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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

03-01-2020 / Friday [長年日記]

_ 年末は海と山と森のあるところで過ごした。飛行機で3時間しか離れていない場所だった。でもとても懐かしく、居心地のよい場所だった。わたしの知っている人たちは、今はもう誰もそこには住んでいない。街の様子も、もちろん20年前とは比べられないほど変わっていた。それでもそこには海と山と森があった。

毎日、ホテルで朝食を取ったが、右を見ても左を見ても、日本人はいなかった。圧倒的大多数は東アジアからの旅行者であった。二番目に多いのは欧米からの旅行者である。あるいはわたしたちと同じように、首都から休暇で訪れていただけなのかもしれなかった。その次に多いのが東南アジアからの旅行者であった。クリスマスと新年の飾り付けを兼ねたブレックファストルームの意匠は、巨大なツリーに全精力が注ぎ込まれていた。ツリーを木だと考えると、間違いなのだろう。天井まで届くようなスリムな円錐形に、きらびやかな飾り物がぶら下げられている。星の形や月の形、天使やトナカイのようなわかりやすい形のものは一切なくて、大中小の球形の飾りだけがぶら下げられている。だから、クリスマスと関係があるのかというと、今はその季節だからそう見えてしまうけれど、別の季節に見れば違うものに見える、そう見てもまったく差し支えないといえるかもしれない。色だって、緑と赤、あるいは銀色と金色といったわかりやすいペアですらなかった。それは白一色だったのだ。球形の飾り物だけが、いろいろな色のラメの輝きを放っていた。

小さなものから巨大なものまで、海に面した街には多すぎるのではないかと心配になるほどたくさんのショッピングモールがあった。その中で、一番古くて小さいモールの中で、わたしたちは小さなクリスマスの焼き菓子を買った。部屋へ戻り、夜景を見ながら食後のデザートにお菓子を食べた。ひとつの場所を離れるときには、いつかまたここに来たいと思いながら、飛行機に乗るものだと思ってきた。だから運良く、また戻ってくることができてうれしいとしかいいようがないのである。しかし、窓から見える海も空も、まるで時間が全然流れなかったかのように平和な青と白のコンビネーションである。光の加減で真っ青に見えたり、流れる雲が輝くような白だったりする。ふと気がつけばもう20年が過ぎているのである。不思議な気持ちになった。

一週間後、わたしたちは日常へ戻ってきた。今、目の前に見える景色の向こうに、輝く海と空と山と森は見えない。でも見えるような気持ちになってみて、なんとかやっていくしかない。


02-01-2020 / Thursday [長年日記]

_ 本当に久しぶり。おそらく、もうどなたもここを訪れてくれる方はいないだろうけれど。

とてもたいへんな一年だった。でもそれも3月までだ。予定よりも一年早く、帰国することになった。帰国?どこへ?それが目下の最大の問題である。わたしはどこへ向かおうとしているのだろうか。いつになれば、なにも心配しなくてすむようになるのだろう。2020年、だって?もう100年か200年、過ぎたような気もする。いや、5年か6年か。

今年はもう少しここに書くようにしたい。ずっとなにも書かないで来た。紙の日記でさえ、もう書かないできた。飛ぶには重たすぎ、落ちるには臆病すぎて、ふらふらしているしかないような気がしている。いつまで?永遠に?


03-04-2019 / Wednesday [長年日記]

_ やっと映画館で、遅まきながら、「ボヘミアン・ラプソディ」を見た。もちろん、タイトル曲も大好きだ。必死で歌詞を覚えた17歳のわたし。この歌詞にはいろいろな叡智、知識が詰まっている。しかしわたしがクイーンの中で一番好きなのは、ブライアン・メイが実際にはいない妹を夢見て?妄想して?作ったという「Sail Away Sweet Siter」。この歌にはサブタイトルがある。To the sister I never had。あはは、という感じである。でも大好き。とてもクイーンらしい歌だと思う。わたしの好きなのは他に、Good old fashioned lover boy、手を取り合って、Fat bottomed girls、Bicycle race。地獄へ道連れ、も好き。映画では、出ている人がみな、本人にそっくりというのがすごいと思った。クイーンのメンバーが激似であることもそうだが、フレディのパートナー氏の似ていることといったら。映画館で見たあとも、例のガジェットで何度も最後のライブのところだけ見た。いい音楽って、本当にずっとみんなの記憶に残るものなのだなあ。

最近のわたしの聞く音楽はというと、もっぱら銀杏Boyzである。なんで、なぜに、今?と、みなに笑われているのだが、なんど聞いても、胸が熱くなるのです(笑)。東京とかGoing Steady時代の曲とか、もう涙なしで聞けない。なぜなのだろうか。そこにはきっと、「永遠」があるからなのではないかと思う。クイーンの音楽と同じ「永遠」。それが胸を打つ。平成が終わろうとする今、たとえ新しい元号になろうとも、わたしは永遠的なものをずっと求めながらいくような気がしている。ラストシーンで、「見えた?」「何が?」「永遠が」というセリフで終わる映画があった。そんな感じだ。ずっとここにはない、過去にはあった、けれどこれからも未来のいつでもどこかにある永遠なるもの。そういうわけで、わたしは誰がなんと言おうと、「いだてん」を楽しんで見ている。足袋屋さんと峯田くんという稀有なショットを、永遠に放心してみていたかった。春にはいろいろな別れがあるから仕方がないのかもしれないが。アニエス・ヴァルダも亡くなった。でも記憶の中のカンフー・マスターは、今もこの映画、なんだ?!というクエスションマークとともに鮮やかに刻まれている。そういう永遠のかけらには、忘れてしまったものもたくさんある。ときどき思い出していかねば。


06-03-2019 / Wednesday [長年日記]

_ 新学期が始まるまでの短い休暇中である。午前中は、家の事が終わってからよくテレビで映画を見た。本当はこういうのは法的にはどうなのだろうかと思うのだが、そういうガジェットがあって、テレビとインターネットにつなぐと、とにかくなんでも視聴することができるのだ。アカデミー賞を受賞したような新しい映画も、ほとんどそれで見た。大河ドラマや連続ドラマも。日本語のドラマは過去10年くらいのものがある程度、網羅されている。過去3年くらいに絞れば、単発ドラマを除けば、ほとんどなんでも、だ。欧米で流行りのドラマもである。それが普通の電気屋で売られている。秋葉原とか日本橋みたいなところがいくつかあって、そういうところでは建物の各階に、そうでない普通のショッピングモールでも、小さなブースが出ていたりして、どこでもほんの1万円程度で売られている。日本、韓国、台湾、香港といったアジア圏向けのものと、その他の欧米言語向けの仕様があるようだが、ほとんど同じものが見られるらしい。不思議な、本当に不思議なシステムだ。正しいのかそうでないのか全然わからないけれど(正しくないのだろうとは思う)、普通の衛星テレビチャンネルを契約している人も、今ではほとんどいないらしい。去年までいた内陸国では、隣国の衛星テレビシステムを使っていた。インターネットとは関係なく、大きな大きな受信器が屋上にあって、そこに雨水やホコリがたまらないように、大家さんがしょっちゅう掃除をしていたのが思い出される。

こういうシステムが家にあるから、さぞかしテレビを視聴しているだろうと思われるかもしれないが、実はリアルタイムの番組はほとんど見ることがない。というのも、とても不思議なのだが、理由がある。過去のドラマや映画として保存されているものには、日本語の字幕スーパーがつく。それを見ながらのほうが、日本語がわかりやすいからなのである。。。本当に不思議だ。ちょっとタイムラグができてから見るほうがゆっくりと見られるような気もするからだろうか。

映画では、『彼らが本気で編むときは』がよかった。『湯を沸かすほどの熱い愛』も何度か見た。おやおやというところでは、テレビドラマの『アシガール』がとてもおもしろかった。こんなのをNHKが放送していたのかと感心。外国語の映画では『女王陛下のお気に入り』がおもしろかった。つかの間の息抜きである。


30-01-2019 / Wednesday [長年日記]

_ 橋本治が亡くなった。「昭和」が、本当に終わったような。

_ 長い間、日記を放ったらかしにしてしまっていた。去年の春からずっと、仕事のことでとてもハードな経験が続いていた。それが去年の11月末にやっと終わり、それとほぼ同時に体調を崩してしまった。年末はそれでも日本から来客が続き、気持ちがずっと高揚していたこともあって、また正月には某国へ帰省し家族や親しい友人と再開したりしたりで元気に過ごしたのだが、年が明けてから本格的に調子を崩してしまった。長く、長く、深く暗く冷たく音の聞こえない場所を潜行していたような気がする。

橋本治が亡くなった。時代が終わった。わたしもそろそろ浮上しなければ。


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