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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

14-06-2006 / Wednesday [長年日記]

_ 自分の研究領域にちょっとかぶっているからというのもあるからなのだけど、某国のトランスジェンダーの人たちとよく話をする。とはいえ、そういう名前を与えることが適切なのかどうなのか、まだよくわからない。物心つく頃から、他の男の子たちとは違うということを意識し始める人が多いことはわかっている。が、では自分は女性なのかというと、そうではない。女性でもない、男性でもないと思う人もいれば、その両方だという人もいる。ただし対外的に表明する身体の置き所としては、圧倒的に女性を選ぶ人が多い。そして普段一緒に行動するのは、ヘテロの男性であることが多い。この人たちと話をするときに、二人称ないしは三人称をどのように使えばよいのか、最初は考えた。考えてもわからないので、正直に、どういうふうに接すればわからないということを伝えたら、わたしが一番いいと思う二人称なり三人称を使ってください、という答えが返ってきた。「どんなふうに呼びかけられたとしても、少なくともわたし自身は、わたしがわたしであるということを知っているから、いっこうに構わないのだ」と、説明してくれた。この説明を、わたしが本当のところ、どの程度まできちんと理解できたのかは実は、わからない。でも、なんとなく、わたしのことをなんでも聞きたがる外国人というのではなくて、もっと親密なところで受け入れてくれているのかなあと思ったりした。それで、へんにちゃかしたりしないで、答えてくれたのかと思った。

今日の電話でお話したAさんのことを、わたしは「おねえさん」と呼びかけてしまった。Aさんもわたしのことを「おねえさん」と呼んでくれた。某国のわたしの大事な友人たちも、わたしのことを「おねえさん」と呼んでくれる。わたしもこの友人たちのことを、「おねえさん」と呼んでいる。おなじカテゴリーに入れてもらってよいのかどうかわからないけれど、この第三の性の人たちが、辺境のちいさな社会の中で、ほとんど差別的な視線を浴びることなく、「おねえさん」として暮らしているという事実が、わたしの内ではとても大事なこととして記録されている。

_ 秘書さんとおしゃべりをして、笑いのツボにスイッチが入ってしまい、もう何を聞いてもおかしくてたまらないくなる。国際電話をしないといけなかったので、一旦、冷静になって電話したんだけど、もうおかしくておかしくて、相手が出た途端、いきなり笑ってしまった。携帯電話にかけているから、すぐにわたしとわかってくれたからいいものの、こんな電話がかかってきた日には、普通、怖いよなあ。その後、教えてもらった電話番号の人に電話する。男性なのであるが、おそらくはトランスジェンダーな方なのだろう。言葉遣いとか、間投詞とか、声の出し方とか、なにもかも女性のそれである。ゲイの某国人のともだちがたくさんいるので、男の人のこういう話し方は、むしろ耳に心地がよい。声の出し方とか、間の取り方が、とてもきれいだった。名前がまたすごくて、ジャイアンみたいな名前である。そして、声は北島三郎である。こういうとき、わたしは話している人の方言にかならず引きずられる。おかまさんのまねをしている男性が話しているふうに見えたらしい。語尾に、ヨ、ヨとか、ミ、ミとか、ナ、ナとかつけるのだが、自分で話していてなんじゃこりゃというくらい、女言葉のまねをしている人のように聞こえた。某国語を知らない秘書さんが聞いても、おかしいということはわかったようで、隣で爆笑をこらえているのが目の端に止まった。その途端、また笑いのスイッチが入ってしまい、死にそうな声になる。相手の方は幸い、それをおもしろがってくれる人だったので、なんか楽しそうですね、と言ってくれた。しかし、失礼千万である。ごめんなさい。へんな誤解をするような人ではなかったからよかったけど、気をつけないとだめだ。

_ 某所へ表敬訪問する途中、某所前の悪名高き交差点で、自転車の人が自動車に倒される場面を見てしまう。本当に幸いなことに流血の事態にはならなかった。またこれもひじょうに幸いなことに、どういうわけか、その交差点内に消防車が停車していた。自転車が倒れると同時に、その様子を目撃していたらしい隊員の人々がすぐに体育の時に使うマットみたいなものを運び出してきて、自転車の人の様子を伺ってからすぐにそのマットに誘導し、木陰で横たわらせた。車は速やかに歩道際に誘導。さすが救急の措置に慣れていることよなー、と一挙手一投足に見入ってしまった。そんなわけで、わたしは別に目撃証言をする必要もなかった。思えば、この交差点で事故を見たのは二度目。最初の時は、ひき逃げ。わたしとたまたま信号待ちで居合わせた医学部の人が車をちゃんと見ていたので、あとはきちんと証言した。ひき逃げされた人もやはり自転車の人であった。自転車だと、歩行者信号が点滅ないしは赤になっても、車用信号を見ながら走り抜けようとしてしまうものなあ。

わたしはこういう時、走らないことにしている。バス停では、よほどそのバスに乗らないと生死の境目を迎えるという状況でなければ、走ったりもしない。というのは、昔、タイの留学生の人と話していたとき、タイの女の子はそんなとき、バスなり電車なりを待たせるぐらいに悠々とした態度でエレガントさを保たないといけないと考えるのだ、という話を聞かされたからである。女は男を待たせる権利がある、ということを言われたのである。どういう文脈で、そんな話になったのかはもう覚えていない。それで、これまたどういうわけか、わたしはこの話にひじょうに影響されたのであった。駆け込み乗車は危険なだけでなく、確かに見苦しい(と、勝手に一日駅長風発言)。あと、そんなにいそがなければならないようなことも実は世の中にはあんまりないのである、ということをだんだんとわかってきたからなのかもしれない。車に乗っていても黄色になったら、一旦後ろを確認して、後続車がなければ大抵、停車してしまう。車に乗っていた頃は、わたしはホンダのすんごい車に乗っていた(厳密には弟の車)。この車は日産のシルビアのようなヤンキー御用達ではないのだが、走って当たり前というタイプの車である。それが黄色で停車するものだから、一回、御堂筋を間違って走ったときは、ものすごくブーブーと鳴らされて、ほんとに怖かったです。ミラー越しに見える後続車の人が、本気で火を噴いていたものなあ。とか、いろいろ思い出したりしました。

帰り、久しぶりにさらさかもがわ。今日のランチは、ほんとにおいしかった!そういえば、去年、バンコクに行ったとき、わたしがもっとも注意を払って観察したのは、ほんとにバンコクの女子は、小走りになったりしないのかどうか、であった。正確には、小走りの人もたくさんみた。だけど、そういう目でみるからなのか、みんなとてもしながあって、悠々としていて、なんとなく蠱惑的な感じがしました。そういう雰囲気は、わたしには縁がないのですが、これもまたよしと思って、所作の観察に努めた。


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