_ 昨日は聖金曜日で休日だったため、三連休である。そういうこともあって、昨日は終日自宅で過ごした。本を三冊、続けて読む。最初に読んだのは東野圭吾。おもしろいから貸してあげるわ~と言われて読んだのだが、おもしろいとはおもわなかった。なぜだろう。二冊目は『九月が永遠に続けば』(沼田まほかる)。アマゾンの評価では賛否両論だけど、わたしはとてもおもしろいと思った。主人公に共感できないとか描写が気持ち悪くて好きになれなかったという意見がとても多いのに、驚く。主人公に共感して読みたいというのは、「泣ける小説」みたいなものを読み過ぎると、そう思ってしまうのではなかろうかと。凄惨な描写という点については、もっとすごい小説だってあるわけである。わたしは本書の描写については、そんなに凄惨とか凄絶とか思わなかった。そして三冊目は『母の遺産』。期待しすぎないように、先に2冊読んでから読書に臨んだわけだが、やっぱり読み応えがあるのである。一気に読んだ。物語の設定とか、ひとつひとつの挿話については、既読の『日本語が亡びるとき』や母堂の著書である『高台にある家』などにも書かれていることだったりするのだが、とにかく壮大な物語の一部を、別の角度から読み直しているという気持ちになるくらいで、別に差し障りはない。ただ、ひとつ気になったのは、主人公美津紀の夫、大学教員哲夫の専攻。サバティカルで、UCバークレー、沖縄、ホーチミンに行くという設定。テレビにも出演する「文化人シャツ」を着こなす人物として描かれている。しかし、詳細な専攻が説明されていなくて少し残念。いつも、ひじょうに詳しく人物の背景が描写されるのに。細かいことだけど、サバティカルの行き先と、フランスへ国費留学したというところがうまく結びつかなくて、ちょっともやもや。
途中で、凄まじい雷鳴と驟雨で、家の中にいるのに雨音で話もできないくらいとなる。小一時間ほどだったが、まるで異空間にいるような不思議な気分になる。雨と雷がやんでから、『母の遺産』の後半、大雨の場面がすぐに出てきた。もう少しでシンクロニシティだったのに、などと思いながら読了。さらに読み終わってからもう一度、後半部分をすぐに読み返した。面白い小説は、なんでおもしろいとかどこがおもしろいとか、もうなにもいわなくてもよい気持ちになるくらい満足する。感想は、これだけです(笑)。