_ 某感染症が日本でも流行しているという報道を聞き、うひゃーと唸ってしまった。普通に健康な生活を送ってきた日本人であれば、発症したとしても重篤な症状になることはないのではないかと思うのだけど、この病気はひたすら肝臓に負担がかかる。だから予後はあまり無理をしないで、できれば2ヶ月ほどはのんびりと休養したほうがいいということになっている(当地では)。
わたしも数度罹患したことがある。そのうちの一回は帰国便に搭乗する直前に発症し、たいへんな大騒ぎをして帰国して、病院へ直行したのだった。自覚症状があったので、速やかに、医師に自分が罹患した可能性がある感染症の検査をして欲しいと伝えていたのだが、冬場であったため、まずはインフルエンザでないことを確認してからその検査をしましょうといわれた。そのため、約1日のロスタイムがあって、初めて点滴を受けさせてもらえるようになった。考えてみれば、そのまま当地で入院したほうが、よかったのだが、そのときのことを思えば、今回の件で病名が全国に周知されたことはよかったと思う。乳幼児が発症した場合、致死率がぐんと上昇するというデータがある。だからこちらでは暑い夏場の季節でも、5歳未満の子どもたちは、日中も長袖のジャケットを着せられたり、長ズボンを穿かされたりと、防虫対策はわりとしっかりと行われている。当該の蚊に刺されたとしても、発症しにくい体にするためだとして、ビタミンCの多い果物やそのジュースを毎日飲むのがよいということも、巷間では比較的信用度の高い情報であるとされ、病院でもそのような趣旨のポスターが貼られていたりもする。しかし一番大事なことは、これだけ発症者が出ているということは殺虫剤をどれだけ散布したところで、蚊を完全に根絶させることは難しいという前提で、澱み水や生活排水が流れにくくなっているところを早急になくすことを優先させることだと、同僚の先生たちはいう。
地中海沿岸部でも罹患者が増えたとかそういう話も聞く。地球温暖化とかグローバル化の流れの中にあっては、もうある地域に固有の現象が地域外へ出て行くことを抑えられなくなってしまう。エボラ熱のことを対岸の火事だと思っていてはいかんということなのだろう。