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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

07-08-2009 / Friday [長年日記]

_ 休日を取って、家で過ごす。買ったまま置いていた村上春樹の新著を読了。当然、続きがあるんだろうなと思うのだけどどうなのだろう。あるのかな。このような御時世の中で声高に言えることではないようなきもするのだけど、あまりおもしろいなとは思わなかった。それよりも村上春樹がもう還暦を過ぎているということにショックを受ける。ただジョン・アーヴィングの小説の中の登場人物である年寄りのお掃除のおばさんの箴言のとおり、おもしろいとかおもしろくないではなく、次に何が起こるのかを知りたいからこそページを繰り続けたわけである。

図書館から借りていたリービ英雄の本も二冊読了。多和田葉子は日本を出てドイツへ渡り、ドイツ語で詩や小説を書きつつ、日本語でも書いている。リービ英雄はアメリカ(プリンストン大学)と日本(新宿)を往復する生活を過ごしたのち、新宿に定着する。主として日本語で書いている。二人の考えていることやらなにやらは比較するには遠すぎるほど違い過ぎるから、ああだこうだとは言えない。が、ふたりの本を読んでいつも思うのは母語の外へ出ることをめぐる自分の輪郭の太さについてだ。母語の外(物理的にも状況的にも)に出ると、妙に自分の輪郭が太くなるのを感じることが多い。太くさせないと、波に呑まれてしまうような不安を覚えるからなのか。書きながら「どういうことだ?」と思っているぐらいだから、漠然とそのように感じているだけに過ぎないのかもしれないけれど。『アイデンティティーズ』の中でおもしろかったのは、カリフォルニアで日本文学を学ぶということについて。どちらかというと四季の移り変わりが明瞭に感じられる東海岸の大学で日本文学を学ぶことに比べると、どこまでも抜けるような青空の天気が続き、「色白の白人がいない」教室で万葉集や古今集を学び、枕草子をよむこととはなにかが違う、、ということを言及している部分。そういうことを言いだすと、日本人にはアフリカ文学や白夜圏の国の文学はおそよ理解できないものとなってしまうではないか。某国某所の大学日本語学科に出入りしていて知ったことだが、ここで教えられている日本文学は夏目漱石、森鴎外まで。三島由紀夫は現代文学の人なので、教えないのだそうだ。一方、そこで日本語を学ぶ学生たちにとっての日本は、「オタク」と「アニメ」の国。ほとんど毎週末ごとになにかのイベントで開かれるコスプレ・コンテストに参加する学生も多く、先生たちとのギャップがすさまじい。ただし先生も学生さんたちも、村上春樹や吉本ばななの本は読んだことがないという。なので重松清やら川上弘美、小川洋子という名前も知らない。日本語学科であって、日本文学科ではないからということもあるようだ。もし学生さんたちに、日本をよりよく知るために読むべき日本文学はどれですかと尋ねられたならば、なんと答えるのがよいだろう。この頃、そのことを考えながら眠りにつくことが多い。


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