_ 100センチメートルの影と164センチメートルの影が並んで夕方の門前町をとおりぬけて、賑やかなスーパーのある広場に向かったのは、3歳6ヶ月検診の帰り道。子どもはちょうど100センチメートルだった。計測器を読み上げる保健師さんが、まるでビンゴゲームで当たったかのように甲高い声で、数字を告げると、記録する係の人が、100センチですかと重厚な声で復唱した。子どもは誇らしげでに頭をつんと上げて、さっさと自分の服を自分で着替えたのだった。スーパーでは店内にあるイートインコーナーのあるパンやさんにさっさと向かい、だれに教えてもらったのか、トレーとトングをつかんで、小さな四角に切ったミニサンドイッチのパックをあやふやな手付きで乗せている。そして「ママはこれ!」とメロンパンを掴んだ。テーブルにトレーを置いて、紙コップに水を汲みにいっている間に、器用にパックをあけてサンドイッチをもうほおばっている。一体、どこで、誰に教えてもらったのだ。小さな四角の一列を全部食べてしまった子どもは、スーパーの隣の公園に行こうと、もう立ち上がっている。パンダとトラの乗り物に交互に乗った後、滑り台を3回滑って、また動物の背に乗って満足したらしい。家に帰ると、さっさと服を全部脱いで、お風呂に入ってしまった。存分に水遊びをして歯磨きもしてしまったら、電池が切れたように寝てしまった。三歳六ヶ月というのはもうなんでもできるのである。子どもは翌朝5時に目を覚ますと、またすたすたと一日を始める態勢に入った。わたしの子ども…なのだろうか。えらいものである。