_ ある日。保育園の帰り道、髪をポマードみたいなもので固め、濃い色のサングラスをかけ、肩を怒らせて、上下真っ白の高級そうなジャージを身に纏い、先っぽのとんがった革靴を履いた足はがに股で、ビールやらおつまみの入ったスーパーの袋をぶら下げて歩くおじさんが、わたしたちの前を歩いていた。いつもの道が舗装工事中で、この道を行くしかない。ちょっと怖いなあとは思いつつ、別に何か悪いことをしている瞬間を見たわけでも何でもないし、見た目で怖がるなんていかん!と思いつつ、心持ちゆっくり目に、子どもの手を引いて歩いていた。と、道路の真ん中にダンゴムシを発見した。こんな真ん中を歩いていたら、かわいそうやねー、と子どもに話しかけると、うん、あっちに持って行くと、しゃがんでダンゴムシを捕まえる子ども。その会話が耳に入ったのか、前を歩いていたいかついおっちゃんが、へえ−、小さいのにダンゴムシ、捕まえるの、こわないんかー。おっちゃんはわなー、ダンゴムシなんかようさわらんでー、あんた、ちいさいのにえらいなー、がははははー。おっちゃんは、実は気さくな人だった。子どもも臆することなく、えへへと笑っている。白いジャージのおっちゃんは、そのまま近くの家に入っていった。子どもはダンゴムシを道ばたの草むらに放ち、また歌を歌いながら歩き出した。