_ いつものように、再見、っていってからのほうが、書きたいことが多くなるのですね(笑)。
出発の前はいつも、下御霊神社に安寧祈願に行く。今日はそのまま寺町を下ると、ひさびさに三月書房が開いていて、おじいさんが店先に出ていた。なので、入る。年配の人々で溢れている町の本屋さん。ノア工房の本がおいてあるあたりをじっとみて、山田稔の本を探す。中年の人が「××はもうだめですね‥」とおじいさんに話しかける。おじいさん、「そうですね、××は‥」と話す。わたしは、また今度も「旅のなかの旅」を一冊と、今日、初めて見た山田稔の特集の小冊子を二冊、緊張しつつ、帳場へ持っていった。おじいさんが笑みを浮かべながら、「山田先生は月にいっぺんくらい、きはりますよ」と声をかけてくれた。「ええっ、何曜日ですか!?」と素っ頓狂に答えると、「ははっ、何曜日ということはわからんけど、ときどきふらぁ〜っときはります」とのこと。「天野さんの本が出てから、山田さんはどんどんとみなに読まれるようになってきました」「それはやはりええもんはええとわかってきたからでしょうか」「そうです、そのとおりです。うちは山田さんの本は全部そろってますよ」「はい、わたしも全部持っています。いつも旅行に行く前に、『旅のなかの旅』を新しく買うのです。それで旅先においてきます」。おじいさんは、静かに笑った。
長い間ずっと、山田稔先生に手紙を書こう、手紙を書こうと思い続けてきたのだけど、今度こそ、旅先から先生に手紙を書いてみようと思った。ちなみに、ここで山田稔の本を買うと、かならず、話しかけられます。わたしはおじいさんがいるときに買ったことがなかったので、今日はもうそのまま家に帰ってきてもうれしくて、うれしくて、ふわーっとしています。荷造りはもちろん、まだ。また徹夜です。