_ 実は故あって久々に大学。しかも誰にも会わないようにと、休日に来ちゃったりなんかしているわけです(笑)。苗字は違うのだけれど名前が同じ人がいて、その人宛ての化粧品やらがなぜかわたしのメールボックスに入っていたりして困った。
_ 書き物とか提出物とかを一挙に整理。電車の中では山田詠美と河野多恵子の対談集を読んだ。わたしはある年齢に達するまでは、同世代の友人たちよりも比較的多くの本を読んでいたかもしれない。しかしある年齢以降は、一挙にペースが落ちた。最新の出版事情はとんと疎く、国内の小説や出版物はもとより、海外の小説になると映画化されたようなものであればやっと本屋などで、ああ、これはなんか聞いたことがあるにゃあ、と思う程度である。あとは前から知っているような作家、ジョン・アーヴィングとかエイミイ・タンとかカズオ・イシグロとか、やはり小説が映画化されたような作家くらいしかわからず、海外で書店を訪れても、なにがなんだかわからなくて、ジャケット買いよろしく表紙の絵や写真や装丁なんかで衝動買いする程度である。昔はたくさん読んでいたといっても、あるひとつの小説について、延々と語られるほど読み込んだ本はそれほど多くない。山田詠美と河野多恵子の対談を読んでいても、感心するのは、「よくもこれだけ深く読み込んでいることよなあ」ということばかりであった。しかし深く読み込むことができるが故に、小説家になられたということなのかもしれない。そんなふうに読みながら、秋も深まった研究室の扉をこっそりと開けて、こそこそと作業をしているのである。