_ あっという間にもう10月になった。先月、学会の際に、現地で旅行代理店を経営する友人の家に遊びに行った。新しい家を建てたということで、早速に見学させていただいたのだった。家は本当に素晴らしいデザインで、ただただ圧倒された。設計も担当した友人のセンスのよさということあのだろうけれど、南欧風というのか、とにかく明るいデザイン。ともすれば、日中でも電気をつけなければならないくらい、極力、外光が差し込むのを排除する造りの家が多い当地にあって、まったく考えもつかないようなデザイン。素敵なおうちでしばし談笑した折に、何冊かいただいた文庫本の中に、「家族狩り」(天童荒太)があった。既読ではあったのだけど、初めて読んだときの衝撃が記憶に強く刻み込まれていたこともあって、ぜひとも手元に置いておきたいと思って、いただいてきたのだった。ある夕暮れ、手に取って読み始めたらもう止まらなくなってしまい家事も家族の世話もなにもかも手につかなくなってしまった。一気に文庫本5巻を読み通してしまった。数か月前、友だちの家に預かってもらっていた荷物に一連の藤沢周平の小説を見つけて、一気に読破したときほどではなかったけれど、文庫本のページに沈没する至福の時を過ごした。
そういうこともあって、家族サービスの意識が高まり、先週末は子どもを連れて遠足。往復8キロの道のりを、子どもは本当によく歩きとおした。それも踊るように、楽しそうに歩いてくれた。24時間ぶっ続けで読書をした影響なのか、体のリズムがくるってしまい、それを元に戻すのにいやに時間がかかった。もう年なんだなあと思いながら、息を切らせて日課である体幹トレーニングに取り組むのだけど、別に痩せたりしないんだなあ、なぜか。という具合に、相変わらず、大人げない日々を過ごしている。