_ ハローワークの前の桜堤の花が満開だったのが先週のこと。今日はもう枝に残っている花のほうがすくなくて、一面が花びらの敷物になっていた。結婚した年の春に、一時帰国したときのこと。夫に桜を見せたくて、ほんの少しだけ桜の花を枝から摘み取って、手帳に柔らかく挟んで押し花にした。もう辞書も手元になかったので、少しでも柔らかい雰囲気が残るようにと、押し花の作り方に逆らった言い訳としたのだった。昨日、子どもと一緒に遊んだ公園で、木馬に乗った子どもの背中に、花びらがはらはらと落ちてきた。バネ仕掛けの木馬を、子どもはなんとか自分の重さだけで揺らそうとするのだが、力が足りなかった。二人乗りをした木馬は、まるで酔っ払いの馬のように前後に揺れて、子どもは喜んだのだが、少し不満そうでもあった。自分一人だけで揺らしたかったのだ。わたしはそっと木馬を降りて、隣の機関車の形をした木馬に乗った。一人乗りの木馬に重たい大人が乗ったので、木馬は勢いをつけて前後に大きく揺れる。子どもは不満そうな顔をして、ママ、こっち、こっちと、また後ろに乗るように指令を出す。子どもよりも楽しそうに遊ぶ母親に呆れたような、そんな顔をしていたので、子どもを促して、図書館へ急いだ。子どもとふたり、木製のベンチに腰掛けて、あれこれ絵本を読んで、ふたりとも楽しんで家路についた。