_ 今日、首都から帰る予定。なので、久方ぶりに毎日更新していた日記も、これからはまた不定期になりそうです。でも、元気にしていますので、大丈夫です。
_ 結局、一度だけ日本食を食べた。熱いおみそ汁、浅漬け、牡蠣ごはん、やさいの煮物。ぜーんぶきれいに食べた。おいしかった。
夜遅くまで、給食の役割についての話。こちらの人は、新しい食べ物に対する抵抗がたいへん大きく、初めて見る食べ物はまず口にしない。とはいえ、今回の滞在中、あちらこちらのショッピングモールを徘徊して思ったのは、とにかくありとあらゆる世界の食べ物が集まっていたこと。中華料理はもとより、たとえばそれも細分化されており、北京、四川、広東、台湾、香港と区別して存在している。ベトナム料理、マレーシア料理、インドネシア料理、タイ料理、インド料理、アラブ料理、イタリア料理。。なぜかフレンチだけは見なかった。そして定番のトリのフライ屋と挽肉焼パン挟み屋。一番人が入っていたのはこのふたつ。給食では出されたものを黙って食べるということを学ぶと同時に、好きなものだけを食べていてはだめよということを教わるんだなという話など。日本人はなんでも抵抗なくよく食べる民族ということになるんだろうなあ。
わたしは恐らく物心ついてからこの方、ずっとスイカが嫌いだった。今、出されたら食べるようになった。自分で買うことはないけども。あるとき知らずに、フルーツポンチの中に入っているのを間違って食べたら、思っていたようなコオロギとかスズムシの味がしなかったからなのかもしれない。でもあの配色がきらいなことには変わりない。たとえ赤色でなくて黄色でもあの配色がきらい。
_ 昔の話などをいろいろと聞く。昔は、なるほど、そうだったのかと。
_ 植民地時代に大きな銀行であったところが、銀行丸ごと、そのまま博物館になっている。頭取室の立派な椅子や机やソファ。会議室、晩餐会室のシルバー類。なにもかもそのまま。さまざまな種類の小切手帳。思いがけず、横濱正金銀行の小切手を見る。歴代のスタンプ類。初代ATM。通貨の歴史もまた見られる。地下全面に広がる個人金庫や銀行の金庫。暑さ70センチほどもあろう扉の厚さ。ひいやりとした地下金庫には、無数に扉があり、どこからどこへ通じているのか、足を進める度に次の部屋で何を見ることになるのか、どきりとしたものだ。階上に上がって表に出れば、熱砂が体をとおりすぎた。生ぬるいジャスミン茶を一気にのみ、またバスに乗って、帰ってきた。人のいない博物館は、ふらりと入ってきた客と一対一で勝負してくれる。心して構えて歩き回ったから、ぐったりと疲れてしまい、久しぶりの昼寝は、深い深い眠りに落ちてしまった。
_ 知人の妹に子どもが生まれたので、お祝いを買いに行く。くまの模様の抱っこ布団。こういうときは服が一番よいといわれたのだが、あんまりかわいい服がなかったので、目についたものにした。他人にまで自分の趣味を押しつけるわたしです。ほんとはぬいぐるみとかにしたかったんだけど。
シンプルだけど、困難にぶちあたったとしてもくじけずがんばれと、ノーベル化学賞の先生が仰っていらした。そやなー。わたしはくじけすぎですねん。
松本侑子訳のアン・シャーリー、解説とかが入っていて、とても興味深く読んだけど、やっぱり会話文の訳し方とかは、村岡訳のほうがよりぴったりな感じがした。ジョシー・パイが、ジョージー・パイになると、なんか意地悪度が高くなって、にやっとわらうような気がしなくなるし。濁音の妙で。好みの問題ではあるが。ブナの木屋敷のミス・バリーがアンを呼ぶのは、やっぱりアン嬢さんじゃなくて、アンさんや、のほうがなんだか決まっているように思えたり。
久坂葉子の「幾度目かの最期」。暗い感じの尾崎翠。
_ 国土地理院のとてもすてきな先生、公文書館のおしゃれな司書さんと話。国土地理院の先生、先生とわたしは呼んでいるけど、雲の上の人である。この先生は、昔から、わたしの研究に関心を持ってくださっていて、昨日も早速会うなり、その話になった。そして今の研究の話にもなった。先生もまたその古い街のご出身であったということを知る。その街の話をしているときに、先生が、「彼女、T先生によく似ているね」と、同席していた別の先生にささやいた。わたしのことである。T先生が亡くなられてからもう十三回忌ではなかったか。T先生は男性だから、外観が似ているということではないようで、その古い街に関するわたしの考え方とか意見が似ているということであるようだった。そのようなことをいわれたのは初めてのこと。恐れ多いという気持ちで一杯だが、せっかく古い街に住むのだから、T先生の足跡に触れるような時間があればいいなと思ったのは本当のこと。あれこれ訪れたり繙いたりしたおかげなのかなと思った。そのおかげで、いつのまにか、T先生の旧知の方々とも知り合うこととなった。
今回、首都に出てきている理由は、純粋な休息。古い街で過ごしてもよかったし、ざくざく友だちのいる村に帰ってもよかった。が、とにかく休みたかった。それだけ疲れていた。首都で過ごしてよかったと思うのは、離れているからこそ、すぐそこにいるように届いてくるさまざまな声。耳をすませて、よく聞き分けられるよう、十分な時間が取れた。
_ 珍しく、おなかの調子が悪く、夜中に気持ちの悪い汗をかいて、飛び起きたりする。胃腸がきりきりと痛い系のおなかいたというのは、大体、感染系という経験則があるから、さっさと抗生物質を飲もうかと思ったりもするも、ちょっと様子見よう。ただの水あたり食あたりであれば、熱いお茶を三杯ほど飲めば治るのだが。
緒形拳の訃報を見てショック。子どもの頃に見た映画「鬼畜」でファンになり(子どもの見るような映画ではなかったのだけど)、ずっと気になる人であった。父よりも少し年上だったのだなと知る。合掌。
_ ラギ [おなか、大丈夫ですか? わたしも妙な汗で起きて明け方待機中(笑)。 長引くようなら無理せずお医者さんにいきましょーね..]
_ ね [ありがとうございますー。 おなか痛いの忘れて、お昼にすごく辛いごはんを食べたら、治りました。 出したら食べろの法則で..]