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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

14-03-2015 / Saturday [長年日記]

_ 先月末からずっと、科研関連の調査で予算を使い切るという恩師、友人、知人などが途切れなく当地を訪れている。いろいろと久しぶりに話ができてわたしにとってはとてもよいリフレッシュのひとときとなった。今まで行ったことがなかった素敵ホテルのダイニングだとか西洋人御用達のビストロとかに行く機会があったり、あるいは当地ではどうしたって手に入れられないような、あったとしても関税がかけられて日本の数倍の価格が付けられているような食材をたくさんいただいたりした。とりわけうれしかったのは、たくさん本をいただいたこと。なかでも「沈まぬ太陽」(山崎豊子)は、ほとんど徹夜でアフリカ篇の二巻を読んだ。。で、続きが読みたくて読みたくて、居ても立っても居られなくなってしまっている。。続きがどうなるのかを知りたくて、人は本を読むのであるというのは、「ガープの世界」に書かれていたことで、一番大好きなセリフだ。久しぶりに、じりじりと、アマゾンの画面を見ては、日本だったら中古で1円なんだな。。こっちだと、新本で定価の2倍はくだらないものなあ、、とため息をついている。今度いつ帰国できるかは、文字通り、神のみぞ知るところであるが、真っ先に行きたいのは、ブックオフだなあ。。それからもうお金がなくなって明日帰国という日に、普通の本屋へ行こう。ブドウは酸っぱいと言い聞かせるにはそれが一番である。

関税といえば、外国人は郵便物には関税はかけられないとか。しかも国立大学で働いている人は、そういうのは一切免除されるのだそうだ。そのことを知ったのは、もちろんつい先日のこと。今まで無駄に払ってきた税金は、もちろん当然、返還されるすべもないこと。ぐつぐつと煮えたぎる感情を宥めるためにも、ああ、続きが読みたいものである。


24-03-2015 / Tuesday [長年日記]

_ 日記の見た目が美しくなりました(笑)。モチベーションも上がることを期待しています。

ところで年末に買ったばかりのスーパーカブの調子がおかしい。こちらでは2か月に一回、無料のオイル交換と定期点検が奨励されており、実際、そのサービスブックももらっている。忙しかったのと、いろいろ出張があったりしたので、実際はあまり乗車していなかったということもあって、初回点検は3月上旬におこなった。といっても、時間が全然取れなかったので、卒業生に頼んで行ってきてもらったのだった。これが悪かったのか、ものすごくエンジンの調子が悪い。シフトを上げていくときに、ときどきエンジンが停止したりする。音も悪い。車体も重い。エンジンが止まるというのは恐ろしいことで、それなりのスピードが出ている場合は、事故につながる。いつも30キロくらいで走るようにしていることもあって、今日、エンジンが止まったときはすぐに体勢を立て直すことができた。大きな事故が起きる前に、今週中に再点検に出す予定。しかしこれもまた学生に頼まなければ自分では行けそうにない。

_ たくさんのお客さんからいろいろと本をたくさんいただいた。中でも一番おもしろかったのは、『下町ロケット』。『沈まぬ太陽』もよかった。『廃墟に乞う』は、『あなたに不利な証拠として』を、どことなく彷彿とさせる本で、とても気に入った。でもまだ『母の遺産』を読まずに取ってあるので、早晩、この本がトップに躍り出ることであろう。その他、いろいろと本をいただいた中で、研究関係の一冊が個人的には涙が出るほどにありがたく、また素晴らしい本だった。正確にはまだ半分しか読んでいないのだけど、ずっとずっと、研究だけは続けていきたいと改めて思った。こつこつと、誰に見せるでもなく、どこで発表するでもないけれど、いつか小さな海から外に出ることがあればそのとききっと持って行けるように、しっかり手放さずにいられたらよいのだけど。

_ 2週続けて、学科会議が中止になっている。やれ打ち上げだ(一体、なんのためのものなのかはついぞわからなかった)、やれ果物狩りだと、奇妙な理由がその都度、説明されている。明日の果物狩りが実行されることになったのは、先週末、英文学科がその果物狩りに行って楽しかったらしいという話が刺激になった模様である。なぜみんなそんなに暇なのかは、とんとわからない。


25-03-2015 / Wednesday [長年日記]

_ 会議を中止して、果物狩りへ。学部のマイクロバスに乗り込むために車寄せに出たら、学部長もいた。先週末は英文科、本日はわれわれ、今週末は仏文科が果物狩りを予定しているとのこと。果物は、もうひとつ熟し方が足りず、わたしはあまりおいしいと思わなかった。それよりも、これから果物狩りで食べ放題というのに、なぜか昼ごはんを食べてから行くとのことで、直前に名物B級料理を食べに連れて行かれたのだが、そちらのほうがはるかに珍しくて美味しかった。なぜ他学科の所属である学部長も一緒だったのかについても、なぞ。

_ この数日は、午前中、とても天気がよくて、前夜から干している洗濯物もパリっと乾くほど。それが2時を少し回ると途端に天気が崩れて、雷は落ちるは、道路は冠水するはのおそろしい天気に様変わりする。雷が落ちれば、必ず停電もするし。今学期は一番遅く終わる授業が午後1時。いつもは大学で、授業の準備をしてから午後3時頃に帰宅するのだが、今学期は授業が終わったら、すぐに帰宅している。そうでないと、雨が止むのを最低でも3時間は待たないといけないからだ。雨合羽を着てバイクで帰ることももちろんできるわけだが、途中で、水深50センチほど冠水する道路を通る。この道路を回避するとなると、数キロ、回り道をしなければならない。抜け道がないわけではないのだが、住宅密集地の生活道路をバイクで通り抜けるのは少し抵抗があって(そもそも申し訳ないことであるし)、幹線道路を通る方を選んでいる。だから、今学期はほとんど自分の机に座ることなく、パッと来てパッと帰っている。

そういうことを考えると、果物狩りは、同僚との親睦会的な意味もあって、よかったのかもしれないな。若干腑に落ちないのではあるが。というのは、学科会議にも、毎回、会議がつく。この会議費で、会議中のお弁当やらを調達するのであるが、果物狩りは学外会議と称されて実施された。会議では必ず出席簿にサインをすることになっている。本日も、みな果物でベトベトの指先をぺろぺろしながら、書類にサインしたのだった。ええんやろか…と思いつつ、西欧随一の大学で学位を取って帰ってきた学部長を目の端で確認しながら、わたしもサインをしたのであった。


26-03-2015 / Thursday [長年日記]

_ 『ひとり日和』、『破門』、読了。おもしろく読んだのだけど、もっとがつがつと文章を読みたいという気持ちを宥めるには少し物足りず。質はともかく、量をがっつりと読みたい。首までずっぽりと、小説の世界に浸りきりたい向きには少しものたりなかったような気がして仕方がない。『廃墟に乞う』みたいなのを、もっとずっしりと読みたい。

_ バイクは点検に出したところ、どこも悪いところはないとのこと。しかし相変わらず、ブレーキをかけると金属が擦れるようなキーキーという音が聞こえる。加速のときの勢いが、まったく滑らかではない。逆にエンジンブレーキもほとんどきかない。詰まるところ、メリハリにある運転ができない。ほんまに大丈夫やろか…と不安。

こちらの人は、まったく交通法規とかそういうのを気にしないで爆走する。だから、右折レーンに並んでいるのに、平気で直進したりする。それも、レーンの中ほどとか後方についているのに、信号の色が変わった途端に、対向車線に思い切り膨らんで、ぐいっと直進してくるのである。それに何度も当てられた経験がある。だから赤信号の停止で一番先頭についているとき、ものすごく恐怖心が膨らむ。こちらでは、信号の色は、交差点の4方向を、時計回りにひとつずつ変わっていく。つまり北行き車線が青だとしたら、次に青になるのは東行き車線、その次は南行き車線という具合。ところが、変速6差路とか7差路という交差点も、冗談のようにたくさんある。ラウンドアバウトが設置されているならばいざしらず、それぞれの方向から来た人が一旦停止をきりっとせずに、少しずつ少しずつ、交差点の中央に向かってにじり出る。その母集団の規模が最大に達した向きから、自分の行きたい方向に、道が開くというようなシステムになっている。普通に考えたら、よくもまあ事故が起こらないものだという状況である。大学の正門前の交差点など、先週は月曜日から木曜日まで、信号が停電していた。最初の日はおまわりさんが手旗信号をして処理していたのだが、あとの3日は皆、にじり寄り戦法で交差点を通過していた。もちろんわたしも郷に入らば郷に従えで、みなについて最大母集団をいち早く形成すべしと、にじり出る。そうしないと、いつまでたっても道路を渡ったり、進んだりできないからだ。そんな中で、ブレーキがあまり効かなくて、メリハリのある運転ができないということは、実はあまり大きな問題とはならない。それで丁度いいようで、完全に止まってしまうとスタートダッシュが効かないのである。そういうバイクの運転を振り返るにつけ、これから日本に帰ったとして、車やバイクに乗ったら、わたしはすぐに交通違反で捕まるだろうなと思うのだ。現地化する自分を実感するのは、バイクに乗っているときなのだ。自分でも、とても不思議な気持ちになる。


28-03-2015 / Saturday [長年日記]

_ 日本語教育の勉強会のため土曜出勤。会場となった私立大学の設備の素晴らしさに、心底驚く。国立大学はなんだかんだといって、人件費ばかりに予算が配分されてしまうので、設備の古さときたら、もう絶句するしかない。この私立大学はツートップの宗教団体のひとつが経営母体であり、幼稚園から大学院までの一貫教育を、全国で展開していることで知られる。しかしこんなにすごい教育設備を持っているとは全然知らなかった。一緒に行った先生と、ひたすら「すごいね~」を連発するしかできないほどショックを受けたのだった。大学とはいえども、わが職場は独立採算制では圧倒的に不利な文学部である。医学部やビジネス学部の施設との違いは、同じキャンパスにある違う大学というくらいに差が激しい。なにしろ、学内貧乏学部の万年筆頭に甘んじているのである。すごいよな…、すごいよな…ととにかく田舎ものみたいにそればっかり繰り返して、勉強会の内容はあまりよく覚えていないのであった。

そういえば、わたしのアパートの近くの宗教系大学の建物も、本当にものすごく立派である。こちらは全国の州都に必ずひとつ配置されている国立高等教育機関であるが、図書館が本当に素晴らしいことで知られている。どの建物もよくメンテナンスされているし、キャンパスもものすごくきれいである。自分の大学は国内最古の大学であることに胡坐をかいているようなところがあり、インターネット環境を含め、なにもかも若干、時代錯誤に過ぎるところがある。古式ゆかしいと評されることが多いのだが、いつもほめ言葉であるとは限らないということを、どれくらいの人が認識しているのかわからないと、最近、よくいろいろなところから聞く。先日、日本から来られた客人の方々は、ほとんど、その点を指摘しておられた。いろいろたいへんな場所である。


29-03-2015 / Sunday [長年日記]

_ BBCでリー・クアンユー初代シンガポール首相の国葬中継を見る。シンガポールは大好きな場所だ。3日もいたら退屈してしまうとはいえ、アジアの混沌と西洋の洗練がほどよい塩梅で混在しているところは、人工的なところが鼻につくという人も多いけれど、わたしはとてもリラックスできる。今はICOCAみたいなカードで、MRTもバスも簡単に乗り降りできるようになったし、ほとんどの駅前には、簡単に安く食べられるフードコートが必ずある。上を見たらきりはないけれど、下の品揃えや充実具合は本当に素晴らしい。社会学系の先輩や同級生が、実際のところはどうなのかという、生活者の視点から調査をしていたりしたので、本当はシンガポールで生きるということがどんなものなのかは、少しだけ知っている。自分も、お金がある時から無くなってしまった今と、その時々の懐事情で、泊まるホテルのエリアもクラスダウンしてきた。だから、見えている部分以外のところの現実を多少、知っている。でも、こういう国が「建設」されたということの不思議さとか素晴らしさは、やはり驚嘆に値することではないかとも思う。またシンガポールへ行きたいなと思いつつ、うどんを打った朝だった。


30-03-2015 / Monday [長年日記]

_ 子どもが近所の家によく遊びに行くようになった。といっても、そこに同年齢の子どもがいるわけではない。ようやく1歳になるかならないかという男の子がいる。で、その家には子守の女性もいる。この子守の女性と一緒に遊ぶのが目的で、食事の間も惜しんで、子どもは日参しているのである。このことは言い換えれば、わたしと遊ぶよりも楽しいからだというひがんだ見方もできるのであろうが、そうではなく、きっと今、自分の世界を広げているところなのだろうと思う。

子守というか乳母というのか、この女性が働いている家は少し訳ありの家で、まだ大学生のお母さんがひとりだけで住んでいる。このお母さんの両親(赤ん坊の祖父母)は、まだ一度もこの家へ来たことがないとのこと。孫の顔を見たことがないという。しかし暮らしぶりは豪華だし、車も持っている。いろいろな事情があるのだろう。赤ん坊はアレルギーがあるとのことで、我々の家の裏にある中規模の病院ではなく、ずっと遠くにある国際標準病院に通院している。子守の女性は、お母さんからみれば、その母親世代、赤ん坊からみればおばあさんという年齢なので、わたしはずっと家族だとばかり思っていたのだった。それがふとしたことで、そうではないことがわかり、いろいろと話すようになった。いろいろな人生があるなあと改めて考える。


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