_ 久々に帰国した人と、近所の人びとを含めて、夕べは遅くまで飲む。といっても私はコーラ。さすがに疲れて。タクシーで帰宅する。
_ 音楽なんて、全然ききたくないやい!という時が時々あって、今はちょうどそんなかんじ。昔から、何かしながら音楽を聴くことは少なかったのでとくに問題があるわけではないが、こういう波って、いったいどういう種類のものなのだろうか。この頃、コーヒーも、全然飲まなくなった。数日前に一瞬、コーヒーのよい香りに誘われて発作的に飲みたくなったものの、店先を通り過ぎればすぐにそういう気持ちも消えてしまった。昨日、またその発作に襲われたのでスターバックスに入ったものの、頼んだものはいつものチャイ・ラテ。なんなのだ。
_ ドイツのコーヒーは、酸っぱくなくて、深煎りで、とてもおいしかった。今でも強烈に記憶に残されているのは、南の街で吹雪の日に飲んだポット・サービスのコーヒー。シュバルツバルトと一緒にいただいた。あれはもうすばらしい喫茶店だった。たった一人のおばさんウェイトレスさんの采配ぶり、常連客とのやりとり、老婦人二人組が、私でももてあますような巨大な二等辺三角形をぺろりと食べ終えるのを観察しながら、ときどき、隅っこの席でテーブル越しに抱き合って接吻している中年のカップルを眺めていた。日々、断片化する記憶の中で、この日の思い出はコーヒーの香りとともにときどきふと甦ってくる。
いつかおとなになったら、私もテーブル越しに抱き合って、接吻してみたいな…と本気で思ったりしながら吹雪の街に飛び出した。