_ ところで、荷造りでほとんどの日本語の本を梱包してしまったままで、手元にあるのはほんの数冊だけ。そのうちの一冊、『龍は眠る』(宮部みゆき)を読んでいて思ったこと。この本には超常能力を持つ高校生が準主人公として登場する。その人の所有物や体にふれるだけで、その人の考えていることが読み取れるという能力。彼の友人でもう一人のサイキックの青年の話としてこういうのがあった。とにかく相手のことを考えていることがわかってしまうのだから、仮に親密な間柄な人と親密な行為をおこなっている最中、相手がいまどう思っているかがわかるから、とてもではないが完遂させることができない。。その欲求だけでも自分は早死にするだろう、というくだりがある。
それで思ったのだけど、外国人の気持ちも日本語で読めるのだろうかということ。SF界の文脈では異なる言語間の透視というのはどういうふうに扱われているんだろうか。なんてことを考えて、眠れなかったです。
_ 新しい家は大家さんの母屋とおなじ敷地内にある貸間。信じられないくらいに清潔なバスルームがついていて、部屋は日本的な広さで言うと十畳くらい。でもやはり少々狭いというのは否めなく、自前の冷蔵庫を置くことはできない。なので大家さんの冷蔵庫を間借りさせてもらっている。味噌とか醤油、梅干し、わさびなどを入れさせてもらっているのだが、大家さんは興味津々。というのもこの一家は健康オタク一家なのである。
大家さんは見た目60歳前半、同居の長男は40歳くらい、そう思っていたのだ。するとなんと、大家さんは1929年生まれ。長男はもう55歳で年金生活者。ふたりとも歯は全部自前だし、肌もつやつや、髪は黒々。信じられない若さを保っている。そんな彼らからみると、わたしは20代、夫に至っては大学卒業したばかりに見えるのだそうで、視力に関しては、年齢相応の老化を止めることはできなかったようである。
で、一通り、味噌の使い方、わさびや醤油について説明。日本茶についても説明。そのうち日本料理を作ることを約束させられる。でもお味噌汁って、外国人には不人気なのですよね。なんといっても辛いから。なのでいつも薄く薄く作っている。夫が好きなのは、カレーライス。これは日本料理ではないのだが、すでに現地化された外国料理ではある。高野豆腐は好きなようだ。来週からまた遠くへ出張の予定。移動移動の連続で、ベドウィンみたいだ。そのうち自前のラクダでも飼うことになりそう。