_ 昔からのことなのだが、よく小さな白い子ねこが、ある朝、突然、目の前に現れる。いつも大概、瀕死の状態。どんな病気をもっているかわからないから、当地で動物に触れることは控えるべきなのであるが、足下にみゃあみゃあとやってくるものを、拒むのはむずかしい。昨日も、ダイニングルームで朝食を食べていたら、ねこが来た。白い毛並みが貧相に乱れている。ところどころにミルクティーの色をした模様がある。尻尾は短くて丸い。珍しい。お手伝いさんに尋ねると、今までに来たことのないねこだという。昔、村に住んでいたときも、やはりひわひわのねこが突然、二階のわたしの部屋に来たことがあった。わたしの役割としては、お湯で溶いたコンデンスミルクを作ってやって、ゆっくりと飲ませてやることだけ。おなかがいっぱいになったら、どこへともなくねこたちは去っていく。そして二度と現れない。元気でいてくれたらいいなと思う。