_ 某日。よその人にたいへん愛想のよいカルガモさんである。ぐずっていても、通りすがりの人が覗いていったり声を掛けたりすると、満面の笑みを浮かべて応える。これは紛れもなく某国人の証だ。カメラを向けると完璧なカメラ目線でにこりと笑う。それも間違いなく某国人の系譜。わたしの子ども時代の写真はいつも仏頂面か無表情かのどちらかであったから、おもしろいなあと思う。そんなカルガモさんを机の横で寝かせながら、きっとだめだろうなあと半ばあきらめながら書類を書いている。今日も子どもをあやす時間の方が長かった。
_ 某日。たまたま通りがかった駅のコンコースの本屋で平積みとなっていた村上春樹を購入。発売日の朝10時であった。正直なところ、なんかもうよくわからないです。面白いとか面白くないとかすら言えないような気がした。わからん、としかよういわんかも。ここまで来たら1月から3月編もあるんじゃなかろうかと思うんだけどどうなんだろ。わかんないです。個人的には重松清と藤沢周平と梨木香歩だけ読んでいたかったりする。そしていつもとっさには名前を思い出すことができないあの人、堀江敏幸。こんなに好きなのに、どうしていつまでたっても名前を覚えることができないんだろう。わたしの「自称本好き」も、どうやら単なる思い過ごしだったのかもしれないと思う今日この頃。研究者という偽肩書きを名乗るのとおなじくらい後ろめたい思いをなぜか抱きながら、足早に本屋の前を通り過ぎ、もう一切、読みたくない本は買わないぞと思う。