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lost luggages ねぶくろ 書簡
--sleeping bag・g-ism/ist--

03-08-2010 / Tuesday [長年日記]

_ 小さな子どもが亡くなった事件が喉のところに引っかかったままで、やりきれない。この暑い中をどんな思いで母を探して声の限りに叫んでいたかと思うと、たまらなくなる。

昨日の深夜、子どもが突然、狂ったように泣き叫びながら、目を覚ました。どうも中耳炎はわたしが思っていたよりももう少し以前から罹っていたようで、保育園でもらってきた風邪は、それを悪化させるきっかけであったようで、耳鼻科のお医者さんが予想していたように、すっきりとは治っていない。いつから罹かっていたのだろうか。毎日一緒に暮らしていて、こどもを身ぎれいにして健康管理をしっかりとしているつもりでもこういうことがある。新米の母親だからそういうこともあるよと言ってくれる人もあれば、注意が足りないと責める人もいる。もし子どもの聴力に異常が見つかったりすれば、なおのこと、わたしもやり切れなくなる。夜泣きなどめったにしなくなっていた一休さんが、こちらがびっくりしてしまうような泣き声をあげただけで、わたしはまだおろおろとしてしまう。某国で療養中の夫に代わって、父親も兼ねて一休さんを育てているという責任もある。子どもはしっかりと抱っこして、母乳を飲ませたら、すぐに泣きやんだ。クーラーのタイマーが切れたから泣いてしまったのだろうか。耳が気持ち悪かったのだろうか。亡くなった小さい子のことを考えながら、一休さんをしっかりと抱いた。

某国だとひとりで子育てするという状況は、まずあり得ない。厳密には一人親世帯はあるのだけど、近所の目というものが、とてもしっかりとある。十分に食べていないような子どもがいれば、正式ではないけれど、「養子」のようにその子を預かるようなことがある。もちろん人身売買やら児童労働などが普通に存在するようなところだから、不幸な境遇にある子どもがまったくいないわけではないのだ。しかし近所づきあいがまだ濃厚に存在し、機能しているようなところだから、そしてなにより、子どもを本当に大事にする社会だから、大人は大人としての役割を果たしながら、子どもをしっかりと育てている。日本よりもさらに多く、十代で結婚し親になる人がいる。苦労しながら一所懸命に生きている。

この頃は、動物園生まれの動物の中には、子どもを生んでも育てることを放棄する場合がある。そういうときは、飼育員が面倒をみている。一人で育てられないときは、だれかほかの人の手を借りるということが、もっと気楽にできるような、またそういうシステムがきちんとかつ弾力的に整備されているような社会であれば、こういう事件はおこらなかっただろうか。逆に制度に縛られるような考え方をする人は絶対にどんな環境においても一定の割合で存在するかもしれない。臨機応変に、柔軟に何事にも対応できるような余裕を持つ社会というのは、理想郷にすぎないのだろうか。もっと幅広く、世の中の出来事を見渡せるような人を見出して、やわらかい対応ができればいいんだけど。


06-08-2010 / Friday [長年日記]

_ 『ガラスのうさぎ』、『ふたりのイーダ』、『死んだ女の子』。みな女の子なんだなあ。

_ 早起きで勤行する一休さんに合わせて、4時には起床する。このところ、わたしがはまっている冬瓜となすびと甘長トウガラシの炊き合わせを作りつつ、お弁当を詰めた。出がけに一休さんが泣いたのでまた一緒に横になったりしているうちに、お弁当をかばんに入れるのを忘れてしまった。ショック。

_ 新しいカメラを買うのだが、大学生協や出入りの業者からの見積もりよりも、約1万3000円ほど、アマゾンで買うほうが安い。なので、迷っている。とりあえず自腹で買おうか。なんか不可思議。わたしはやはりフィルムで撮影するのが好きなので、デジタルの一眼レフには関心が薄く、今度買う予定のカメラは少々、マニアックなコンパクトデジタルカメラだ。ずっと京セラのCONTAX SL300RT*とCanonIXY800ISを使ってきた。が、(デジタル時代においては)もうかなり年代物で、それなりに不便もあるわけです(電池が消耗してきたとか、ほこりが取れないとかそういう類)。


07-08-2010 / Saturday [長年日記]

_ DVD「ヘアスプレー」と「ベティ・サイズモア」。前者、とにかく登場人物がみなキュート。主人公のニッキー・ブロンスキーの愛らしさとクイーンサイズなのに実に切れのよい踊りに魅了された。わたし、ま〜ったく踊れない人ですが、思わず、踊り出しそうになってしまうほどに素晴らしいリズム感に溢れた映画だった。なぜか母親役のジョン・トラボルタもかわいかった。後者、これまたブリジット・ジョーンズの表情が実に素晴らしい。BJのときが最高峰だと思っていたのだけど、こちらが彼女の真骨頂。そしてモーガン・フリーマン。かれはどの映画に出ていても、役名:モーガン・フリーマンなんだけど、この映画ではやはりかわいらしさが溢れ出ている。個人的には頭の皮を剥がされた上に殺されたベティの夫、「抱擁」のアーロンくんの髪型が素晴らしかった。コメンタリーによると、こういう性格の人物はこういう髪型なんだという強固な持論に従ったのだとか。とても元気が出る映画一本、ゴーイング・マイ・ウェイに夢見がちでもええやん?という映画一本観て、淡い高揚感に包まれた。

先週観たのは、「リトル・ミス・サンシャイン」「ライフ・イズ・ビューティフル」。コメント不要の素晴らしい映画。

_ 耳鼻科へ。なんとか両耳の炎症が引いた。あとはまだぐすぐすといわせている鼻水を止める薬をもう少し飲むだけ。一休さん、少々、不機嫌。病院のあと、氏子神社の周りの寺内町を歩き、池の畔で蓮の花を楽しんだ。シュークリームを買って帰宅。


09-08-2010 / Monday [長年日記]

_ 夏祭りの太鼓を遠くに聞きながら、我が家で今、ひそかに進行中の韓流ドラマ大会に参加。「ホ・ジュン」という15世紀くらいの宮廷医のお話。シナリオもとてもよくできていて、毎回、飽きさせない。ちゃんとコミック・リリーフが登場するところも、シリアスなドラマが過度に辛気臭くならなくて、たいへんよろしい。そしてこの主役のホ・ジュンをしている俳優が、たいへん好ましいのである。有名な人ではないと思うんだけど、実にさわやかな好感度の高い人で、せっせとDVDを借りてきては、母とふたりではまっている。彼が医術を修業している医院の大先生には、息子がいる。この息子役の俳優がまた実にバタ臭い顔をしている。若林豪にそっくりなのだ。上背もあり、そのいつも何かに悩んでいるような暗い表情や、どうしても父親を追い越せないでいる現況(優秀な成績だったのに、過去の因縁のせいで、科挙に失敗したばかり)、ただひたむきに人の命を助けるために必死に医術を学ぼうとする主人公とのあまりの鮮やかな対比など、日本のドラマでも観たことのあるような既視感さえ漂うが、面白い。このハンサムなのに、いつも暗い表情の大先生の長男の役名が、ユ・ドジという。ドジでのろまなカメというフレーズがいつも頭の片隅に横断幕を掲げて登場するたびに、いやいやこれは役名なんだといいきかせながら、休日ライフを楽しみました。韓国のドラマの現代ものは、まーったくなにひとつ観たことがないのだが、時代劇は結構、面白いと思います。といっても、チャングムと女人天下くらいしか知らないのだけれど。

_ 保育園の着替え等々に名前の刺繍やらアップリケをしていたら、一日が終わった。着替えの短パンに、はらぺこあおむしの刺繍をして、丸い胴体に名前を刺繍して、自己満足に浸る。青い縁取りの白い鳩のアップリケとか、4本取りフレンチノットをたくさん付けたリンゴの木とか、細部に凝った刺繍をしてひとり悦に入る午後。ところが、ロンパースの左ひざなんて、はいはいによる摩擦を一番受けるところだし、そもそもはいはいのポーズだとまったく見えない部位。襟元の白い鳩なんて、よだれかけ(今日的にはスタイとかビブというそうです)の下に隠れてしまう。夏物の簡単ワンピースを早く作ってあげたい。

_ ナガサキの日だ。


11-08-2010 / Wednesday [長年日記]

_ 今朝の朝日新聞のウェブ版の記事で、「初恋についての探索的研究」(山口芸術短大)というのを読む。な〜んかかわいいなあ。夢があるというか、楽しそうな研究だね。紀要に掲載されているというので、ぜひ読んでみたい。小さい子は大きくなったらお菓子屋さんになるとか花屋さんになるとかかわいらしいものになりたがる。わたしは小説家になりたいと思っていたかわいくない子どもで、長じて好きなだけ何でも調べたことを書いていい職業についたが、さっぱりうまく書けなくなってしまっています。人生ってそんなものか。

_ 図書館で借りた『活きる』(原題:活着、余華、角川書店、2002年)。張芸謀が映画化したほうを先に見ていて、とても好きな映画だと思った。それで小説を読んでみようと思ったら、映画はかなり脚色してあることがわかった。しかし大筋の部分、家を破産させた裕福な家の放蕩息子が、中国が大きく変わっていく時代―国共内戦、大躍進、文化大革命―に農民として社会に放り出され、時代の波に流されつつも強くしなやかに生きていくという話。博打で大敗し、広大な土地家屋を賭博屋に借金のかたに取られてしまうが、数年後、土地解放の時代に、この賭博屋が捕えられてしまう。土地を手放したくなかったため、農民を恫喝したのである。その罪により、賭博屋は公開処刑されてしまう。刑場に運ばれる際、賭博屋は主人公を集まった見物人の中に見いだし、「お前の身代りに俺が死ぬんだ」と叫ぶ。主人公は、かわいそうに思いながらも安堵のため息を漏らす。裕福に育ったのに、文句も言わずしっかりとなすべきことをなし、子どもを育てていく妻がいる。家の状況をしっかりと理解し、働き者の孝行な子どもがいる。映画はいかにも映画的に小説のエッセンスを抽出していることがわかったけれど、映画も小説もどちらも好き。

_ いろいろ書類書いたり。


12-08-2010 / Thursday [長年日記]

_ 「Lock, Stock and Two Smoking Barrels」、ガイ・リッチー。「Snatch!」がとても好きなので、これも観た。おもしろい!DVDを買いたいくらい。こういういろいろな伏線が同時に張り巡らされながら進行していく形式は、フロスト警部シリーズにも共通する。イギリス人はこういうややこしいのが好きなのかな。わたしも好きだ。

_ 某原稿、やっと提出。別の某原稿に取りかかる。

_ ところで全然知らなかったんだけど、凸凹大会館が閉館したそうな。辺鄙なところにあるし、施設そのものが老朽化していたけれど、わたしは結構好きだった。ここで缶詰になって原稿を書かされたこともあったし、いろいろな研究会もよく開催された。懐かしい場所のひとつ。とくにレストラン、いつ行っても満席ということはなく、おいてあるメニューもびっくりするくらいにオールド・ファッションだったが、好きだった。個人的にたいへんお世話になった前の総長先生が「好きだ」と新聞紙上でおっしゃったエビフライ、遂に永遠に食べる機会を逸してしまいました。残念。


14-08-2010 / Saturday [長年日記]

_ 父方のお墓参りへ。わりと大きなお寺なので、人が山ほど。小さな子どももたくさん来ていた。帰り、人気のないビジネス街でお昼ごはん。わりとおいしい懐かしい味のオムライスを食べた。タイガース百貨店の食料品売り場にも立ち寄る。安いな〜。天然もののハマチのおおきなおおきなサクが600円。その他いろいろついつい買ってしまって帰宅。ハマチは半分をお造りにして、半分を昆布締めにした。キュウリの簡単甘酢サラダも作って、おいしい一日を過ごしました。

_ 名前を呼べども呼べども、まったく聞こえていないような様子のときがあるので、耳鼻科の診察の際に相談したら、中耳炎ごときで耳にそんな障害が出るはずはないけれど、心配だったら大学病院を紹介すると、怒ったように言われる。ちょっと相談しただけだったのに、思いがけず、悪い評判の方の大学病院への紹介状渡され、有無を言わさず曜日も指定されてしまった。こちらの聞き方がわるかったのか、虫の居所が悪かったのかわからないけれど、少々、困惑してしまった。でもそれで不安が取り除けるのであれば、それでよいか。。

_ 韓流ドラマ大会、順調に進行中。いや〜、おもしろいです。龍馬伝みたいに凝った映像美ではないし、登場人物のほとんどがひじょうに類型的な人物造形で、期待を裏切られるようなところはほとんど皆無なのですが、お話がひじょうによく出来ています。そしてなによりも主人公の役の俳優さんが、たいへん好人物。魅力的というのとは少し違うのだけど、とにかく好感度抜群で、なんとしてでも内医院(李氏朝鮮の宮廷医局)のお医者さんにしてあげたいとおもってしまうわけです。この主人公も、そして一方的にかれをライバル視する民間医院の御曹司の若林豪に似た容貌のお坊ちゃんも、たいへんなお母さん思い(マザコンというのが正しいか)である。母とのやり取りなども合わせて、興味深いドラマ。

_ 某申請の推薦文をお願いしていた御大からのコメントが、ほんとにほんとにごもっともなことばかりで、落ち込んでしまったけれど、がんばって書き直して元気を出した。


15-08-2010 / Sunday [長年日記]

_ 終戦記念日。

児童文学と戦争あるいは終戦というと、「だれも知らない小さな国」だ。佐藤さとるのコロボックル物語のシリーズは、小学生だったわたしにとっては、文字通りのバイブルで、なにもかもここから学んだといってもよいくらいだった。戦争が終わって日本は復興期を経て、高度経済成長時代に向かう。コロボックル山もその計画に巻き込まれ、高速道路建設のため、山の中腹を削ってトンネルが掘られようとする。そこでコロボックルたちは「せいたか童子」であるせいたかさんに協力を求める。せいたかさんは、コロボックルたちの力を使うアイディアを出す。山の所有者や村の偉い人たちの夢の中に登場して、夢をコントロールして、計画を変更しなければと思わせるのである。ご先祖さまやいろいろな「山のカミ」の口吻で、脅しをかけるのである。

流行り?の公開中の映画のあらすじを目にするたびに、コロボックルたちの作戦のことを思い出す。この作戦のことを思い出すたびに、終戦後の日本の急成長や開発のことも思い出し、今、あのコロボックル山はどうなっているのかなと思うのである。こびとさんが大好きで大好きで、一人でいるときに、今、さっと後ろを振り返ったら、逃げ遅れたふとっちょのエノキノヒコが見えるかなと思って大きくなった。床下の小人さんも世の中に出てきた今、佐藤さとるのコロボックル物語も再度、脚光を浴びて欲しいと思ったり思わなかったりする。


18-08-2010 / Wednesday [長年日記]

_ 朝から大学病院へ。紹介状があったので、ほとんど待ち時間なしの予約時間びったしに診察室へ呼ばれる。事前に書いていた問診票と紹介状の内容についての確認があり、両耳の内診。聴力に関しては検査の予約を取ってからとのこと。予約を取る部屋へ向かう。と、予約できる日は来週で、検査結果に関する担当医からの説明は9月末日なのだとか。一旦、検査予約表を持って診察室へ向かい、今度は看護師さんから説明を受ける。曰く、乳児なので脳波を測定して聴力があるかどうかを検査するため、睡眠剤を飲ませるという。人によっては、乳児にそのような薬品を飲ませることを躊躇することもあるとかで、この検査を受けないことにする人もいること、睡眠剤は乳児に投薬しても副作用が少ないことは確認できているが、まったくないわけではないことを聞く。

一休さんは、確かに、中耳炎になってから、もしかして耳がよく聞こえないのかなと思われるようになったのだけど、それ以前にはなんの兆候もなかった。昨日の大学病院での診察でも、両耳の状態はまだよくないということがわかっている。まずは中耳炎が完全に治癒するのを待ってから、難聴かなと思われる兆候がまだあれば、そのときに睡眠剤を飲まなければならない検査を受ければよいかと考えた。もう少し情報収集してからその検査を本当に受けるかどうかを決めようと思っている。

_ 病院の後、近所の高校時代の友人とお昼を一緒に。小さい娘さんも一緒。3歳のお嬢さんはおしゃまさんで、とてもかわいかった。一休さんのことをあかちゃん、あかちゃんと呼びかけてくれて、一休さんもまんざらではないような顔つきで、愛嬌を振りまく。が、ひとたび友人が一休さんを抱き上げようとすると、雷鳴のような声で鳴き叫ぶので困った。食後、間違って、ゲーム機械がある場所を通過。おしゃまさんはどうしても人形をつかむゲームをしたいというので、一回だけという約束で挑戦したところ、あっけなくゲームは終了。今度はおしゃまさんが泣く。「もう一回だけ、もう一回だけ〜」「あかん、あかん、ここは人を破産させるところやで」「もう一回だけ、もう一回だけ〜」「おかあちゃんはもう帰るよ、一人でここに残りなさいね」「え〜なんで〜、親子やんか〜」。最後のセリフを聞いて、大爆笑してしまった。3歳くらいになれば、一休さんもこんなふうに直立二足歩行ができて、「親子やんか〜」などというのだね。。

帰宅後、一休さんはどういうわけかたいへんご機嫌さんで、なかなか昼寝をしてくれなかった。わたしのほうが疲れて、先に寝てしまい、起きたら一休さんがひとりでもくもくと新聞の広告を破いて食べていました。そんなところに広告を放置していたわたしが悪いのですが、一休さんはたいへん満足そうに(きっとおなかいっぱいにたべたんだろうな〜)きゃっきゃとしていました。


20-08-2010 / Friday [長年日記]

_ 夕方、一休さんを保育園に迎えに行くと、先生がその日の出来事を話してくれた。

もうすっかりお座りができるようになった一休さんは、プレイマットの上で他の赤ちゃんたちと一緒に座っていたそうな。と、先生が気がついたときには、一休さんは周りの赤ちゃんたちの髪の毛を、次々と手で引っ張り始めていたという。先生はそのことで、一休さんを叱るようになどとは言わなかったのだけど、わたしは少しショックを受けてしまった。今の一休さんはなんでも自分の手で確認したい時期のようで、わたしの顔のパーツはもとより、一緒に横になっていると髪の毛が気になるし、耳にも触りたいし、今までは母乳を飲むのに一心不乱で注意してみることもなかった胸のあたりなども手で押したり引っ張ったり齧ってみたりと、好奇心を抑えられないようになっている。その調子でよその赤ちゃんたちにも接しているということ。昨日は二回も便が出たことも含めて、先生はそのことを保育園で過ごすことの緊張が次第に解けてきているからだと説明された。でも人のいやがることはしてはいけないわけで、これからはきちんと一休さんに説明していかないといけない。話を大きくするつもりはないけれど、自分の子がいじめられっ子になる可能性はこれから先あるだろうとは思っていたけれど(肌の色を含めた外見の問題や文化や宗教の点で)、いじめっ子になる可能性はトンと考えたこともなかったのである。まだ一休さんがいじめっ子になったわけではないから心配しすぎなのだけど、自分がされていやなことは絶対に人にもしてはいけないよと、小さなときからきちんと教え含めていかないといけない現実に直面したように思っている。昨日までは、予想外の子どもが生まれてうれしいことよ、という平和な空気にとっぷりと浸かっていただけで、子育ての現実的でもっと日常的な側面について、あまり考えていなかったのかもしれなかった。わたしの忙しさにかまけて、一休さんを大人たちの間だけで過ごさせることが多かったけれど、もっと同年代の子どもたちと触れ合うような機会を作ってあげないといけないなと思った。


23-08-2010 / Monday [長年日記]

_ 某日。宝塚観劇。花組公演「麗しのサブリナ」が目当てだったのだが、予想外にスパークリングショー「Exciter!!」がたいへん素晴らしかった。たいへん感激。これが宝塚のすごいところで、はまっちゃうんだろうな〜と実感する。とにかくものすごく煌びやかな上、楽曲がしっとりとしつつ、メインテーマは一度聞いたらその日一日中歌ってしまうほど耳に強いインパクトを残すもの。もう一回、観に行きたいくらい。「Exciter!!」は一年前も花組のベルばら外伝公演の際に初演されたものだとかで、そのときも評判がよく、一年も経たないうちに同じ組が再演するという異例ずくめの上演だったそう。いや、これは観てよかったです。ほんとにかっこよかったというか、ステキでした。でもB席だったから当然、乙女のみなさんの個体識別はできませんでした。

_ 某日。査証申請。この某国在外公館には、たいへん有名な個性の強すぎるご婦人が長らく日本人窓口に君臨されていた。数年前、めでたく定年退官され、比較的若い女性が後任となった。この女性は、今にして思えば、そのご婦人の後任だったから素晴らしい人材に思えた節もあったのかもしれない。しかし、気分で八つ当たりをすることもないし、プロフェッショナルな仕事ぶりでもあったから、まったく問題はなかった。子どもが生まれたときも、懇切丁寧に、某国国籍留保書類についてご教示をいただいたりもした。本日、某国在外公館へ行き、書類を提出したところ、いきなり怒号を浴びせかけられた。まさに怒号。なんと窓口の女性が新しい人になっている。「わたしがそろえなおさなければならないような書類の提出の仕方はしないでください」(では窓口にそう書きなはれ!彼女の思うような揃え方について書いといて欲しい)「招聘状・推薦状は人数分提出してください。お子さんの名前が言及されていません」(ちゃんと読んでください、わたしの名前のと並記してありまっせ。家族の人数分書類がいるなんて、どこにも書いてないし!)、「ほんとうにあなたのお子さんかはこちらでは確かめようがありません」(戸籍抄本・謄本を提出せよという文言の記載された書類を持ってこられたけれど、それは一般には配布していない書類だ)。。というやりとりがあり、わたしは久方ぶりに、売られたけんかを買うような感じで、いちいちきちんと反論してしまった。もう少し、言い方というものがあろうに。某国語もできないような人がどういう縁で窓口に立つようになったのかは知らないけれど、こういうひどい人は、最近の某国でももうあまり見かけなくなっている。

むしゃくしゃの気分のまま、保育所関係の書類を出しに役場へ。


25-08-2010 / Wednesday [長年日記]

_ 某日。査証を受領するため某国在外公館へ。申請の時は、長旅でわたしも疲れていたし、もしかすると過度に反応しすぎてしまったかもしれないと少し反省しつつ向かう。九時半開館のドアに手をかけようとすると内側からドアが開いた。九時三十一分。人が多いのかもと窓口に向かうと、日本人窓口はすでに二人が並んでいる。自然に三人目の位置に並んでぼんやりと待っていた。。直立のまま待つこと20分。。わたしの後にはさらに3人が並んでいる。どういう経緯があったのかはわからないのだが、列の先頭に並んで申請書類を提出していた男性に、不備があった模様。それを例の怒号女史が対処している。男性は50代に見える。ときおり黒板を爪でひっかくような女史の声が聞こえる。過度に反応しすぎたということではなく、自然な反応だったのだと思い直して、持参の文庫本を立ち読みしながらさらに20分待ち、あっさりスムーズに手続きを終えた二番目の男性のあと、必要最小限の会話だけで旅券引換券を提出し、無事に査証が印字された旅券を受け取った。緊張がいっぺんに解ける。しかしもう大学に戻る元気がなくなっていたので、駅前の大型家電屋に向かい、先日届いた新しいデジタルカメラのストラップを物色。二点吊りだよな〜と深く考えず、一眼レフ用のちょっと洒落ているけれど、実際使ったら使いにくいかもねというようなストラップを買ってしまった。これはなんだか知らぬがたまっていたポイントがあったとかで、300円くらいで買えた。ほかにもいろいろと買うべきものはあったのだけど、もうとにかく疲れてしまっていたので、すぐに帰宅。帰宅すると、子どもが熱を出している。39度になっている。機嫌はよいし、ミルクは飲むし、朝、別れたところなのに、わたしの顔を見ると子犬のように猛スピードのはいはいで迫ってきた。小児科の夕診へ連れて行くと、突発性発疹の可能性があるとのこと。今日から3日ほど高熱が続くのに機嫌はよく基本的に元気という様子であれば、おそらく突発性発疹に罹ったのであり、4日目から赤い発疹が出るが、たいしたことはないといわれる。病院の外に出るともう夜。静かな寺内町の裏道を抜けていくと、ふたつの町内会で今夜は地蔵盆をしている。わたしが子どもだったころに、毎夏、地蔵盆をしていたほうの精米所を兼ねた古い集会所は、もう子どもの数が少ないので、参加者はみな大人だった。近所のお地蔵さんが勢ぞろいしているところで、子どもの病気がたいしたことなくて早く治りますようにとお願いして帰路を急いだ。狭い路地の両側に灯篭が並べられていて、一休さんはいつものように目を大きく見開いて、抱っこ紐の高さからその明かりを見やっていた。空には金色の月がかかっていた。


27-08-2010 / Friday [長年日記]

_ 某日。夜中に起きて原稿を書いていて、ふとテレビをつけたら、「永遠と一日」をやっていた。大好きな映画だ。こどもを売り買いする秘密の場所から少年を救い出した主人公が、国境地帯へ向かうバスの乗り場へ向かう。途中、大きな幹線道路沿いで車を側道に入れて、サンドイッチを買う。サンドイッチは、荷台部分を売り場に改造した真っ白なトラックで売られている。わたしがこどもの頃、家族でよく出かけた大きな公園があった。この公園の駐車場の入り口近くに、ワゴン車の荷台部分を改造したホットドッグを売る店がいくつもあった。ホットドッグという食べ物を見た初めての経験がこの屋台だった。コッペパンを真上から割ったところにカレー味のするキャベツの千切りの炒め物が敷き詰められ、パンとおなじ長さのソーセージが挟み込まれる。からしとケチャップをかけて、はふはふと言いながら食べた。特別、おいしかったわけでもなかったのだが、この映画を初めて観たときも、そのホットドッグのことを思い出した。初めて食べたマクドナルドのハンバーガーとともに、わたしの小さかったときの食べ物の思い出である。マクドナルドのほうは、当時、面白い映画のロードショーがかかると、しばしばわたしと弟を父の妹の家に預けて出かけた両親が、ある時、わたしたち兄弟とイトコたちのために買ってきたものだった。ピクルスの味が初めての経験で、強い印象を残した。めったなことではマクドナルドのハンバーガーを食べることもなくなったが、遠い外国でふとしたときに食べるようなことがあったとき、遠い日の留守番の寂しさとともに、夜遅くにわたしたちを迎えにきた母の紅潮した顔を思い出す。

久しぶりに観た「永遠と一日」は、途中でこどもが目覚めたので中断。夜中の原稿書きもそこで終わった。


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