_ 「うたえほん」(つちだよしはる・え、グランまま社)というシリーズの絵本がある。誰もが知っている童謡やわらべ歌などの歌詞がすべてと、メロディーの音譜がセットになっている。柔らかい挿絵がついていて、とても感じがよい絵本。小さい本だけど、結構よいお値段がするので、図書館で借りてみて、子どもが好きそうだったら、マーケットプレイスで探してみようと思っていた。と、子どもはこの本に夢中になっている。おかげでこちらは、寝る前に、本に乗っているすべての曲を歌わされる始末で、子守歌を歌いながら自分が疲れて眠くなってしまったりしている。三巻まで出ているけれど、一巻の最初の曲は「ゆりかごのうた」。この歌は胎教としてもずっと聴いていたし、子どもが生まれてからも、一日に一回は歌ってきたものだ。今ではこの歌を歌うと自ら寝床に入ってくれるほどに調教されているといっても過言ではない。小さな卓上ピアノで弾きながら歌っている。
大人がいろいろな評判などを読んだり聞いたりして選ぶ本にはもちろんあたりはずれもあるけれど、図書館で適当に選んだ本で、大人がみるとなんとなくしょぼいような内容に思えたり、ほんとに単純で、落ちも何にもないなんどと思ってしまうような本でも、子どもが狂ったように夢中になることがある。犬のコロちゃんのシリーズはまさしくそれで、わたしはあんまり好きになれないのだけど、子どもはこのシンプルなシリーズがものすごく好きみたいだ。有名なノンタンのシリーズの対極にあるような本で、教訓もなにもない。多少擬人化されてはいるけれど、四つ足歩行している犬のコロちゃんの絵本は、しかけ絵本になっていることもあって、子どもは夢中になるようだ。この系譜に連なるような感じの絵本に、スモールさんのシリーズがある。その中に、農場で働くスモールさんが、ウシの世話をしたり、ブタやニワトリ、アヒルなどの家禽類に餌をやったり、トラクターに乗って畑を耕したりして、農場の仕事を紹介する本がある。この本は、日本での出版は1975年のことで、2005年には改訂版が発行されている。改訂版と初版の大きな違いは、フルカラー印刷かモノクロ基調に緑色だけが使われている印刷かの違い。図書館で借りてきたものは初版だったので、とてもシンプルな内容に単純な色彩がマッチしていて、とても味わい深い雰囲気を醸し出している。子どもはこの本が大好きのようだった。図書館に返却する日の朝まで、何度も何度も絵を眺めていた。今朝、図書館に行く準備をしていると、「うたえほん」をカバンにみつけた子どもが名残惜しげに取り出して、また読んでいた。そのことを目の端で確認していたはずなのに、いざ家を出るときにはすっかりと忘れてしまっていて、図書館のカウンターで、「まだ一冊お借りになっていますね」と言われたのだった。
図書館を出てから、電車に乗って児童館へ。小一時間遊んで、デパートで涼んでから、帰宅。一番日差しのきつい時間に駅からの道を歩いたから、わたしはもう完全に機能停止したのだけど、子どもはパワー全開で、ずっと走り回っていた。