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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

02-09-2009 / Wednesday [長年日記]

_ 関連する話題とは言い難いのだけど、如月さんの話。いまどきの日本の初婚年齢からすれば、わたしも相当、晩婚に入るだろうと思う。周囲の同級生や先輩を含めても、既婚者はむしろ少数派であったりするのだが、如月さんの場合、晩婚どころか、「もう結婚しない人」「同性愛者疑惑」をかけられていたのだという。長身痩躯、穏やかで静かな人物で、どんな偶蹄類でもよいのだが、とりあえずシカに似ている。地域のリーダーでもあり、実際、いろいろな縁談が昔からいつも絶えることなく持ち込まれていたのだという。なのになぜか結婚しない、怪しい…と思われ続けて数十年という人物である。それが結婚した。いやいや、結婚はカムフラージュということもあるしね…。なお、疑われ続けたという。それが結婚後、わりとすぐに子どもができた。本人は、「やったー!これで疑惑から解放される!」と喜んだ。そうくるのか…。で、何が言いたかったかというと、いろいろな事例があるからなにかを一般化していうのではないのだが、改めて、女と男ではおなじような経験でも感じることは実に異なり、そのバリエーションもまた多様なことようのう、ということである。「なぎさ」を読んで、わたしは別に不快には思わなかったのだが、そう感じた人もまたたくさんいた模様である。いろいろだ。で、わたしが如月さんに言ったか言わなかったことは、「ほんとうに如月さんの子どもかな?と疑う人はそれでもいるかもしれへんでー」ということ(笑)。人の口に戸は立てられないのである。もちろんそんなこと疑うまでもない。

_ 夕方、いつもより早めに帰宅したので、途中で母と待ち合わせて図書館へ。午後8時まで開館している日だからか、ものすごい数の人がいる。人ごみに圧倒されて、早々と退散。帰宅して荷造りなど。

_ 重松清を最初に知ったのは、おそらく2000年頃、河童国か某国のキノクニヤ書店でだったと思う。「見張り塔からずっと」という新潮文庫のタイトルがなぜか引っかかり、すぐに手にとって見た。文庫本自体は厚いわけでもなく、それが日本の本屋であったら、すぐに買っていたことだろう。しかし如何せん、輸入コストやらが笑っちゃうくらいに上乗せされている現地価格である。そのときはその本を買う気にはなれなかったのである。どうせもうすぐ帰国するのだからと思い直して、本屋を出た。それからころりとそのことを忘れて数年、やっとその本を読んだ頃には、もう重松清は超流行作家になっていた。「見張り塔からずっと」は、結論からいうとわたしの好きな類の短編集であったのだが、なぜかそれ以降、しばらく重松清を読むことはなかった。

そして昨日、人ごみにもまれながら図書館の棚を歩いていてふと、「し」の棚で立ち止まった。主な著書は貸し出し中なのか、4冊ほどが見えるだけだった。それまでにすでに読んでいた重松本の数冊はそこには並んでおらず、初めてみるタイトルのものばかりであった。で、そのうちのひとつ、「哲也の青春・圭の青春―なぎさの媚薬2」を借りることになった。

タイトルからもなんとなく想像されるとおり、相当に官能的な描写がある。しかしこの小説は基本的に、大人のファンタジーなのだろうと思った。あの時ああすればよかったのに、という後悔、どんなに今幸せになっていても、封印しきれずいる過去を実に官能的に解決するために、なぎさという街娼が登場する。

シリーズをとおして、なぎさに救われるのは全員男性のようである(結果的にはそのことによって、後悔の棘となっていた女性もまた救われるわけではあるのだが)。だから男のために書かれた官能小説だとは思う。一方、女のほうは、こういう形で過去の棘を抜こうと思うだろうか、などとも思ったりした。あのときあの人と何事かをいたしていたら、わたしもあの人も救われたはずだ、なんて思うことがあるだろうか。

しかし、すでに「ファンタジー」と書いたように、そういうバイアスのかかったような野暮な読み方はやめて、純粋に青春小説として読むとよいのだろうと思った。きらいじゃないです。


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