_ 夜中の12時に水浴びするような人は、なにかたくらんでいるものである。そういうわけで、わたしは聖油がふりかけられて、萎まずにらんらんと輝いている花を浮かべた水桶から、静かに水をくみ上げて、真夜中に水浴びをした。水は思ったほど冷たくなかった。浴場から部屋にもどり十分にタオルでふき取ったと思ったのだけど、朝、起きるとシーツの上に、花弁が丸まっているのが見つかった。別に宗教的な行為でもなんでもなく、日常生活の延長線上にある小さな祈りである。叶うとか叶わないとかではなく、それで落ち着くことができるのであればというふうに考えている。
すとんと眠りに落ちた翌朝は、少し頭が重く、体がだるい。しばらくして、突然の大雨。低気圧のせいにすぎなかったのだろう。なにかよいことがあればうれしいし、なくてもよい。静かな生活を送ることができれば、それでよし、である。