_ 帰り道で、突然、今日は家で晩ごはんにありつけない予感がした。晩ごはんは基本的に友だちと食べて帰るか、家で食べるかのどちらか。一人だとわざわざ外食したりすることはなかった。それが今日ばかりはどうしても何か食べて帰らないといけない必然性を感じてしまい、初めてのお店に一人で入った。こんなこと私にしては珍しい。リゾット風オムライスディナーを食べた。ものすごく丁寧に作ってある。野菜がたくさんはいってあって海老はぷりぷりとしている。あっさりとしたトマトソースは、もうひとつのバジリコソースととても合う。オムライスを食べるとたいてい途中で疲れてしまうのだけど、今日は最後までおいしく食べられた。バジリコとレモンの二色のジェラート、コーヒー。果たして帰宅したら、「今日はご飯はない」とのこと。曰く、私の帰りが遅いだろうからと、ご飯は全部、家人が食べてしまったとのこと。
カンが少しずつ戻ってきたような、なんだか調子がよいような気がした。
_ ブリジット・ジョーンズ、見に行きたい。
_ もう絶対に読みそうにない論文とかどんどん捨てていく。まだまだ時間がかかりそうだけど、いる本といらない本の目星は大体つけた。いらない本は古本屋さんに引き取ってもらうことになるだろうけど、売れ筋の本がほとんどない。二束三文になるんだろうなあ。外国図書は集めるのに苦労したので、売らない。なんとかきれいに本が収まったらうれしんだけど。ものを捨てるのって気持ちいい。ばしばし片っ端から捨てていると、いろいろな執着も捨てられそうな気がしてくるからおもしろい。
_ 朝、ラジオをつけたらaikoの「三国駅」が流れてきた。聴いているうちになんだか胸が詰まってくる。
マリアージュ・フレールに「エロス」という名前のお茶がある。パリの友だちがマレの本店で買ってきてくれたのをおみやげにもらって以来、切らしたことはなかった。花の香りと甘い香りのするお茶。それが去年の秋以来、切らしたまま。今日、帰りに買って帰りたい。もう3月。少しずつ。
_ 大ボスと最終的な打ち合わせ。私にとっては、「小僧の神様」みたいな人だ。
_ 久しぶりにゼミの先輩に会った。憑き物が落ちたように穏やかになっている。博論を書いているときは、誰しも髪を振り乱してすごい形相になるものだから、きっと自分のときもそうだったのだろうなあと懐かしく思い返した。一緒にお昼を食べながら、複雑な話をいろいろ聞く。複雑すぎて、世の中たいへんだな、としか思えなくなる。
なんだってできるような気持ちもするし、なんにもできそうにない気持ちもする。上を見れば切りがないので、昼間は太陽が見える方向に顔を向け、夜は月が見える方向を向こう。月が見えなければ、無理に探さないこと。また毎日が楽しいような日々が来るかもしれないしね。
_ 啓蟄。
ブリ大根、切り干し大根、ツナおろしパスタ(かい割れ大根入り)。大根メニューで迎えた。デザートはサツマイモとりんごのコンポート。根菜類メニュー。
_ スターバックスはお店によってずいぶんと居心地が違うような気がする。最近、しばしば立ち寄るお店は、とてもよい空間で、うっかりすると一時間とか平気で座りつづけてしまったりする。ここのコーヒーがおいしいとはあんまり思わないのだけど、雰囲気だけはいいなあと思う。照明が落ち着いているからなのかな。あと全席禁煙というのもあるかもしれない。読むものがなにもなかったので、しかたなく、駅で買った週刊文春を読んだ。似つかわしくないような気がしたけど、誰も気にする人などいそうになかったので、ゆっくりと読み耽る。もう病気の痕跡はなし。元気になった。
_ 引き出しや文箱の中の手紙の整理をする。ほんとに手紙書き魔だった模様。出るわ出るわ、しかも今と違って万年筆で細かく書いていたりで、本当にびっくりする。誤字脱字が全然ないということは、清書していたのだろうか。出した手紙と出さなかった手紙のどちらが多かったのか気になる。友だちからの手紙もたくさん。たくさん。破っておかねばならぬ手紙は一読して、細かく千切った。葉書もたくさん。エアメールもたくさんあるが、普通に電話をかける感覚で、手紙を書き合っていたのだなあ。谷川俊太郎の母:多喜子さんと父:徹三さんの恋人時代も、一日二回くらい手紙を出し合っていて、なおかつそれがすぐに届けられていたらしい(『母の恋文』)。メールだって、勢いがあれば一日3往復も5往復もしてしまう。その楽しさと手紙を受け取る楽しさと、比べることはできないだろうが、手間が掛かる分、手紙の方が出したほうも受け取ったほうも胸が躍るような気がする。そういえば、手紙を書くときはいつも万年筆かフィッシャーのミドルな太さの青色ボールペンだった。そういうこだわりを無くしてしまったのとメール文化の受容とは、きっとタイミングが同じだったのだろうなあ。今でもボールペンは太書きの方を好む。手紙時代の名残だ。記念切手を見ればついつい買ってしまうのも同じく。学部時代のゼミの友だちからの手紙が秀逸だった。「君はみかけは矢野顕子なのにしゃべれば黒柳徹子なところをなおしたほうがよい」と書かれていた。よほど頓珍漢なことを早口にまくしたてていたのだろう。ちなみに今も昔も矢野顕子には似ていない。
_ ANAからのDMによれば、誕生日前後の2週間はバースデー割引があるとのこと。どこかいってみよーかなー。現時点の候補:沖縄・長崎・五島列島。
_ 晩ごはんがおいしかったので。
オレンジチキン、イカナゴのくぎ煮、キャベツ千切り、冷や奴、ごはん。温かい家でのんびりとごはんを食べられることの幸せをかみしめる。
阪田寛夫が亡くなったので、庄野潤三を読む。ふたりは親友。
_ 考えてみたら、先々週の土日からずっと休みなしだったので、今日は雨が降っていることを理由に、家で仕事(という名の読書)。昨日の倉橋由美子についての日記、酔っぱらいが書いたみたいだ。帰国する留学生への贈り物を選んだり。絣の作務衣にした。喜んでくれたらいいんだけど。
_ ぼんやりする。
_ ラギ [なにより、なにより。なにより。うん。 わたしも大根たべよ。]
_ 雪見 [え?え? 啓蟄って大根を食べる日なんですか???]
_ ね [ラギちゃん、どもども♪ 雪見さん、大根を食べる日…ではないと思います(笑)。でも、大根、おいしい。]