_ 髪をカットするときに、これくらい切ってくださーい、などといって、親指を人差し指でチョキあるいはピースサインを出すことが、あったりしませんか?某国で髪をカットするとき、5センチとか10センチなどと言っても絶対にそのとおりにならないということがわかっていたので、ボディランゲージで示したつもりだったのです。そしたら、髪の長さが「これくらい」になるまで切られてしまいました。肩胛骨あたりまであった長さの髪が、一気に、逆モヒカン風にシャカシャカと切られ、ええー!あ゛〜!とかいう間もなく、鮮やかな手つきでばっさりと切られたのが12月1日のこと。うっそー、という絶句すらできないくらい、呆然として、カット料金およそ100円を払い、こんな安いところで切るからや〜という後悔とか反省もできないほどのショックを受けて、ロボットのようにぎくしゃくしながら、とにかくよろよろと家に帰った。そして合わせ鏡で全体をチェックしたときの衝撃は、忘れることができません。まるでマレット(ベティ・サイズモアで、アーロン・エッカートがしていた髪型、この子のお父さんお母さんは昔ちょっとヤンキーやったんかなあ、、なんて思ってしまうようなちょっといちびりな子どもの髪型、そう、全体は短いのに、襟足だけビミョーに長いというあの髪型)になっていました。
一度タンスの奥にしまい込んだ手鏡をもう一度勇気を出して取り出して、入念にチェックしてみれば、つむじの部分が一番短く刈り込まれています。絶句どころか、もうわらうしかありません!わたしは財布を掴んで、ちょっと大きなスーパーに行き、まずはジェルとかムースとかを買わねばと思ったのですが、なんとこの国には女性用の整髪剤というのが、存在しないのでした。男物のチックみたいな、MG5みたいな、なんかへんな臭そうなものしかありません。どうしよう、、いっそ剃髪してしまうかムスリムの被り物を被るかどうするかというたいへんな二者択一を迫られました。で、友だちにSMSを送って相談。「カット失敗、どうしよう〜」「子ども用ピン留めをたくさんつけてごまかせ!」。親子でピン留めたくさん付けたらごまかせるかな、なんてわらにすがる思いで、なんかいろいろ購入。で、微妙な感じの頭に落ち着いたところで、子どもを保育園に迎えに行く時間が来ました。いつもは挨拶する警備員さん、受付の女性、用務員さん、、だれもがわたしの頭のことについては絶対にコメントしてはいかん!という暗黙の了解事項を事前打ち合わせもなしに共有したのでしょうか、だれも挨拶もしてくれませんでした。子どもの先生も!子どもだけが、実に純真に無邪気に、あれー、なんかへん?という顔つきでかけよってきましたが、子どもなので、そんな細かい違いは気にせず、二カニカと笑っています。。まあそんな頭で、年末まで過ごし、のんきに河童国で友だちと会ったりしたのですが、この友だちが開口一番「あなたはその髪型をしていると、とっても日本人に見えるわね!」というなんと解釈してよいのかわからんコメントをくれました。アメリカ人って髪型の変化とか洋服の着こなしとかに絶対なにかコメントしないといけないと思ってるのかも知れませんが、もうその頃にはわたしも自分の変な髪型を受け入れていたので、へへ、そう?などといって、ふたりで大繁華街のユニクロへ行き(子どもも一緒でした)、冬服を持ってくるのを忘れたわたしはヒートテックのパッチを買い、これからハノイに行く友だちはフリースジャケットを買いました。そして、日本に帰国したわけですが、母は「あんた、なんやの、その髪型、、、」と、開口一番。「ひどいわね−、もうちょっとなんとかならんかったのん?」。夫でさえ、「お、新しい髪型か」としか言わないでくれたのに。とにかく。翌日、まだ開店前のジャスコに自転車で乗り付け、目に付いたニット帽を一万円札で購入して、すぐにその場で装着。ああー、これで新年が迎えられる−、と思ったわたしでした。なのですが、ここに来て、17年ぶりに出頭してきた御仁が被っておられるニット帽が、わたしのとはもちろん違うのですが、どうも自分はいかにも変装しているように見えるかも知れない、、という恐怖を呼び起こしたのでした。ああー、どうしよう、、ベレー帽を被ってかわいこぶりっこしないといけないなー。。育毛剤でも振りかけようか、、というマンガにもならないような煩悩を抱えて新年が始まりました。嗚呼。