_ なにが決め手だったのですかとよく問われるのだが、一番の決め手は、わたしのことを日本人だから気に入ってくれたというのではないことかなと思う。一段離れた場所から、わたしが東奔西走していたのを見ていて、わたしが頼んだときだけ、手をさしのべてくれたような気がする。が、わたし自身は手を借りるのがとてもいやだったので、いつも無愛想であった。差し入れのお菓子をもらったときなど、これを食べたら魔術にかけられてしまうと本気で思い、こっそり子どもらに分けたものである。どこでその禁断を口にしてしまったのだろうか。