_ 衛星放送で「めぐりあう時間たち」。昔映画館で見た。再見してみれば、演劇的な印象を覚えた。何度でもみてみたいしっとりとした映画。女優はみな素晴らしい演技だったけれど、ジュリアン・ムーアのパートがとくに心に残る。思い切って器から飛び出して、人生を変えてみても、幸せにならないこともある、そんなことを飛び出す前に考えるわけでもなく、自分だけでなく誰も幸せになることのない時間を過ごすことになってしまったのだ。ときどきなにもかも投げ出して、リセットしたらどんなにいいだろうという誘惑に駆られないわけではないが、その都度、生来のめんどくさがりが幸いしてか、あるいは小心者の故なのか、まだ踏み外さないで軌道を進んでいる。しかしそれは踏み外す勇気なのか、踏み外さないでいる勇気なのか。それを見極める叡智をわれに与え給えという話なのだろうか。まだなにも決められないのだと思うのであれば、それはまだ時間をかけてもよいということ、その時機がきていないのだと思って、深刻になりすぎないようにと思う。