_ 過日、いつも大入り満員の駅前の本屋で、ぼんやり書架を眺めていて、「小公女」を見つける。わたしが読んだのは、ポプラ社だったか金の星社だかの子ども版。でも挿絵がとても印象的な版で、目を閉じなくともその絵柄が今でも浮かんでくる。新潮文庫版は、伊藤整訳。懐かしさに耐えかねて、買ってしまった。以来、学校の行き帰りに読んでいる。ミンチン先生のなんといじわるなことよ。「小公女」の中で一番好きなのは、やはり屋根裏部屋に魔法使いがやってくる場面。そしてセーラが無事に窮境から救い出されるところ。どんなときも凛として居住まいを正し、やけになることのない少女である。うそくさいと思われる場面もあるけれど、基本的にはわたしはこのお話がなぜか大好きなのである。セーラが好きというのではなくて、いろんな人がいたはるなあ。。という感慨が深いからかもしれない。つまりは100年くらい前の世間と今の世間とで、いろいろと変化・進化した部分もあるのだが、人間に関しては、さほど変化はないのではないかということである。でも、基本的に、読むとなんだかぶつぶつ言っていないでがんばろうという気になるから、毎日、あきもせずに繰り返し読んでいるのかもしれない。