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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

30-06-2011 / Thursday [長年日記]

_ 春先のある日、知り合いから翻訳を頼まれた。日本語から外国語への翻訳で、難しいのは歌詞だという点だけで、分量も多くはないし大丈夫だろうと思って引き受けた。翻訳料を払う、もらうというような話ではないので、翻訳ができた暁に、お昼ごはんでもごちそうしてもらえばOKですよ、というかんじで引き受けた。歌詞には曲がついている。その曲をきいたほうがイメージしやすいのではということだったので、CDを貸してもらえればよいと思ったのだが、新譜を含めて何枚かのCDをいただくこととなった。新しいのを買ってくださったのだと思う。それからも、下書きができるたび、完成版ができるたびに、いろいろなものをちょこちょことくださった。こちらは逆に申し訳ないなあと思うくらいだった。完成版を渡してからしばらくして、問い合わせがあった。実は翻訳した歌詞を公開するに当たり、自分で辞書を使って単語を引いてみたのだという。こちらの表現とわたしが選んだ表現は、どう違うのかという説明をして欲しいという。そのこと自体は簡単で、いくつかわたしの趣味というか好みが先行して、文語的あるいは詩的な語句を使っていたのが辞書(どんな辞書を使ったのかは最後まできかなかった)には載っていなかったり、辞書で引いたときに最初にあがっているのとはちがったりがあったのだと思う。また確かに誤解を招く語句を選んだものもあったと思ったので、その点については、無難な語句に替えたり、説明を付け加えたりもした。難しかったのはやはり最初に思ったとおり、歌詞であることに由来する解釈の問題であった。たとえば、前を向いているという表現があったとしよう。凝視しているのか、何かを考えながらじっとみているのか、あるいは何も考えていないのか。無表情なのか、歌詞の前後から判断してなんらかの喜怒哀楽の含まれる表情があると考えるべきなのかそうでないのか。とおり一変の解釈では間違いが生じたとしてもそれは当たり前のことだろうなと思っていたので、そういう点も含めて、できるだけこちらもいろいろな文献を当たり、人にも教えてもらって、完成稿を渡すことができた。翻訳はできるだけ中立的にと思っているけれど、詩の世界の解釈となると、ある程度、翻訳者の恣意的なことばの選び方が、詩の世界を再構築してしまうのかもしれない。そういうことを勉強できたという点では、よい経験だったと思う。ただちょっと困ったなと思ったのは、わたしの翻訳を、その言語についてはまったく知らない知人が、全部「確認」したということ。クロスチェックはどんな場合でも必要だとは思う。公開するならなおのことだとも思う。しかしなんだかちょっと「いやな感じ」とまではいわないのだが、ちょっと困ったなあという感じがしたのだった。そのことで別に気まずくもならないし、何事もおこらなかったわけなのだけど、人になにかをお願いするのは難しいことなんだなと、今さらなんだけど思ったものだった。


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