もうちょっと、なんとかできないのだろうか。

低気圧だからということもあって、頭が痛い。


22-06-2006 / Thursday [長年日記]

_ まずはひどい時差ぼけというのか季節ぼけ?気圧ぼけで、しばらくは使い物にはならなかった。それでも一日大体50通くらいメールを書きまくって業務。もうなんだかわけがわからなくなっています。眠いです。あと、わたしに多大なる興味と関心を持ってくださったストーカーみたいな人が、ようやっとあきらめてくれた模様。出発前に、同僚その他大勢立ち会いの下、大学に間で来られたのを迎撃していただいたのである。深い事情があって、実は大先生関係のお方だということがわかった時点で、こういう作戦が練られた。わたしは当然、おらんわけです。隠れた。で、隊長の人がうまーいこと、ゆうてくれはったのです。ミッション成功を聞いて、もう思いっきり虚脱してしまいました。インターネットなんて、するもんじゃないよなー、と半日、寝込んでしまうくらいにほっとしました。で、今、ぶり返しがきて、えらくハイ。心身共に、休みたい。これ以上働いたら、御陀仏だ。

あと検閲が入れられてしまった某文書の件で、お局さまに決定的に嫌われてしまった。もう二度と、祖国の土を踏めないんじゃないかと思う。帰るのが怖いです。祖国‥なんてことば、生涯で、初めて使ったかも。日本人とか普段、考えないものなあ。どこにいても、アイデンティティとしては、凸凹人なのかもしれない。


30-06-2006 / Friday [長年日記]

_ ずっとバイクの人となる。時速80キロで街道をひた走る。土ぼこりを思いっきり吸い込むので、当然、のどもがらがら。まつげにほこりがたまるので、マスカラもつけていないのに、ヘルメットを取るとパンダな目になっている。

二本の川が合流する地点。山のカミと海のカミが出会ったかもしれない場所。轟々と流れる川の音に耳を澄ます。

毎晩のように寝る前に濃いコーヒーを飲むのに、飲み終わって歯磨きをするとすとんと眠りに落ちた。夢も何も見ない。朝になれば、目を覚ますだけだ。コーヒーの準備ができましたというノックの音を待って、一日が始まった。どこまでいってもまるでわかっていないボスを持ってしまうと、下っ端は苦労する。とりあえずは全部自分の裁量で決めて、あとは事後承諾してもらうことにして、自分の精神衛生だけは、確保。川音を思い出して、じっと静かに頭を落ち着かせる。


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