_ もしもし?と電話してみたら、隣の部屋にいるとのこと。携帯電話とは、ほんとうに不思議なものなのだなあ。所有率の低い社会にいるので、こんな驚きが未だにある。糸電話で会話しようかというのが、冗談にならないのだよというと、やはりそれはある意味で異常な社会ということになるだろうか?でも、デートしているカップルの一方が携帯電話でしゃべり続けていて、片方がメールを打ち続けているという状況よりかは、健全だと思うのだけど。いや、これはどちらにも縁がないヒトの僻みともいうべきか。
久々に「家族」で食事。その後、「居間」でだらだら。疑似家族ごっこではあるけれど、なんとなくほっとした。前に住んでいた「家」には、私はまだ一度も足を踏み入れていない。多分、また引っ越すときに、記念にちょっと覗くことがあるかもしれないけど。センチメンタリズムな春の夜。
本屋で岡崎京子の『へルター・スケルター』を買って帰る。ビートルズを聴きながら読むべき本なのだろうか?
読んでみた感想:多くの人があちらこちらで書いているとおり、これほどに不在感が顕在化される人もいないだろうなということ。<to be continued>という最後の文字が待たれてならない。
_ お稽古事の新しいクラス、7人のうち5人まで同じ大学の人って、どうなのだ。
学校の延長みたいで、緊張感に欠ける。いや、緊張感があるのか。
_ タクシーの運転手さんに話しかけられて、あれこれコメントされる傾向が高い。今日は乗った瞬間に、「カノジョ(と呼びかけられたのであった)、B型だよね(東京弁の人)」「どうしてわかるんですかぁ?」「オーラ!背中にオーラが感じるんだよ」「オーラって…。どんなオーラなんですかぁ?」「強烈な、ものすごいオーラだよぉ!」。知らんがな。そんなものない。下りるときにも、「今度ここに直接、電話して」と自作風携帯電話番号が書かれた名刺を手渡される。「ぼくねえ、雨の日の運転には、全然自信がないの」とも言われる。ざざ降りの中、途中で下りた。
_ うー。
_ 緊張したり興奮したりすると、耳がかゆくなる。人前で耳の穴をかっぽじるのは、乙女のすることではないように思うので、ひたすら辛抱。耳、かゆいなあ。
_ 帰り、あまりにも疲れ果てて、晩ご飯をどこかで食べておかねば、一歩ももう足が前に出ないと思うくらいに思い詰めてしまった。それでまっしぐにかつくらの前まで。ひとりでとんかつ屋なんて入ったことないから、一瞬、躊躇ったのち、外国人集団に紛れて、どさくさのうちに着席。大きなエビフライとヒレカツのお膳を頼む。ほんとにおなかが減った。この空腹を満たすには、トンカツとエビフライしかないと真剣に思い詰めるほどにおなかが減っていた。おいしかった。けれどそれで満たされたというわけではなさそう。なんかもう、ほんとに。。
_ 某日。よその人にたいへん愛想のよいカルガモさんである。ぐずっていても、通りすがりの人が覗いていったり声を掛けたりすると、満面の笑みを浮かべて応える。これは紛れもなく某国人の証だ。カメラを向けると完璧なカメラ目線でにこりと笑う。それも間違いなく某国人の系譜。わたしの子ども時代の写真はいつも仏頂面か無表情かのどちらかであったから、おもしろいなあと思う。そんなカルガモさんを机の横で寝かせながら、きっとだめだろうなあと半ばあきらめながら書類を書いている。今日も子どもをあやす時間の方が長かった。
_ 某日。たまたま通りがかった駅のコンコースの本屋で平積みとなっていた村上春樹を購入。発売日の朝10時であった。正直なところ、なんかもうよくわからないです。面白いとか面白くないとかすら言えないような気がした。わからん、としかよういわんかも。ここまで来たら1月から3月編もあるんじゃなかろうかと思うんだけどどうなんだろ。わかんないです。個人的には重松清と藤沢周平と梨木香歩だけ読んでいたかったりする。そしていつもとっさには名前を思い出すことができないあの人、堀江敏幸。こんなに好きなのに、どうしていつまでたっても名前を覚えることができないんだろう。わたしの「自称本好き」も、どうやら単なる思い過ごしだったのかもしれないと思う今日この頃。研究者という偽肩書きを名乗るのとおなじくらい後ろめたい思いをなぜか抱きながら、足早に本屋の前を通り過ぎ、もう一切、読みたくない本は買わないぞと思う。
_ 冷たい風と雨が吹き付けるときもあったけど、ところどころ、お天気もよくて。久方ぶりに柳月堂でパンを買う。持参のお弁当を子どもにつかわせたのだけど、河川敷を吹き抜ける風が強すぎたのと、隙あらば接近してきそうな勢いで、われわれの上空を旋回し続けるトンビを威嚇し続けるのに疲れてしまい、30分ほどで退散した。家に帰ると同時に雨が降り出した。用事も片付けたのでほっとして、帰宅と同時に二人して長い昼寝をしてしまった。
子どもの眉間の傷は、さすがに新陳代謝が早いのか、オロナインの効果なのか、もうほとんど治っている。カサブタも剥げて、きれいになった。見る度に思い出さずにすんでよかったけれど、子どもは滑り台で遊ぶのを怖がったりしないだろうか。大丈夫かなと少し心配。子どもはこちらが、え?と思う場面で泣き出すことがある。たとえば、テレビの画面いっぱいに、おおきなおおきなバオバブの木が映し出されたときのこと。子どもは怯えて突然泣き出した。星の王子様か。