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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

15-04-2013 / Monday [長年日記]

_ かれこれ一か月前、パートを休んで你好仕事へ行き、検索機械を使える45分一本勝負でめぼしい求人を見つけて応募したところ、翌日、面接の知らせがあって、その次の日、面接を受けた。来週、連絡しますとのことだったが、翌日には採用のお知らせがあって、あれよあれよという間に、工場の仕事を辞めることとなった。辞めるに当たっては、密かに仲良くしてもらっていろいろとおばちゃんから守ってくれた社員さんたちに御礼をしたり、おばちゃんたちにもきちんと別れの挨拶を述べたりして、円満に辞めることができた…ような気がしている。もう二度とは会わない人たちだけど、夢見の悪い思いはしたくないと思っていたので、穏やかに、いい感じに別れることができて、わたしの虚栄心も満たされたということである(苦笑)。

新しい職場は大学図書館である。わたしの経歴が活かされる職場というわけでは全然ない。まったくない。なので、気楽に働いている。図書館員というよりは、銀行員みたいな感じで、一日中、計算をしていたり書類を作ったりしている。よそ様からお借りした資料やらなんやらを扱う部署なので、お茶なんかも飲んだりしてはいけない。机の上に飲み物なんか置こうものなら、わたしの指導係である女性がまるでロッテンマイヤー女史のように「自覚が足りない!」とヒステリックに叫ぶのである。そう、どこにいってもいろいろな人がいるということを、今回の転職で学んだような気がする。ロッテンマイヤー女史は、まだ若いようである。たぶん20代後半であろう。図書館に来る前は、コールセンターか何か、電話での営業活動をする仕事をしていたんじゃないかと想像している。とにかく電話の声と地声に雲泥の差がある。すごい。副業に声優でもしているんじゃないかと思うほど、すごい声でしゃべる。この女性のことは、早々と深く関わらないに越したことはないと思ったので、いつも静かに、ひたすら静かに、黙々と書類を書いている。話しかけられたり説明を求められたり注意を受けたりするときは、必要最小限のやりとりでやり過ごすようにしている。そう思っているのはわたしだけではないようで、部屋にこの人がいるときとそうでないときの空気は、タヒチのビーチとラーゲリでずっと地面を掘っているときくらいに緊張感が違う。この人がご不浄に立ったりどこかへ行ったりすると、皆、深呼吸をする。どこに行ってもいろいろな人がいるのである。

通勤にはバスを使うのだが、これが遠くて遠くて仕方がない。まだ4月だからということもあって、学生は律儀にすべての授業に出席している。いやいや、もはやわたしの時代とは違って、出席しないといけないのである。だから、バスなんかひどい乗車率なのである。せっかく桜の見所がたくさんある場所だというのに、昼時などはとても外に出て行こうという気にもならない。そそくさとお弁当を食べたあとは、開架閲覧室へ出て、書架から書架へと図書館独特の静けさと空気の中を泳ぎながら、本の旅に出ている。ときどき椅子に座って本を読むこともある。利用カードで本を借りたりもする。そうしながら、今まで偽物気分でいた自分が、それでもまたこうして新しい偽物となって図書館を徘徊している状況を頭の中のモニターに描いて、笑ったりしている。


28-04-2013 / Sunday [長年日記]

_ 用事があって、開架閲覧室を通り抜けることがあると、かならずその度に、学生さんたちに呼び止められる。三回に二回は呼び止められるので、わりと頻繁だと言っても大げさではないだろう。485.1の本はどこにありますか…、では一緒に行きましょう、で、書名は…、あ、書名はわかりません…ということもよくあるし、「たぶんかしゃかい」の本はどこにありますかというのもあった。岩波文庫と岩波新書を間違えていたこともあったし、ちくまぶんことちくましんしょはちがうんですか?という質問もあった。図書館は何時までやっていますか、落とし物をしたので一緒にさがしてください、というのもあった。おもしろいなあと思って、開架閲覧室を通り抜けるのが楽しみになっている。同時に貸し出しできるのは、わたしの身分では二冊だけとはいえ、十分にその贅沢を味わっている。この大学図書館では閲覧室での飲食が許可されていて、いまだにどきっとすることが多い。パソコンも貸し出しているし、話題の小説や本などを集めているコーナーもある。隔世の感がある。ずっと本だけに囲まれて仕事をするというの至福を味わっていたいところだ。


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