都合が悪くなると、潜り込むこと。
仕事が遅くなったときには、よく作業机の下で寝る。ゴミ箱や書類ケースを簡単に片付けて、隙間を作り、折り畳み式のござを敷く。その上に、寝袋を広げる。プラスチックパイプの入った枕は、バス停前の布団屋で、500円だった。
外の道路を通る車は、深夜になるとほんの少しだけ減る。毎日仕事をしている空間だが、夜になるとまた違った別の場所のようにも見えるのが不思議だ。高い天井を縦横に走るパイプの迷路を眺めているうちに、眠りに落ちていく。
明け方、地下の深いところを走る始発電車の振動で、温かな寝袋の中で目を覚ます。そういう朝を、あと何回、迎えるかな。
今朝は、もうすっかり秋の冷え込み。寝袋の上にそろそろ毛布を掛けて眠らないといけないな。
_ 旅行に持って行く本は、二種類ある。一冊は金子光晴の『マレー蘭印紀行』、もう一冊は、宮本常一の『忘れられた日本人』。新しい小説は、長い時間飛行機に乗るようなときに、空港でペーパーバックを買うことが多い。
金子光晴も宮本常一も、なんとなく自分のポジショニングのために、持っていっているような気がする。別段、ナショナリストでも日本文化至上主義者でもないのだが、遠くまできちゃったな、という感慨に浸るには最適な本かとも思う。金子光晴の足跡を辿ったときにも、もちろん持参した。
という話をしたら、仕事場の同僚にも、この二冊を持っていく人が多いことがわかった。どちらもさほどに厚くないし、何度読み返しても、どこから読み直しても、問題もない。帰国するときは、どこかに置いてきてもよい。そいうわけで、本屋でみかけると、ついつい買い置きしてしまうようなこともあって、苦笑してしまう。そろそろ、準備しておかねば。
_ 原稿をやっと仕上げた。得意分野でもなく、頭数集めの頼まれ原稿で、お世話になっている先生から顔を合わせるたびに、「頼むよ」などと言われて続けていたので、逃げるに逃げられず、ほんとうに苦労した。こういうときにささっと出せるようなダミー原稿を日頃から用意しておけばよいのかもしらん、などと黒い考えが横切る。
これでrejectされた日には、知っている限りの悪態をつきそうな予感がしたりする。
Ms. **** はきっと、今頃、ろくろ首みたいに、首を長くして待っているよ〜、などと同僚にちゃかされたのが、なんとなく気分を楽にしてくれた。
_ どうか、accepted になりますように。