_ ずっとバイクの人となる。時速80キロで街道をひた走る。土ぼこりを思いっきり吸い込むので、当然、のどもがらがら。まつげにほこりがたまるので、マスカラもつけていないのに、ヘルメットを取るとパンダな目になっている。
二本の川が合流する地点。山のカミと海のカミが出会ったかもしれない場所。轟々と流れる川の音に耳を澄ます。
毎晩のように寝る前に濃いコーヒーを飲むのに、飲み終わって歯磨きをするとすとんと眠りに落ちた。夢も何も見ない。朝になれば、目を覚ますだけだ。コーヒーの準備ができましたというノックの音を待って、一日が始まった。どこまでいってもまるでわかっていないボスを持ってしまうと、下っ端は苦労する。とりあえずは全部自分の裁量で決めて、あとは事後承諾してもらうことにして、自分の精神衛生だけは、確保。川音を思い出して、じっと静かに頭を落ち着かせる。