_ 某さんと寒空の下、雑談。それで風邪気味になったのかもしんない。。ますます齧歯類に似てきて、かわいい。くらーくなる本を読んでしまったので、全体的に、暗い。
_ 今日って、寒いのかな。寒いのは、わたしという存在なのかもしれないけど。
_ 七五三。
_ 『ふたくちおとこ』多和田葉子。ハードガヴァーがジュンク堂でさりげなく売られていたので、奥付をみると、二刷。買う。あといろいろ買って、レジスター所へ持って行くと、アルバイトの人が多和田葉子を、ばさりと下向けに広げた状態で落としてしまった。や、いいんです、いいんです、いいんですよ、と連呼しちゃったんだけど、顔は引きつっていただろうなあ。赤毛のアンの中に、たとえ友だちであっても、お気に入りの本を貸して、その本が返ってきたら、その本が自分の手元を離れて、もうすっかり別人になってしまったような気持ちがする云々というくだりがある。本がきれいであろうがなかろうが、書かれている中身が変わるわけではないのだし、古本がきらいとかそういうわけでは決してない。にもかかわらず、なんか中身をよく知る前に、なくしてしまった本というような感じがして、本に罪はないのだけど、雨に濡れた本屋の床がしみこんだであろうページをめくってしまったら、どーんとショックが押し寄せるだろう。だからしばらくは読めないだろう。電車で乗り合わせて、読んでいる本がデビッド・ロッジっぽかったり、着ている服が好感もてたり、駅弁とかが偶然おなじで、なんとなく互いに話しかけてみたいと思いつつも、ときおり目が合う度に息を飲み込むのに、一歩踏み出す勇気がなくて、終着駅で西口と東口で別れてしまうような、車中の人に似ている。読む前に、どこかへ行ってしまった活字。もっと知り合えたはずの人を失ってしまった感じ。うつむいたまま、家まで歩いた。
本屋では、「ふたば書房」の店員さんが好きだ。理想的な本屋の店員さんの風情が漂っていて、本が好きなんですー、というオーラが充満しているから。しかし、売られている本に関しては、駅前書店としか思えない内容で、惜しまれる。