_ わたしが小さい頃、買ってもらったおもちゃだったのか、弟のおもちゃだったのかわからないけれど、セルロイドっぽいおきあがりこぼし人形が家にあった。わたしはこれが大好きだった。頭の部分とおなかの部分と、ふたつの球からなる人形で、おなかの球にチャイムが入っている。この音がとても素朴で、お人形の顔がレトロでいかにも外国人ぽくて、いつか子どもを持つことがあったら、このおもちゃを買ってあげたいと思っていた。21世紀のそのお人形は、おきあがりポロンちゃんと名付けられている。
カルガモさんは、初めてポロンちゃんが届いた時、怖がったらしい。わたしは大学に行っていたので、その場面をみていないのだけど、顔を歪めて泣き出したという。ところが、今回、帰国してみれば、顔なじみのおさるのぬいぐるみやくまこさんはさておき、真っ先にポロンちゃんに手を伸ばした。夜中など目が覚めたとき、以前ならばまず泣き声を上げたのに、今は枕元に置いているポロンちゃんに手を伸ばして、音を鳴らす。そうすれば、かならずわたしが目を覚ますことを知っているかのように。
添い寝しながら母乳を飲ませているときも、振り子時計みたいに、しばらく飲んでは、しばらくポロンちゃんを振り返って手を伸ばて音を鳴らし、また振り返ってうっくうっくと飲んでいる。その様子を見ていると、大きくなったなあと感慨深い。もうお座りもできるようになった。まだ寝返りを打つのがあまり上手でないのだが、あやせば笑うし、親が口をぶっと尖らせて音を立てれば、子も必死にまねをする。高い高いをすれば、きゃっきゃと声を上げて笑う。電車に一緒に乗れば、きょろきょろと車内を見渡し、きっと誰かの視線を捉えてはにっこりと笑う。どんな大人になるのでしょうね。今日で6ヶ月。大学の友だちがカルガモさんの手相を見て、「学者に向いている」と言うので、猛烈に怒ってしまったわたしです(苦)。手に職をつけさせますねん!