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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

02-06-2009 / Tuesday [長年日記]

_ 5月上旬に引っ越しの予定であった。それまで住んでいた家の契約終了を機に、少し南側の住宅地に引っ越すことを決めて、新聞の賃貸住宅情報をこまめにチェックしてようようこれなら住めるかという物件を決めた。翌日、如月さんだけが新居を訪れて、電球を取り付けたり軽く掃除をしたところ、隣に住む大家さんがやってきた。世間話をしているうちに、大家さんの身の上話となった。語るところによると、夫人と子どもふたりは現在別居中。家族は大家さんが早く亡くなれば、現在の地所を売って財産とすることができるため、あれやこれやの手を使って、大家さんの命を奪おうとしているのだとか。学園都市の中のこれまたひじょうに有名な私立学校の名前が付けられた高級ではないが十分にスノッブな学園街。なんと物騒な話であることよと、夫を促して話を聞いたらば。。たとえば二ヶ月前のある日、大家さんはある日突然、鉄砲で撃たれたのだとか。幸い、一命を取り留め、ようやく回復して歩いていたある日、ヤシノキなどまったく生えていないところで、突然、頭上にヤシノミが降ってきたとか。夜毎、得体のしれない気持ちの悪さが襲ってきて眠れないだとか。。前の店子がなぜ引っ越したのかを聞いてみると、店子の二十代の息子が夜毎、家の前で怪しい騒ぎを起こすのだとか。。

手付け金を払ってあったのと、わたしが気に入って決めた家だったから、なんとかいろいろポジティブな考え方をして、この家に引っ越そうと思っていたのだが、決定打がきた。大家の甥と称する男がある日、家にやってきた。小一時間も、どうでもよい話とか手付け金をもっと増やさないと、別の店子に貸してしまうおそれがあるだの話していき、最後には当時住んでいた家には、「悪霊がすみついている」だの話して帰って行った。曰く、この家にわたしが問題なく住めるのは、わたしに霊感がないからだとか。。普通の某国人ならば、いやがってこんなところには住まないなどという。なんじゃあれはと気持ち悪がっていたら、5分も経たないうちに男が戻ってきた。曰く、病気の家族のために薬局で薬を引き取ることになっていたのだが、お金を忘れたから貸して欲しいとのこと。。

よくある手ではあるが、本当のことだったらかわいそうな話などと強く考えることにして、言われた金額を貸した。ただし、きちんと借用書は書かせた。

そんなことがあって、段々、新居に行くのがわずらわしくなり、そうこうしているうちに、入院することになった。退院してから日本の母に、ああー、どうもあの家はだめかもしれない。。実は。。と説明すると、「そんな家はやめなはれ!」と一喝される。

というわけで、その後、もう筆舌しがたいあれこれを経て、新居は解約(手付け金は返してもらえなかった。。)、わたしは泣く思いで、友達に相談したところ、あっけなく新しい家を見つけてくれた。とりあえずの避難所なので、一間しかないのだが、この国にしてはほんとうに珍しく日当たり良好、一日中、柔らかな日差しが降り注ぎ、清潔なバスルームがついている。庭は蚊のいない、素敵な庭園風になっている。家賃は4千円ほど。高い部類の部屋ではあるが、ようやく昨日、荷物を運び込み、今日から生活をし始めている。

調査で住み着いているのと、生活するのとでは、見えてくるもの、関わらざるを得ないものの種類がこれほどまでに違うのかと、今になってもまったく新しいこと続きで、エキサイティングでもあり、結構疲れるがなー、とうんざりするものでもあることです。


04-06-2009 / Thursday [長年日記]

_ 3月に帰国した時に、歯のクリーニングに行きそびれた。なので落ち着かない。金持ち外国人御用達とされる病院があるそうで、そこの歯科がよいとの話を聞き、偵察へ。金持ちではないのだが、どれくらい料金がかかるのかなとおもって、見に行ったのだ。病院は日本からほど近い半島系列の病院だそうで、ここは美容整形専門病院かと思うぐらいにすごいメニューが充実していた。歯列矯正といった定番の他、クリーニング、漂白、差し歯からブリッジから入れ歯からよくわからないその他もろもろのあらゆる歯の美容メニュー。裏を総金張り?とか。単なる歯石除去とかそういったものをお願いするには忍びない気持ちがしてくる。ついでにその他の医療活動を見ると、入れ墨消し、美容整形、日焼けサロン、美白、ピーリング、マツゲパーマ、二重まぶた、豊胸、経産婦およびその他の経験のある女性への秘密サービス、男性への秘密サービスとか。頭髪現象の危機に瀕している人への治療というのもあった。内科や外科は、割と末尾に小さく書かれていた。そういえば、歯列矯正の器具に色や材質のバリエーションがあるほか、キャラクター入りというのもあった。医療の概念は広い。地域社会の文脈や需要に応じて、多様な内容を含むものなのであった。


05-06-2009 / Friday [長年日記]

_ ところで、荷造りでほとんどの日本語の本を梱包してしまったままで、手元にあるのはほんの数冊だけ。そのうちの一冊、『龍は眠る』(宮部みゆき)を読んでいて思ったこと。この本には超常能力を持つ高校生が準主人公として登場する。その人の所有物や体にふれるだけで、その人の考えていることが読み取れるという能力。彼の友人でもう一人のサイキックの青年の話としてこういうのがあった。とにかく相手のことを考えていることがわかってしまうのだから、仮に親密な間柄な人と親密な行為をおこなっている最中、相手がいまどう思っているかがわかるから、とてもではないが完遂させることができない。。その欲求だけでも自分は早死にするだろう、というくだりがある。

それで思ったのだけど、外国人の気持ちも日本語で読めるのだろうかということ。SF界の文脈では異なる言語間の透視というのはどういうふうに扱われているんだろうか。なんてことを考えて、眠れなかったです。

_ 新しい家は大家さんの母屋とおなじ敷地内にある貸間。信じられないくらいに清潔なバスルームがついていて、部屋は日本的な広さで言うと十畳くらい。でもやはり少々狭いというのは否めなく、自前の冷蔵庫を置くことはできない。なので大家さんの冷蔵庫を間借りさせてもらっている。味噌とか醤油、梅干し、わさびなどを入れさせてもらっているのだが、大家さんは興味津々。というのもこの一家は健康オタク一家なのである。

大家さんは見た目60歳前半、同居の長男は40歳くらい、そう思っていたのだ。するとなんと、大家さんは1929年生まれ。長男はもう55歳で年金生活者。ふたりとも歯は全部自前だし、肌もつやつや、髪は黒々。信じられない若さを保っている。そんな彼らからみると、わたしは20代、夫に至っては大学卒業したばかりに見えるのだそうで、視力に関しては、年齢相応の老化を止めることはできなかったようである。

で、一通り、味噌の使い方、わさびや醤油について説明。日本茶についても説明。そのうち日本料理を作ることを約束させられる。でもお味噌汁って、外国人には不人気なのですよね。なんといっても辛いから。なのでいつも薄く薄く作っている。夫が好きなのは、カレーライス。これは日本料理ではないのだが、すでに現地化された外国料理ではある。高野豆腐は好きなようだ。来週からまた遠くへ出張の予定。移動移動の連続で、ベドウィンみたいだ。そのうち自前のラクダでも飼うことになりそう。


13-06-2009 / Saturday [長年日記]

_ 以前にも書いたことがあったような気がするが、「チューズ・ミー」という映画が好き。これは高校だか大学の頃だか忘れたけど、なにしろ風邪で学校を休んだ日の午後、KBSとかサンテレビとかUHF局のお昼の映画劇場みたいなので放送されていたものを観た。キース・キャラダインが出ている映画。70年代風というか80年代風というのか、そういう耳について離れないちょっとソウルな感じの女声コーラスのテーマ曲があって、映画というよりもほとんどドラマみたいな映画だった。とくにすばらしい映画ということではまったくない。普通の、ごく普通のB級映画。多分、アマゾンなんかでは間違っても売られていないと思う。

数日前にデビッド・キャラダインが亡くなったという新聞記事を読んだ。キース・キャラダインの縁者だと思っていたけど実兄とのこと。で、映画のことも思い出した次第。

どうでもよい映画とかどうでもよいCDとかに、時々、とんでもない傑作シーンがあったり傑作ナンバーがあったりする。そこだけ観たいがために、その曲を聴きたいがために、大枚はたいて散財することがあった。最近、さすがに大人になったけど、ときどきふと箍がゆるんでしまう。


14-06-2009 / Sunday [長年日記]

_ 某会があり、わたしはモデレーターを務めた。久しぶりのアカデミックな会。某先生の資料作成を手伝ったり、質疑応答を捌いたり、質疑応答の内容をその場でパワーポイントにまとめたりしたら、とてもほめられた。。でもわたしぐらいの大年増丁稚(女中か)ならば誰でもできることばかり。住む世界が少し異なると、どんなところでも新鮮にみえるのだろうか。先週からアカデミックづいていて(というか、そうでなかったのか、今まで。。)、久しぶりにいろいろと快調。一方ではげーげーと吐き続けているのだが。。

_ 下宿は、中庭を囲み、東西の辺と南の辺に部屋が並んでいる。北側は大家さんの母屋。東側の辺に並ぶ三部屋は独立した浴室が室外についている。私の部屋は南側にある一部屋。ここが一番日当たりがよいだろうと思っていたらあにはからず、東側の辺の部屋が一番に日照時間が長い。西側の3部屋は浴室はどうなっているのかなと思っていたら、わたしの浴室と共同なのだとか。。あれ。ほかの人の部屋は外国人料金なのだが、わたしの部屋は配偶者が某国人ということでなのか、ローカル料金にしてくれている。もう一組の美国人と某国人カップルはどうも正式な婚姻関係にないようで、外国人料金。だからなのか、わたしの部屋はベッドが現地仕様。つまり横になると人型にマットレスが沈むタイプ。。寝心地が悪い、というか寝返りが打てないから、朝起きると体ががちがちになっている。ほかの人の部屋の3割引料金とはいえ、なんだか腑に落ちなかったりする。しかし、大家さんが特別に冷蔵庫を使わせてくれるのは私だけなので、文句はいうまいぞ。

_ わたしが今の下宿に入ってきた今月初めのころ、中庭を取り囲むように並ぶ7つの部屋のうち、東側の1部屋に美国人が一人、入っているだけだった。この人は夜行性の人で、昼間、滅多なことでは顔を合わせない。わたしが入ってから3日後、やはり美国人の新聞記者が入ってきた。この人も地方出張ばかりで、ほとんど顔を合わせない。3日前、某国人と美国人の夫婦が入ってきた。2日前、日本人一人と西欧国人一人が同時に入ってきた。西欧国人の人はわたしの研究と重なる人らしく、とりあえずは語学の勉強にきたという。急に、人が一杯になった。ドリフターズの劇みたいな感じの、いろいろな取り合わせである。


16-06-2009 / Tuesday [長年日記]

_ ま、出る杭はまた打たれました(笑)。よいのです。きっと事実なのだろうから。


18-06-2009 / Thursday [長年日記]

_ 創立記念日。

_ 毎朝炊きたてのごはんがおいしい。簡単浅漬けと梅干しとインスタント味噌汁を食べて、季節の果物を切って、ヨーグルトドリンクを飲んでいる。もうこれだけで十分。

_ なぜと思うことが研究には一番必要なのだと思って、いつもまずそう思うことを心がけてきた。奇抜な人の行動とか腹が立って仕方がない人と会っても、一秒くらいは、なぜそのようなことを言うのだろうかと、考えることにしてきた。でも相手が必ずしもそんなことを思ってくれるわけでもないわけでして。なぜと問われなくなったら、それは相手が自分に関心を持っていない指標であると思うようにしている。いろいろな意味での関心。しかし、自分の側でもなぜと人が問わずにはいられないようなものを持っていないといけないわけでもある。なぜと問われなくなったのはなぜなのかと、自分でもしっかりと問う余裕と謙虚さを持ちたいものだ。たぶんわたしには無理なのだけど。。

如月さんと一緒にDVD鑑賞。グリンダー・チャーダ監督の「ジョージアの日記/ゆううつでキラキラな毎日」。タイトルは書くのも恥ずかしい感じがするが、この映画もなかなか好きなタイプの映画。B級映画らしくもっと弾けてもよかったと思うのだけど。主人公がとても魅力的。


23-06-2009 / Tuesday [長年日記]

_ 帰国前に出張する予定があるのと、長時間飛行機に乗るというので、こちらでは最後の診察を受けに行った。似たような具合の悪さを抱えた何組もの人々の間でしばらく待ち、呼ばれたので診察室へ。先生は女の先生で、見るからに優しそうな落ち着いた先生。よくこちらの話をきいてくれるし、説明は明快で説得力がある。無駄がない。エコーで早速、様子を見せてくれた。2週間前は、まだミジンコみたいな大きさで、これが人の形になるかと思うと、にわかには信じられない様相だったか、夕べの画像では多少、人の形をしていた。しかも手足がミジンコと同じくらいに活発に動いている。如月さんと一緒に画像を見ながら、「うわーっ」などと声に出してしまった。大きさは3センチくらいあるという。実に不思議としかいいようのない感覚。


24-06-2009 / Wednesday [長年日記]

_ 出張のチケットの手配を、ここがいいからと紹介された代理店で頼んだところ、すごいことになった。

予約完了、発券オーダーは翌晩9時までに連絡すると確認して、一旦電話を切る→15分後に復路の日程変更のために電話、予約番号を伝えたところ、「ない」といわれる→クレーム→予約番号が確認されたので、復路日程変更を頼む→と、飛行機会社に直接電話してくれといわれる→はあ?→なぜと問うても、明確な説明なし→この時点で、そばにいた某国人に電話をかわってもらう→重ねて聞けば、チケットはすでに発券されているとのこと→なんと!!→代表者を出せと叫ぶ→代表者が出て、状況を確認したところ、チケットは発券されておらず、予約段階→ほっとして復路変更を伝え、とりあえず、予定通り、発券オーダーは一晩おいてからと伝えて確認→翌朝、代理店に電話して、発券オーダーをかけようとしたら、予約はキャンセルされていたとさ。。で、再予約→発券オーダーの確認は、こちらからさせていただきますと、代理店、低姿勢となる→翌日の夜がリミットだったので、待つ、待つ、待つ。→電話はかかってこなかった!そして電話を掛けたけども、もう営業終了だった!→で、翌日、もうおまえとこでは頼まん!と、いおうと思って電話を掛けようとしたら、メール便が来て、発券されたチケットが届いた。。

まあこんなものかもしれないので怒っちゃだめだ。


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