_ バイク生活もすっかり板についてきたのだけど、すでに3回こけている。地元民でさえ震え上がるという難所の関所の県境で、坂道を上り初めて、順調に減速していたのに、40度くらいの坂道でこけた。あれあれ…という間にバイクが倒れ、下敷きになる前に車体から離れたものの、完全にこけてしまったバイクを起こすのがたいへんだった。あれ、一体、何キロくらいあるのだろうか。とにかく、人生で、あんな大きなものを自力で引き上げたことはなかったように思う。感じとしては、ピアノをひとりで押すか引くかするような。
3回目のときは、とにかく急斜面の中程で、実は引き返そうかと考えていたところで、油断が生じたのだろう。崖側に落ちなくてよかった。一生、発見されないであろう場所だったから。とにかく、ひとりしかいないのだから、ひとりで対処するしかない。ものすごい力を出してバイクを起こし、ねじれたミラーをみて、また冷や汗をかいて、乗らずに押して坂道を下りようとした。ところがバイクが動かん!アクセルをふかしてみても、ブン、と小さく唸るのだが、すぐに切れてしまう。焦って、だれかに電話しようと思ったのだが、そうそう、今日は小さなけんかをしたから、ひとりでこんな大冒険をするために、携帯電話をわざと家に置いて出てきたのであった。。なんてこと。。罰が当たった。
涙ぐみながら、冷静にバイクを点検してみたら、ギアがセカンドに入ったままだった。そりゃ、うごかんわな。一旦、バイクにまたがって、ニュートラルに入れ直してから、思い切って降下。死ぬかと思った。
いつもバイクで郊外の環状線を疾走しているとき、なにかの弾みで死んでもいいやと思いながら、走ってきた。予想しない場所でその一歩手前をのぞき込んだわけだけど、そのとき、もう少しだけまだ生きたいと思った。もうちょっとだけスピードを落として走らなければ。まだやることがあるんだなと思ったら、何ヶ月ぶりかで、ちょっと晴れ間が見えるような、そんな気持ちがした。