_ 人からもらった無料映画鑑賞券があったので、何年かぶりで映画館で映画をみた。「風立ちぬ」。ジブリ映画を映画館で観たのは初めてのこと。何の予備知識もなくふらっと入った映画だった。ふとユーミンの「ひこうき雲」が聴きたくなったからということにしておこうか。好きな映画だと思った。どんな感想を、どんなふうに言えばいいのかわからない映画は、往々にしていい映画であることが多い。たとえば、「人生は、時々晴れ」(マイク・リー)。たとえば、「愛情萬歳」(蔡明亮)。たとえば、「ディーバ」(ジャン=ジャック・ベネックス)。たとえば、「ただいま」(張元)。あらすじを話したところでその映画の何かを説明したことにはまったくならないような類いの映画。映画をみてから一週間、いまだに映画のBGMとユーミンの歌が前頭葉にこだまし続けている。菜穂子が、荷物をなんにももたずに汽車に乗るところが一番気に入っている。