_ 子どもが近所の家によく遊びに行くようになった。といっても、そこに同年齢の子どもがいるわけではない。ようやく1歳になるかならないかという男の子がいる。で、その家には子守の女性もいる。この子守の女性と一緒に遊ぶのが目的で、食事の間も惜しんで、子どもは日参しているのである。このことは言い換えれば、わたしと遊ぶよりも楽しいからだというひがんだ見方もできるのであろうが、そうではなく、きっと今、自分の世界を広げているところなのだろうと思う。
子守というか乳母というのか、この女性が働いている家は少し訳ありの家で、まだ大学生のお母さんがひとりだけで住んでいる。このお母さんの両親(赤ん坊の祖父母)は、まだ一度もこの家へ来たことがないとのこと。孫の顔を見たことがないという。しかし暮らしぶりは豪華だし、車も持っている。いろいろな事情があるのだろう。赤ん坊はアレルギーがあるとのことで、我々の家の裏にある中規模の病院ではなく、ずっと遠くにある国際標準病院に通院している。子守の女性は、お母さんからみれば、その母親世代、赤ん坊からみればおばあさんという年齢なので、わたしはずっと家族だとばかり思っていたのだった。それがふとしたことで、そうではないことがわかり、いろいろと話すようになった。いろいろな人生があるなあと改めて考える。