_ 用事があって、開架閲覧室を通り抜けることがあると、かならずその度に、学生さんたちに呼び止められる。三回に二回は呼び止められるので、わりと頻繁だと言っても大げさではないだろう。485.1の本はどこにありますか…、では一緒に行きましょう、で、書名は…、あ、書名はわかりません…ということもよくあるし、「たぶんかしゃかい」の本はどこにありますかというのもあった。岩波文庫と岩波新書を間違えていたこともあったし、ちくまぶんことちくましんしょはちがうんですか?という質問もあった。図書館は何時までやっていますか、落とし物をしたので一緒にさがしてください、というのもあった。おもしろいなあと思って、開架閲覧室を通り抜けるのが楽しみになっている。同時に貸し出しできるのは、わたしの身分では二冊だけとはいえ、十分にその贅沢を味わっている。この大学図書館では閲覧室での飲食が許可されていて、いまだにどきっとすることが多い。パソコンも貸し出しているし、話題の小説や本などを集めているコーナーもある。隔世の感がある。ずっと本だけに囲まれて仕事をするというの至福を味わっていたいところだ。