_ 昔の話などをいろいろと聞く。昔は、なるほど、そうだったのかと。
_ 植民地時代に大きな銀行であったところが、銀行丸ごと、そのまま博物館になっている。頭取室の立派な椅子や机やソファ。会議室、晩餐会室のシルバー類。なにもかもそのまま。さまざまな種類の小切手帳。思いがけず、横濱正金銀行の小切手を見る。歴代のスタンプ類。初代ATM。通貨の歴史もまた見られる。地下全面に広がる個人金庫や銀行の金庫。暑さ70センチほどもあろう扉の厚さ。ひいやりとした地下金庫には、無数に扉があり、どこからどこへ通じているのか、足を進める度に次の部屋で何を見ることになるのか、どきりとしたものだ。階上に上がって表に出れば、熱砂が体をとおりすぎた。生ぬるいジャスミン茶を一気にのみ、またバスに乗って、帰ってきた。人のいない博物館は、ふらりと入ってきた客と一対一で勝負してくれる。心して構えて歩き回ったから、ぐったりと疲れてしまい、久しぶりの昼寝は、深い深い眠りに落ちてしまった。