_ マクドナルドのメニューに、マックフルーリーとかいうアイスが登場した模様だけど、これ、海外のマクドナルドでは、随分前からの定番メニューだったと思う。というのは、まだことばが話せないのと、まだ若くて一人でお店でごはんを食べる勇気がなかったころ、お昼はこのアイスだけ、夜もこのアイスだけ、という日々があったのだ。マクドナルドにいるわたしは匿名の外国人で、ただの旅行者に見えると思っていたのだ。ことばが通じなかったらどうしよう、なにか聞き返されたらどうしよう、という不安に駆られることがない。ことばが下手でも、始終びくびくしていようとも、ただの旅行者なのだといえば、すべてが許されるような気がしていたのだ。お金もなかったけど、いつもひもじいような気がしていたものだった。今、マックフルーリーを食べたら、懐かしい味がするだろうか。苦いかも知れない。バニラシェイクも長らく、晩ご飯にしていたと思う。もっとも、その後、わたしが住むようになった場所にはマクドナルドがなかったので、空腹で倒れる前に、なんとかふつうのお店でも注文できるようになる必要があった。それで、すこしずつ、次第に、ことばが話せるようになった気がする。懐かしい。みんなそんな道を通ってきたはずだったのに。きみもそんなことがあったはずなのに、もう忘れてしまったのかい?そう問いかけていれば、きみは死なずに済んだのだろうか。もう遅いけれど、明日、わたしはマックフルーリーを食べながら、きみに向かって尋ねてみるよ。もうなにも心配しないで、ゆっくりお休み。もうしんどいことは終わった。今頃、きみはなにを食べているのだろうか。なんでもおいしそうに食べていた姿しか、今は思い出せない。大きな体を丸めて、きちんと正座していた姿だけを、覚えていたいと思うよ。しんどかったねえ、ゆっくり休みや。
_ 登校拒否二日目。。といっても家で作業しているからよいのである。